このブログでこれまでもバンクーバーの今後について何度かお話ししてきました。現在は金利が収まる傾向にあり、人口の高齢化を伴いながらも継続した成長が見込めるこの市場の「今後10年間」を見ていきたいと思います。
【ホワイトカラー職が占めるバンクーバー:IPと起業家重視】
バンクーバーはここ20年ほどのスパンで大きな変化を遂げています。以前の軽製産業重視の経済構造から、現在はハイテクや医療、環境事業などを中心とする知的産業に経済がシフトし、この動きは今後もさらに進んでいくと考えています。また、前者を金融支援し、事業から生まれる富の有効化と言う意味でも、金融業界の更なる促進が今後起こると思っています。金融については、銀行など金融企業数の増化だけでなく、法律の改正などを含む、世界から資産を呼び込むための仕組みが発展していくと考えています。例えば、資産贈与や相続は更に進んだ政策が導入される事でしょう。
これら新業種を人材面で支援する上でも、教育分野の成長は鍵であり著しいものになると思っています。バンクーバーは語学留学先として有名ですが、今後は既存大学の新学部設立をはじめとする、高度な教育環境が導入されていくと思います。そうなれば、上で述べた業界における研究や調査も盛んになり、更なる業界の発展と人材の育成につながります。
よって、バンクーバーはIP(知的資産)や起業家の街となり、それに伴い、専門職である士業も発展していくでしょう。実際のところ、この経済環境でも業績が向上し、オフィスの増床を行なっているのが士業界です。今までバンクーバーに存在しなかった弁護士事務所の参入も起こっており、今後ますます活発になる業界だと予測しています。
ブログアーカイブより: 第8話「BC州とバンクーバー市について」
【人口流入は継続】
人口の流入はこの先も進んでいくと思われます。2046年までには、2023年の人口と比較して44%も増加した7,900万人にまで人口が膨れ上がると、カナダ政府の調査で報告されています。今まではイギリス系社会に外国人が付随した社会構成でしたが(よって、異文化の受け入れ度も低い)、今後は近年に流入してきた外国人移民が社会構造への変化をもたらし、アメリカ以上の異文化交流が起こり、文化のメルティングポット(異文化の坩堝)が構築されていくと思います。バンクーバーの場合には、特にアジアとの混合が特徴です。その証拠に2022年のバンクーバー圏では既に54.5%が非白人で構成され、東南アジアやフィリピン系を抜いて、中国系やインド系がトップの「少数派人口」を占めています。同時に今まではキリスト教(34.3%)がメインの宗教とされてきましたが、現在は52.1%が無宗教信者であると公表されています。
ブログアーカイブより:世界的な人口低下に直面する将来のバンクーバー不動産業界
【富裕層社会支援のバンクーバー】
バンクーバーには、老舗の家業をベースにした大富豪家族が昔から基点として存在しています。それも1〜2家族ではなく、多くの家族が目立つ事なく水面下で活躍する状況を維持しています。よって、今までにも富裕層へのサービス提供は存在していましたが、今後は更に「富豪」や「富裕層」の定義が広がり、新富裕層に対してのサービスも拡張すると考えます。それらは、新規レストランやバトラーサービスなどに留まらず、新富裕層の参加歓迎を意味した優遇制度の導入などです。例えば、上でも触れた税制の改正などで、現代版タックスヘブン的システムが構築されていくのではないかと考えています。具体的には、相続資産査定時の税金ではなく、相続金はカナダ国内の投資から稼ぐ事で源泉徴収やキャピタルゲインで国収入を確保する、プロアクティブな税収法になると予測しています。
こうなる事で、投資や資金運用業界は更に進化し、経験値に則った新商品が提供されるようになると思います。ただ、カナダは基本的に多少左向き社会ですので、「保護」と言う考えは今後も強調され、アメリカのような斬新で専門的な金融商品の多彩化はないと見ています。
そういった面でも、不動産は今後も継続してメイン投資スキームの一つであり続けると思います。
KM Pacificグループ代表取締役社長
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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