一つ前のブログでは、社会人になった後の世界についてお話ししました。では次に、そこへ効率よく辿り着く為には学生時代に何をしておくべきか?大切だけれども、案外教えては貰えない、重要なポイントをお話ししたいと思います。
【世界を見る事で自分の小ささを知る】
学生時代は知識を得ることも大事ですが、それ以上に自分のサバイバル力(生き抜く力)を養うことの方が大事だと、私は考えています。自分の慣れている環境の外へ出て(国内でも海外でも)、自分の尺では測れない環境に自分の身を置く事で自分の小ささを実感し、自分の無能さを知る事になります。私は「無能力」な状況は決してマイナスではないと思っています。自分の無知さを知り、成長していく将来的な伸び代を確認することに繋がり、意欲を生み出す事になると思います(もちろん、無知さを知ったことで、それに押し潰されるのとは違います)。若人であれば、天狗になる時もあれば、自分が知らない事に対して情けなくなる時もあると思います。それら全てが若さの象徴であると共にごく当たり前なことなのです。
同時に、苦労を経験すると(言葉のわからない状況、自由が効かない状況、金銭的余裕がない状況など)、自分自身が強くなり、今までの状況を振り返って、これまで自分自身が身を置いていた環境に対して感謝の気持ちが芽生えるようになります。私は感謝する事が全ての始まりだと心の底から信じています。感謝する事で自分の状況を理解することができ、周りを見る余裕が初めて出てきます。そして、そこからアイディアが生まれてきます。こういった状況が、これからのあなたにチャンスを与えてくれる事でしょう。
ブログアーカイブより: 第91話「カナダの人材・職務事情(ミニシリーズ):海外(北米)で仕事をしていく留意点 1」
【英語はツールであり、学問である必要はない】
言語を学ぶ上で習得する語学が英語である必要はありませんが、英語でコミュニケーションを取る人口が多いという理由で、英語学習を私はお薦めします。英語が堪能であれば、コミュニケーションを通じて意思の疎通が可能になる人の数が格段に増えます。英語を完璧にマスターする必要はありませんが、自分の意思と思いを自由に表現出来るだけの語学力は習得しておくべきです。世界の共通語である英語の語学力が無ければ、自分の思いを相手に届ける事は難しく、世界を舞台に働くことも困難です。
もちろん、通訳者を介したり、相当な技術を活用することも可能です。ただ、言葉を自由自在に扱えるという事は、相手との共感度を高め、お互いの思いをしっかりと解釈することを意味します。同じことを話すにしても、話し相手の心に届く話し方は相手からの共感が得られ、さらに一歩踏み込んだ理解を可能にしてくれます。
ブログアーカイブより:第53話「どうやって人柄を培うか?」
【学生時代に自分を知ろう】
学生だからこそ出来る事の一つが自分自身を知る事です。冒頭に挙げた自分の無知さを知る事もその一つです。自分について学び、自分のアイデンティティや思考方法を理解しましょう。例えば、海外に出て、自分の「日本人資質」を認識する事もその一つです。海外だからこそ、今まで考えることのなかった「日本人の自分」と向き合う事になり、日本人であるという事はどういう事か?例えば、欧米人との違いや類似点は何かを通して、日本人の歴史や考え方、価値観を熟考することになるでしょう。これは、異なる文化をバックグラウンドに持つ外国人を相手に、自分という一人の人間について説明する上でも大きな役割を果たします。欧米人は、一般的に人の話を興味深く真剣に聞く傾向があり、発言の意味、意図や観点に興味を示してきます。そのため、欧米人との会話の中ではよく「なぜ?」というフレーズが出てきます。それは相手を理解しようとする努力と興味からきており、それらに応える為にも、自分の答えとその根源について理解していなければ、相手との会話は宙に浮いたまま終わってしまいます。
また、自分を知る事で自分の長所と短所を把握し、自分の「人間性」を更に理解することができます。長所と短所を知る事で、自分の考えを相手に伝える方法にも変化が生まれ、新たなアピールポイントも出てくる事でしょう。そして、自分を知る事で弱さも知り、周りに動揺されない自分の意見を持つ事ができるようになります。そうなれば、例えば、人に騙されるようなことも無くなるでしょう。
もちろん、年齢や社会経験的な観点から、学生時代の人間性は成熟段階にあります。それは、社会人として生きていく中で培われていくものである一方、時間的余裕がある学生の時期こそ、自分自身の人間性を知るには最高のタイミングだと思います。
KM Pacificグループ代表取締役社長
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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