今回も継続して日本人投資家に焦点を置いてお話ししていきたいと思います。今回は日本人投資家の強みやポテンシャルについてです。「投資家」としてのお話ですので、投資業界や戦略は関係ないと思っていますが、私は不動産の観点からお話ししたいと思います。
日本人投資家の強みとは1)「質の追求」だと思います。また、2)「詳細への気配り」や、3)「長期視野と可能性の見極め」も大きなポイントだと思います。もちろん一般論としてなので、日本人の中にもいろいろな人がいます。そして日本人以外にも、この3点を日本人以上に持ち備えている人たちはいます。海外の「オールドマネー(代々による資産継承してきている家族)」はまさにその部類の人達です。彼らに学ぶことは多く、これら3点は各家族の生き方と言うべき程に染みついています。ただこれはまた別のブログになってしまうので、それはその機会があった際にお話ししましょう。
話を戻しこれら3点についてそれぞれ話していきましょう。
1)「質の追求」
個人的な印象かもしれませんが、日本人は一般的に高品質なものを求める傾向にあると思います。もちろん高ければ必ずしも良いと言う事ではありませんが、「価格」=「質」=「性能」という考え方が浸透していると思いますので、中途半端な物件や低品質なものへの興味は少なく、高額であっても高品質な物件購入への意欲が強いと思います。
やはり高品質なものを好む背景には、投資に対しての確実なリターンの追求や故障などのマイナス要因を省きたがる堅実な成功を求める人間性から来ているのではないでしょうか?中途半端なものを購入する事で人様に迷惑をかけたくないという民族性もあると思います。ですから、物件は常に管理が施されている場合が多く、この習性は欧米人の賃借人間でも日本人所有者の物件は高品質で管理の行き通った物件という印象が浸透しており、物件内覧などでも魅力です。
質の追求は良質なテナントの確保に繋がり、継続した資産価値の維持が可能になります。これは売却時においても資産のアピールに繋がり、高価格における売却や短期の売却をもたらします。
2)「詳細への気配り」
詳細への気配りという面も日本人ならではだと思います。北米にいると「え、こんなこともしないの?」と驚く点も多くあります。改築工事でよくあるのは、見えない所の仕事は頻繁に省かれ、完成度の低い仕事が施されていると言うことです。例えば、下窓枠の隠れる部分は業者の手間という観点から塗装されていない事が「当たり前」になってしまっています。また、竣工検査でも各部屋の鍵の確認などは行われず、納品業者も各鍵の確認をしていない事が殆どです。業者は設備の提供はするものの、その確認は納品先責任という感じが一般的です。
よって、詳細部への気配りや配慮をする事で、完成度の高い物件の提供(追加修理などが不必要)が可能になり、新築物件の場合にはテナントなどとの賃料減額等の揉め事を防ぐことに繋がります。業者の物件立ち寄りも最低限に抑える事ができ、物件管理上テナントへの手間暇をかける必要もなくなります。また、物件の仕上がりを隅々まで確認するテナントも良質企業になればなるほど多くなりますので、手が抜かれた物件などでは内覧での印象も良くなく契約締結まで時間がかかってしまうこともあります。
もちろん細かい検査などを行う事で、時間や労力は掛かってしまいますが、この努力は投資資産価値の維持(もしくは上昇)に繋がりますので、無駄な作業ではないと思います。
3)「長期視野と可能性の見極め」
不動産投資でなによりも重要な事は、投資事業が複数年間継続するという事です。よって、事業開始時と竣工時では市場状況や経済状況も異なっている可能性があります。その様な中、長期視野を持つ事に慣れていて勤勉家の日本人だからこそ、複数年先の経済状況や市場状況を調査や学習から予測し、それらに対した投資戦略を講じる力を持っていると思います。
投資を検討する場合には、複数のシナリオを考えた投資戦略を考案する必要があり、その過程で各シナリオの可能性を検討し、予想する確率をベースにリスクヘッジの有無の判断を行います。よって、多くのシナリオを考える事が可能でその対策が現実的であればある程、リスクは軽減する事が可能になります。そして、リスクの軽減は投資の最終的成功につながります。
同時に、長期的視野を持つという事は、各短期的な市場の浮き沈みなどを考慮した投資戦略を考案することになりますので、一時的な現象に対応する資産投入や経費の節約にもなり、一層安定した資産運用が可能になり、投資案件の最終的成功に一役買う事になると思います。
日本人は海外投資の実践経験こそ限定されている様に思いますが、その民族性や習慣から成功する要素は多く秘めていると思います。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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