*前回ブログより
戦略を立てる上で最も大事な事は、出口プランだと私は個人的に思っています。もちろん購入価格も大事ですが、それは目の前にある課題ですので、対応可能だと思っています。それ以上に、将来的に見えない出口について購入前に考えること、つまり、所有期間中の出費を予測することは、プロジェクトの成功を左右する大きな問題です。考えられる展開として下記3点があげられます。:
1. 3年以内での売却
2. ファンドからREITなどへの売却
3. 10年以上の所有

1)投資戦略

逆に#3の場合には、ある程度の戦略のブレも考慮し吸収できる期間として、不動産業界内では考えられています。このシナリオ内では、物件への定期的修繕や資産注入計画を最初に立て、忠実に遂行して物件の資産価値を維持する事が必須になります。カナダの場合では、平均的な賃貸期間が10年になる上、契約はトリプルネット(全てテナント負担)になるため、費用的負担は軽減されます。しかしながら、建物の状況の確認や、11年目の物件の競争力を把握した上での長期資産注入計画や賃貸計画を立てる事が重要になります。

また#2の場合には、入居率を満床近くまで上げ(通常95%以上)、安定した賃料収入を確保できるようにする必要があります。このシナリオでは、賃料の継続的な上昇から投資利回りの上昇が条件になるため、賃貸活動もこれに反映している必要があります。この場合も#1同様、ファンドとしては利益の最大化を求めることが前提になりますので、REITへ売却する場合には、開発や改築物件の場合が多いです。

REIT側からしても、このシナリオは債券のような安定した賃料収入からくる配当が目的になり、機関投資家などのポートフォリオにはこのような投資手法が頻繁に用いられています。

2)資産工事

長期保有では計画的な資産工事が必要と話しましたが、具体的な資産工事には次のようなものを考慮する必要があります。例えば、床及び外壁の亀裂、屋根の水漏れや寿命、ヒーターやスプリンクラーシステムなど設備の修繕と寿命があります。その他にも、照明設備の省エネ化は光熱費を軽減する上でも大きなポイントになります。床や外壁の亀裂についても、ある程度の大きさになるまでは心配する必要はありません。

いろいろある中でも、一番大きな問題は屋根の寿命や損傷からくる雨漏れです。屋根の寿命は通常約25年ほどありますが、この期間内でも雨漏れが起こる可能性はあります。また、雨漏りしているカ所の特定は難しく、雨漏りしている時にしか原因カ所を特定することは不可能です。また、屋根の張り替えには一千万円単位のお金がかかるので、見過ごすわけにはいかない項目になります。

同時に世界的な省エネや環境保全思考の中、建物からの排熱ネットゼロが法律化される見通しです。よって、排熱面や環境保全対策の一環として、明るさや過ごしやすさに焦点を当てた設備の修繕や交換は、テナント工事の一部もしくは行政指導のもと、今後さらに義務付けられる資本工事になると思われます。

これは窓や外壁施工にも該当します。弊社が専門とする物件はほとんどが築40年を超える物件であり、断熱加工が施されていません。よって、外壁を通過する暖房熱などのロスは大きく、この排出熱が地球温暖化に繋がるとされ、断熱材の導入や、最低基準を満たした新規設備の導入が義務付けられています。今後20年以内でのネットゼロ排出がバンクーバーでも掲げられており、物件の効率化を図った設計と運営がますます必要になってきています。

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