今回のお話はもう一歩不動産投資に突っ込んだ不動産の純利益(Net Income)の計算方法についてです。まずは下記に不動産利益の求め方(Income Statement)を書きましたのでご参照下さい。
1)不動産利益の計算方法
+) Gross Income(収入)
Rent(賃料)
Parking(駐車代)
CAM Reimbursement(共益費払い戻し)
Ancillary Income (Storage, Antenna, Easement etc)(その他収入)
-) Vacancy Loss(空室などによるロス)
-) Operating Expense(経費)
Repair and Maintenance(修繕)
Insurance (保険)
Utilities(光熱費)
Janitorial(清掃)
Personnel(人件費)
Property Management Fee(管理費)
Net Operating Income(運営利益)
-) Financial Expenses(金融経費)
Interest(金利)
Penalty(延滞金など)
-) Non-Cash Item(比現金項目)
Depreciation(減価償却)
-) Taxes(税金)
Property Taxes(固定資産税)
Taxes (Municipal, State)(市、州税)
Net Income(純利益)
2)Income Statement 概要
Income Statementについては各月末締と年間(Year To Date)のものが通常準備されており、管理会社から送られてくる月締めレポートに掲載されています。さらに各月の実際と予算対比してあるものも添えてあるのが一般的です。これにより、運営上の計画性や管理会社の運営力について確認出来る様になっています。
ただ、月締めレポートを貰う上では数字で物件を見る事も大事ですが、年度末までに計画されている修繕予定についての説明を参照する事もとても大事です。多くの管理会社は経費削減や手間暇を省く為に、最低限の文章でのレポートを提出してくる傾向にあります。月締めレポートの内容については、所有者と管理会社のやり取りになりますので、ある程度の交渉が可能になります。不動産は明確な答えがある業種ではないので、解説や各状況についての説明は物件運営及び収益の面で重要な要素になります。
3)Income Statement 各項目について
Gross Income(収入)についても、賃貸借契約書のフォーマットによって計上項目が異なってきます。例えば、上記に記載してあるのはGross Lease(グロスリース)フォーマットですが、これがTriple Net(トリプルネット方式。通常はNNNと記載されます)リースの場合には、全ての経費がテナント負担になるので、上記のOperating Expenseの記載はなくなります。
これを聞くとトリプルネットの方が断然良いと思われる読者の方もいると思いますが、自社物件管理の場合には行う作業量も減ると言うことで請求割合も低くなり、管理上の利益が減ってしまいます。
また、Personnel(人件費)とは各物件に充てられた物件管理責任者の給料割合になります。物件の大きさや必要によってこの価格は変動します。この項目は管理会社との協議になり易い項目です。特にプロパティーマネージャーの年収が通常は$15万ドル(1,800万円相当)を超える場合も多い為、物件への財務的影響も半端ではありません。通常一人のプロパティーマネージャーの担当物件は5物件ぐらいとされていますので、各物件への影響は五分の一になります。
Financial Expenses(金融経費)の中の金利については、通常は物件所有者が企業である場合にはこの記載された価格が税金計算時に考慮されます。しかし、納税報告書は通常会計士が作成する事になるので、物件管理会社の方ではノータッチになり、記載されていない事も多くあります。
また、Non-Cash Item(比現金項目)がここに記載されている理由は、納税の為です。しかし、これも上記の税金で触れたように会計士マターになるので、物件管理レベルでは殆どタッチされません。90年代に管理会社を雇っていた時には、管理会社のサービス拡張という事で、物件に対しての納税サービスも提供されていました。しかし、殆どの場合には企業所有で、納税は企業レベルでの税金調整も関わってくる為、物件レベルのみの納税準備のメリットは存在しませんでした。
運営予算は通常管理会社が前年10月ごろまで作成して物件所有者の承諾を得てから次年度の運営予算として取り入れられます。所有者の承諾が時間内に行われない場合には、前年度の予算で運営が継続される事が通常です。
ハイレベルの説明になりますが、物件収支表について理解が増せば有難いです。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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