米不動産に特化した優遇税対策である1031 Exchange(1031エクスチェンジ)についてご紹介します。

1)1031 Exchangeとは?

1031 Exchangeを簡潔に言うと「同じような」物件を、物件売却後に一定の期限内に新たに購入することで、売却した物件のキャピタルゲインタックスが延期できるシステムです。よって、条件さえ抑え続けられれば、長期間キャピタルゲイン税を払うことなく、資産の構築が可能になります。

その条件について、1031 Exchangeに対応した「買い替え」として認められるために大事なことは2点あります。
①「事業や投資目的の不動産」であること
個人の住宅や飛行機や車などの資産は該当しません。ただ、自分の主居住宅であっても、常に賃貸物件として貸し出していれば認められます。
②購入候補物件が「Like Kind(似ているもの)」であること
不動産タイプ(オフィス、インダストリアルなど)が似ていることと、価格帯が類似物件である必要があります。

通常は売却物件の減価償却についても、米連邦税務局(IRS=Internal Revenue Services)は「Depreciation Recapture(減価償却払い戻し)」を使って取り戻そうとします。しかし、Exchangeを採用することで、当初の物件をそのまま保持し続けたような形式で、減価償却を計算できることになります。

1031 Exchangeは、遺産相続などの手法として使われることもあります。例えば、米商法では個人の納税義務は、個人が対象です。生前中にExchangeを行ったことによる将来的なキャピタルゲインの納税義務は、税金納付者の死亡により抹消されます。物件の相続では、1031 Exchange関連の納税負担がなくなります。また、コストベーシス(将来的な物件売却時の納税用価格)も相続が行われた時の市場価格にアップデートされる事で、ほとんどの場合において価格のベースが上がり、キャピタルゲイン税の対象額が減価されます。よって、富裕層に対する資産形成や節税に関して、1031 Exchangeは大きな役割を担っています。

これらは一例ですが、1031 Exchangeには色々な変動部位が存在し、専門家の助言が必須になります。

2)1031 Exchangeのプロセス

次に、Exchangeの具体的なプロセスです。結論から言うと、合計180日の猶予期間内に全てを完了しなければ、Exchangeの効力は失われます。

具体的なプロセスとしては、売却後45日以内に次の物件を見つけ、Intermediary Agentに報告する義務があります。Intermediary Agentとは、中立な立場でExchangeのプロセスを監修する人材もしくは企業であり、資金の管理も行います。重要なポイントは「Exchange物件購入後まで、売却人への利益送還はない」ということです。なので、Exchangeする物件からの融資払い戻しのタイミングや、債務責任に注意する必要があります。

Exchangeを用いて購入する物件候補に関して、
3物件までの候補を選ぶことが可能、最終的にそのひとつを購入
②3物件以上でも、合計価格が売却物件価格の200%以内であれば、選択可能
③購入物件価格は、売却物件価格の95%以上
です。

実際に条件に合う購入候補物件を見つけるのは難しい場合が多いです。そのため、物件を売却する前に次の候補を購入することを、IRSは認めています。

3)最後に

また、1031 Exchangeは物件に対する税対策になります。LLC(Limited Liability Company=有限責任会社)などの特定目的会社や組合で不動産を持っていても、エンティティに対する税優遇処置にはなりません。よって、一部のパートナーなどが撤退を希望する場合、エンティティの構成を変更する必要があります。

このように、1031 Exchangeは「上級不動産投資家への特別処置」とも言える、税の優遇制度です。その豊富な利用方法によるメリットは大きいです。結果として、有効な使い方で、長期間課税を支払うことなく、資産を構築することが可能になります。

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