白人系とアジア系業者の大きな差とは
今までの商業プロジェクトではカナダの現地白人業者を使って行っていましたが、住宅においてはアジア系の友人業者の助けを得ている事からも、殆どが中国系業者になりました。商業と住宅の違いもさる事ながら、各業者の母国文化や習慣の差からも、業者間の大きな違いを目の当たりにしています。
例えば、アジア系の工事現場と白人系の現場だと、アジア系の現場の方が確実に早く進みます。白人系だとその日の仕事をして終わりにしてしまいますが、アジア系の現場では少しでも多く稼ぐ為に、一つでも多くの現場に関わり仕事をこなして支払いに漕ぎ着けます。よって、建築現場は20時まで作業が法律で許されていますが、ギリギリの時間まで働いているのはアジア系の現場です。また、アジア系の現場では、アジアに元々土曜日に休む習慣がない事から、週末でも動いている事が多いです。しかし、白人の現場では土日は確実に休み、労働時間も16時過ぎには完全に終わっています。
アジア系業者が重要視する“繋がり”について思うこと
アジア系が労働基準法を無視して、酷務を虐げている訳ではなく、求める優先順位の違いから、各々の仕事方法の違いが出ているのだと思います。よって、アジア系の各下請け業者の仕事も早く、ゼネコンの段取りがスムーズな仕事の鍵を握っています。例えば、建築資材は通常デベロッパーの方で準備するのですが、資材の搬入が作業前に行われていなければ、下請けは次の現場に躊躇なく動いてしまい、彼らを呼び戻すのに数週間かかってしまう場合もあります。
白人業者においても横の繋がりは強く、業者の紹介なども多くありますが、アジア系の業者間の横の繋がりの強さには驚きました。仕事の質によって各自違う業者を揃えており、常に同じ業者と仕事をする事で、お互いの信頼を深くし、お互いを紹介し合う関係にあります。そして価格が納得いかなければ値切りを容赦なく行い、お互い納得いく状況を作り出す仕事関係は日本以上だと思いました。これは仕上がりの質においても同じです。しかし、白人業者の場合には、多少の値切りに同意する事はありますが、基本的ラインは維持し、価格も全体的に高く感じました。アジア系の場合には「次回の仕事」に掛けて値切りをする交渉術が巧みに使われている感じがします。この関係の中で成功する為には、デベロッパーは発注者でもありますが、業者の言葉である中国語を学ぶ必要があると痛感しました。よって、この秋から中国語を学び始めました。(笑)
契約書の中身よりも信頼(仁義)を重んじるアジア系
アジア系の業者も西洋同様に契約書は重要視しますが、それ以上に人間関係をベースとした紳士協定が重要視されているように思いました。今回のゼネコンも弊社の活動スタイルや考え、そして社会的信憑性を細かく事前調査していたように思います。今回は友人デベロッパーの紹介で、友人の兄弟の様な関係にあるゼネコンだったので、先方も安心して受注してくれましたが、初回の受注は通常受けないそうです。契約書の内容も細かく確認しましたが、法廷では通用しないような穴だらけの契約書でした。僕としても通常は弁護士のレビュー無しでは契約書に署名しませんが、この契約書を弁護士に見せれば書き直しは免れない状況だったので、今回は友人デベロッパーを信じて清水の舞台から飛び降りる気持ちで署名しました。(笑)
弊社がプロジェクト成功を収めるために
人間関係を重要視した今回の繋がりは、今後の仕事に大きな飛躍をもたらしてくれると思っています。契約書も必要ですが、それ以上に考え方や価値観の一致やオープンなコミュニケーションを取る姿勢は、成功をもたらす重要な要因です。小さいチームでトップ同士がお互い関わり合う事で信頼とオープンなコミュニケーションを可能にしてくれると僕は本気で思っています。
同じ市場でも会社が存在する数だけ仕事への姿勢も異なると思います。今後はこのプラス点を大いに活用してプロジェクトを成功に導いていきます。
進行中のニュープロジェクト: 2995 Adanac Street
KM Pacificグループ代表取締役社長
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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