商業不動産においては、経済や政治情勢の影響が大きく、住宅以上に変動します。例えば、米市場ではアリゾナ州のフィニックス市が米不動産サイクルの起点であり、サンフランシスコから、シアトルなどへ北上する前に、一度南下してロスやサンディエゴに流れが拡大します。シアトルからは東海岸のニューヨークを経由して南下し、サイクルの終点であるテキサスへ流れが進みます。このサイクルは通常は5〜7年周期で回っており、アリゾナや西海岸を見ることで、東海岸市場は予測することができます。また、身障者や環境関連の規定の多くがカルフォルニア州で制定された後に米国内に拡散されました。そのため不動産業界では、カルフォルニア州議会の傾向は貴重な判断材料になっています。

1)商業不動産に対するコロナ禍の影響

しかし、近年の世界的余剰投資資金の集まりやコロナ禍が原因で、このリズムは不安定になってしまっています。現在は、全ての市場が一斉に影響を受けているように思います。特にインダストリアルセグメントでは、急激なe-commerceからの需要増加と、需要増加に対して供給が尽きてしまうかもしれないという不安から、さらなる需要が生まれ、負のスパイラルに見舞われています。また、近年はLife Science(医薬研究)セグメントが著しく成長を見せ、e-commerceなどの物流と並ぶセグメントにまで成長しています。Life Science物件は賃料が高い事で注目を集めていますが、同時に設備に関して資金を必要とするセグメントです。弊社がバンクーバーでLife Science物件について検討した際に、医療施設にも複数のレベルが存在しますが、通常のロフトタイプ倉庫の改築に比べて3倍の資金が必要であることがわかりました。

2)商業不動産業界の地域性

商業不動産業界は、地域性に応じて全く異なります。つまり、賃貸価格は地域経済や立地や物件クラスによって異なります。ポケット的な活力ある市場は内部にも存在しますが、基本的には東西海岸線沿いの市場の方が勢いを示しています。そして、各地域の地理的要素や企業性質からも、それぞれの市場の商業物件の密度(高さ)や各従業員に充てられるスペースは変わってきます。ニューヨークなどの土地に限りがある地域では、密集した高層ビルが多く立ち並んでいます。シアトルなどにも高層ビルはありますが、間隔が開けられたオープン空間を保つため、行政から条例が出ています。一方で、郊外では土地が使える為、建築コストを抑えた低中層建造物が多くなります。これらは条例に基づく開発制限と経済的な需要の両面からきている場合が多いです。また、必要賃貸床面積を検討する上で、南西部や西海岸の方が東海岸地区より大きめのレイアウトで検討されている事がよくあります。

また、工業用倉庫だと床レベルは地上レベルになる事が多いですが、製造業や保管倉庫などはドックレベル(トラックの荷台レベル)床高が多いです。これは工業施設では、搬出入の資材が大きかったり、重さがある場合が多く、搬出入車がそのまま乗り込める様にする事が必須になる場合が多いです。例えば、鉄工所の溶接や組み立てです。同時に、ドックレベルの物件は物流施設や軽製造業施設の場合が多く、梱包の組み替えや製造工程を施す作業施設が大半です。よって、物品の搬出入を効率良くする為にも、トラックなどへスムーズに搬入できる必要があることからドックレベルが考えられています。

3)商業不動産の注目されるセグメント

現在はインダストリアルの中でもフレックスインダストリアルというセグメントが今まで以上に注目を浴びており、その大きな原動力は若手起業家が多いハイテク業界の成長やライフサイエンスの成長です。ハイテク起業家は一般的なオフィスを求めず、自分達だけの特別でファンキー(ユニーク)な場所を求める中で、天井高がある倉庫を改築しバスケットコートを室内に設置したり、バーを設置したり、ロフトを取り入れたオープンスペースを好んだりしています。そしてライフサイエンスでは、設置条件上、天井高施設が必要になり、さらに研究室とオフィスの設置などが求められています。よって、この様な施設は典型的なオフィスビル内では不可能な事が多い為、インダストリアル物件への需要になるのです。

両者の場合(ライフサイエンスは設備のスペックが高い為、特にですが)倉庫よりスペックが高い為、賃料はインダストリアル内でも高額になることから、不動産投資家からも注目されるセグメントに成長しました。

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