日本国内における資産運用の主流は株や債権であり、オルタネーティブ商品とされている不動産などを活用した資産運用は未だ少ないように思います。ここでは、REITを金融商品とみなし、その投資手法は株として考えられています。北米においては、不動産は流動性が低い地域ベース事業であり、リスクレベルは一般的に高いと考えられていますが、この商品を用いた資産運用は一般投資家の間ですでに定着しています。

ただ、単体の開発プロジェクトや物件購入に関する商品紹介が、資産運用会社の店頭商品として扱われる事はあまりありません。実際には保険や住宅融資を扱う仲介業者が、自らの顧客ネットワークを用いてこれら単体プロジェクトにエクイティーもしくは融資を行い、フィービジネスとして成立させています。よって、不動産投資は投資運用をする全員に提供されるものではなく、「持つ者(ネットワークと資産)に与えられる特権」として位置付けられており、プレミアが付いています。なお、昨今の不動産事情において、単体不動産投資の機会を求める一般投資家からの需要は多いです。

1)資産運用商品として不動産投資

では、なぜ不動産投資は資産運用商品としてこのような脚光を浴びるのでしょうか?簡潔に言うと、リスクは高いものの市場規模は大きく、システム(法務、税務)が確立されています。また、柔軟な仕組み作りが可能であるため、事業としてのリスクを軽減できる投資商品として認知されているからです。さらに、不動産は有限資産なので限りがあります。山林や砂漠も含めれば可能性は広がりますが、運用利益を考慮した市街地での不動産の供給や所有には限りがあります。また、近年の加熱状況を除き、マクロ経済などの影響で不動産には常にサイクルが存在するため、急激で大幅な価格変動を防ぐシステムが構築されています。

不動産市場の規模については、不動産は世界中に存在し、欧米社会の基本的なシステムが導入されています。その基盤は標準化され、馴染み深いものになっています。株式市場同様、全体的な規模は大きくとも、各銘柄ともいえるそれぞれの物件の成功は多岐にわたります。

現状では、情報開示が限定的であることによって、不動産投資への参加と投資商品開発をする上で妨げになっています。情報開示から不動産へ流入する資産の大きさは莫大なものになると思います。しかし、開発プロジェクトの期間が数年で終了してしまう事や投資家保護のための勧誘制限などにより、不動産投資をするチャンスが制限されてしまっています。

2)世界規模で見る不動産投資

また市場性における一番の問題点は、市場(国)を超えた世界共通な参加システム(株式市場のような)が構築されていない事です。不動産投資の組合を作る際に、各市場特有の規制により国内でも州を超えた投資家の斡旋が厳しくなることがあります。不動産業界において銀行などからの融資の受け入れは昔から存在していました。しかし、銀行以外のソースから資金調達を試みるようになったのはここ30年ほどの話です。

上記と同時に不動産では、法務や税務のシステムが確立されており、投資からのアウトカムが明確になっている事が、これまでの発展を可能にしました。各地域により多少の違いはありますが、全ては法律や条例を基に明確になっているため、想定外の税金や不動産所有権の剥奪などは起こりません。また、法律で明確に定められているため、地域外からの参加も現地ビークルを通して可能であり、現地事業として様々な利益を生むことが可能です。

投資手法としても、アメリカのように1031 ExchangeREITという手法を用いる事で、現物出資である不動産に柔軟性と応用性を持たせる事が可能です。

不動産(特に北米)には市場サイクルというものが常に存在しており、2000年初期頃まではそのサイクルに忠実に動いていました。例えば、米不動産市場はアリゾナ州フィニックス市場で始まり、時計回りをしてテキサス州などの南部市場で終わるというのがサイクルでした。コロナ禍による物流ボトルネックや世界的な資産の蓄えが原因で混乱している市場サイクルが元に戻るかはわかりませんが、不動産原理には安定した流れが存在している事を裏付けています。

3)海外不動産投資ブログの目的

このように、不動産を用いた資産運用方法について、各シナリオを深く追求し説明していくことがここでの目的です。専門性を用いてご説明することで、北米の不動産事情を深くご理解いただけるよう、また皆様の日々の事業に不動産を用いていただけるようにすると同時に、皆様のクライアント資産を日本国内だけではなく、世界で運用できるものにするための一助となれば幸いです。また、クライアントの皆様の投資リテラシーの向上および資産のリスクヘッジ設定に貢献させていただくことができれば、弊社として嬉しい限りです。

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