私がカナダで起業して日本から投資家を集めようと試みてもう4年ほどになります。今では日本支社の人材が専門職として投資家募集をしてくれていますが、それまで二足の草鞋を履いて日本に出張ベースで投資家募集をしてきた経験を振り返ってお話ししたいと思います。
苦労した点について
一言で纏めるなら、投資家募集活動も専門職であり、現地中心の仕事であるという事です。日本の投資業界に精通していなかった私は(自分でも株投資などしないので)ネットワークの構築もグランドアップで構築する最も時間がかかる方法しか知りませんでした。新規市場参入時や新規事業開始時は皆同じだと思いますが、まずはエンドユーザー(投資家)の求めている商品を理解することから始まりました。ヒアリングする時間もかかりましたが、得た物は多く、結果今があると思っています。
しかし、全ては自分が不動産屋であり、金融の専門家でなかったことが大きなデメリットであったのかも知れません。よって、殆どの場合は直接的に個人投資家相手に活動したり、彼らとコンタクトを持っているファイナンシャルプランナーさん達にアプローチを掛けましたが、一般投資家には国外での商業不動産は1)資金的壁が高い(適格投資家ではない)、2)商業不動産投資への理解が極端に少ない事でした。
現在は投資家様と一対一のスケールで進めていますが、自分だけでやっていた頃は一人当たりの投資可能金額が百万円単位である場合が大半だったので、購入に対して必要な人数も多く、適格投資家でもなかった事が現実の妨げになりました。中堅の証券会社などにも足を運び各社のファンドの中に含めてもらう事なども掛け合ってもらいましたが、この場合には弊社の日本国内での知名度が影響し何も実現しませんでした。
ここまでは自分達の未熟さが原因で苦労した点でしたが、ここからは北米商業不動産に対しての共通点を述べていきます。中でも一番大きかったのが、1)商業不動産への理解と2)国外投資であるという事だったと思います。
1)商業不動産への理解
不動産の中でも住宅投資は身近なものとしてご理解頂けるのですが、商業不動産にはオフィス、インダストリアル、リテールやホテルなどと種類も多数あり、各種類によっても契約や不動産運営が異なる事から理解して頂くのは難しいと実感しました。ただ、パートナーシップ(組合)などを組成し有限責任組合員になるという事で、普通の株投資に似た商品になるので理解度は増えました。ただ不動産の場合には組合でも売却期間が1年以上になる事が殆どですので、長期投資に慣れていない、好まれない日本人投資家には受け入れは難しかったように思います。現在不動産のクラウドファンディングなども多く存在しますが、1年間などの短期ファンディングではプロジェクトが未完成になりスポンサーのリスクが高騰する事で(スポンサーは利益が現実する前に再ファンディングを求める事になるので)、投資利益が低迷するのが現状です。よって、クラウドでも3年(現実的には5年程)案件に投資する事で、フィーが限定される事で、年率8%の利益が出てもおかしくないと思います。因みに最近のように金利が上昇しつつある中でも改築プロジェクトなどであれば、年率二桁を狙うのは普通だと思います。
2)国外投資への理解
今までの日本における投資家募集活動で壁になったのは、投資先市場が海外である事です。日本国内を中心に投資をされてきた投資家にとっては、海外進出の壁は、投資市場の理解や語学面でも大きな問題でした。また、以前のブログでもお話しした様に、住宅投資から商業投資へ焦点を変えるのは商業不動産の仕組みを理解する上でも難しく、この変更を海外投資で行おうとするのはハードルは高いものでした。一般日本人投資家は既に東南アジアなどへ進出している他の日本人投資家の見真似で抵抗が少ない様ですが、北米市場(特にカナダ)への壁はまだまだ厚いと思いました。実際、北米はカルフォルニア州、テキサス州やニューヨーク州などに個人的に日本から直接投資をされているグループは何組かいらっしゃる様ですが、全て事業者との個人的信頼関係からきているもので、事業者においても自ら現地入りして運営していらっしゃる方は本当に一握りだと思います。
弊社としてはこの先も適格投資家様を対象とした専門性の高い商品を提供して、世界の機関投資家に並ぶ投資利益を提供していきます。将来的には規模を拡大する事で、投資勧誘枠を広げ、一般投資家の皆様にも北米商業不動産投資の醍醐味をご経験頂ける様な商品を提供していく予定です。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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