今回のブログでは視点を国境の南側へ移し、アメリカの経済事情及び不動産市場についてのウェビナーのまとめをお伝えしたいと思います。今回のセミナーは米機関投資家アドバイザーとして有名なMarcus & Millichap(マーカス・アンド・ミリチャップ(下記「M&M」))社が、マクロ経済と不動産業界の二本柱の観点から2024年を予測したものです。

【結論は。。。】

結論は「注意が必要だが、経済基盤は良好で、不動産としてもアクティブで面白い年になるだろう」です。

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ブログアーカイブより: 不動産の市場サイクル

【マクロ経済の基盤は良好。不況の確率は25%】

米連邦議会会議やホワイトハウスアドバイザーとして有名なMark Zandi氏(経済学者)は「米消費者の購買力は向上し、米経済は世界経済を未だ牽引している」と纏め、2024年の不況への落ち込み確率を25%と発表しました。この主な理由として、下記を挙げています:
・コロナ禍中の巨額な個人貯蓄が未だ残っている
・株や住宅価値は依然上昇している
・住宅融資業界は安定している

もちろん、中近東情勢や世界中で予定されている選挙は、上記予測に大きな影響を与えかねないとしています。また国内経済としても、銀行への信頼度が著しく降下しており、貯蓄は銀行預金からマネーマーケットへ流出しています。同時にアメリカとカナダの経済政策で根本的に異なる点は、アメリカは債務を使った経済活性化に取組むのに対し、カナダは金利調整を行う事で経済活動を調整しています。よって、米国の現在の債務対GDP割合が概ね100%に達しており、今後更になんらかの具体的対応案が必要になるとZandi氏は警告しています。

雇用市場における成長も安定しています。コロナ禍中は需要が急増しましたが、現在は月10,000人前後という成長率で安定を見せています。また、移民からの雇用供給が予測より多く、全体の成長と消費向上を促す結果になっています。移民雇用で高齢被雇用者人口を置き換える必要がありますが、雇用主は未だ慎重です。更に統計的には選挙年の雇用・株市場・GDPの成長は例年より低下する結果になっている為、2024年も例外ではないだろうとしています。2024年末時の10年もの公庫金利は、現在とさほど変わりない4%ほどに収まるだろうと予測されます。

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ブログアーカイブより: 今後の住宅投資戦略

【不動産業界予測は問題も残るがアクティブな一年】

リテール業界は現在とても健全なセグメントです。人々は住宅関係以外のセグメントで消費を増やしており、テナントとして入居している企業の賃貸借契約も長期契約によって安定している事から、テナントは「現金の山」を抱え込んでいると説明されました。

住宅においては価格上昇が持続可能な範囲を超越しており(一軒家で3.6%; マンションで8.6%)、価格調整が起きる可能性が高いとしています。しかし、販売件数は-7.7%下落し、賃貸面でも平均住宅ローン支払いが$3,115に対して、月々の家賃は$1,824と明らかなギャップが存在しており、家賃の上昇と賃貸借契約の更新を促す環境になっていると説明されました。

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ブログアーカイブより:北米オフィス不動産マーケットの状況

そのような中、一番困難なのがオフィス業界です。都市地域における打撃は大きく、この業界の回復は複雑であり高額な資金が必須と予測されていますが、原因は高金利環境だけでなく、勤務環境の著しい変化とされています。よって、これからは「想定される用途(Expected Use)」を基本にした価格調整が入るだろうとM&M社は話しています。

読者の中には、このExpected Useベースの不動産価格は不動産の定義と仰る方も多いと思います。しかし、近年の北米(カナダを含む)では土地ベースのインフレ値付けが起きていました。よって、キャップレートも圧縮され、メイクセンスしない(理に適っていない)市場も未だ多く存在します。不動産がどれだけマクロ経済に左右される業界かが明らかになりました。

北米で不動産を所有されている方々にとって今一番大きな課題と認識すべきは、「10年後にも通用する所有物件の立ち位置をいま作る事」です。

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