世界的に影響を及ぼしたCOVID-19(コロナ)ウィルスですが、このブログではカナダ(バンクーバー)でのウィルスによる経済影響と状況、弊社の事業への影響、ウィルスの影響と仕事の現在と将来と題して、日本の読者の方々には分かり辛いカナダにおける対策や今後の姿勢を含めた現地の視点をお伝えしたいと思います。ウィルス発生当時は海のものとも山のものとも得体の知れなかったCOVID-19ウィルスですが、2020年7月上旬の現時点では4段階の回復工程もPhase 3(Phase 4が完全回復)まで戻ってきています。しかし、この先秋冬にかけて第二波の到来が予測されており、更なるロックダウンなどの可能性も出てくるものと思われます。

カナダ及びバンクーバーでのウィルス状況

今回は「カナダ及びバンクーバーでのウィルス状況と経済への影響及び国と州・市行政による対応について」をご報告したいと思います。先ずは、当初カナダへの影響はさほど懸念されていなかったのが事実です。中国、イタリアやフランスなどでの状況は海の向こう側の話で、カナダの様な田舎国とは無関係というスタンスがありました。私なども知人との話では、「何かヨーロッパでインフルエンザがすごい事になっている」ぐらいでの噂話で終わっていました。しかし、イタリアの状況を目の当たりにし、街が完全に閉鎖され封鎖され、死亡者までもが出だした状況を見て、カナダでも予防対策から始まり、衛生管理や国境の閉鎖まで進んで行きました。現在でもアメリカとの国境は閉鎖されたままで、商業必需品の行き来以外は全く出入りが禁止されています。その様な中、家族が国境で裂かれてしまった場合は、最近やっと国境近辺のみで再開が許される様になりました。

カナダ連邦政府のCOVID-19に対する融資・補助金

5月末時点のカナダ連邦政府発表の情報では、カナダ連邦政府は$152.7 Billion(約12.6兆円@$1=80円換算)を2020−2021年用のCOVID-19関連予算として打ち出しています。また、国全体での予防や健康維持を含めたウィルス対策費用は$929.7 Billion(約74.3兆円)にまで上ると予測しています。しかし、殆どの大きな項目は連邦政府の財務諸表に掲示される数字ではないとCBC局(カナダ国営放送)は話しています。例えば、財務省関連局による融資財源の確保などもその一つです。更に、下記に同記事による大きな対策費用項目の一部を掲載します:

Canada Emergency Wage Subsidy(給料支払い建て替え補助金)$45 Billion(約3.60兆円)企業に対しての雇用維持を促すための補助金
Canada Emergency Response Benefit(緊急対応補助金)$60 Billion(約4.80兆円)各家庭の収入補助金(月$2,000を4ヶ月間) 既に900万件以上の申請があり、4月21日現在で既に$21.3 Billion(1.70兆円)が支払済み
Canada Emergency Business Account(ビジネスへの部分的払い戻し不要融資)$13.7 Billion(約10.9兆円) 各地域の主要銀行を通じて$40,000の無金利融資を準備。うち、$10,000については返済不要

弊社も先週のブログでご説明したCanada Emergency Business Accountに応募しました。その際のプロセスは、非常に簡単で、設立してから一年以上経っているか、業種は何か、BC州内に住所を持つかと言うとても簡単な質問に答えるだけでした。申請自体は弊社のメイン銀行のホームページを通じて行いますが、申請から数日で$40,000(約340万円)が弊社の口座に振り込まれました。$40,000のうち、$30,000に対しては今年の年末から返済が無利子で始まります。

ウィルスによる経済影響とカナダ国内の状況

この様なスピーディーで確実な対応から7月1日発表のEU渡航先安全リストにカナダが含まれており、今後の渡航が可能になる模様です。(アメリカは含まれませんでした) また、以前の世界的財政不況時など同様に、カナダの管理体制は敏速でウィルスの影響は極端な程に少ないものでした。カナダの人口は3,760万人ですが、現在までの累積感染合計は105,000件(うち68,000件が回復。死亡は8,600件)に留まっています。BC州(人口500万人)の場合には、全体の感染2,900件に対して2,600件が回復し、177件の死亡が確認されています。ちなみにバンクーバーの人口密度は5,250人とカナダでは一番人口密度が高く(トロントは4,300人)、サンフランシスコ(6,600人)、ボストン(5,100人)に並びます。

この様な状況でも国内全州ではロックダウンが発表され、約1ヶ月半に渡る完全な市、行政の閉鎖が実行されました。この間は本当に車一台も走る事なく、ダウンタウンも殺伐とした風景でした。しかし、この間もスーパーや病院、警察などの必要サービスは継続して提供されていました。これらフロントラインワーカーへの感謝を込めて、毎晩7時には街全体でベルやフライパンなどを鳴らしたりして、感謝の表明が習慣になりました。またテレビなどでも通常の商品購入を促す広告は打ち切られ、フロントラインワーカーへの感謝や市民全員の協力のもとにこのウィルス打破を促す広告で満載になりました。その中ではもちろん各企業イメージを上げるための副作用も含めた、各企業の寄付金額の発表も含まれていました。

同時に裁判所や行政の閉鎖により、経済などへの影響は相当なものになりました。不動産業界でも建築申請などは一時的にストップしました。後日オンライン申請が登場する様になりましたが、行政スタッフも在宅勤務になり、システムなどの相互性などの点から、時間が今まで以上にかかる様になりました。

ウィルスの仕事に対する影響

4月中旬に行われた1,300社に対しての調査を記載したBusinessInVancouver紙の報告では、38%が事業再開に難色を示しており、更に8%の返答社は閉鎖を決断したとの事です。また、同調査の返答社は経費の64%を占める人件費支払いがいちばんのネックと話しており、上記のCanada Emergency Wage Subsidyも手助けになるものの約3割の企業が申告カテゴリーに当てはまらないと返答したとの事です。また、これらサービス業での回復後の一番の心配は消費者からの信頼の再構築と業績だそうです。また、多くのサービス業では従業員を解雇して経費削減を行っている為、回復後の再雇用や再トレーニングにかかるコストに対しての不安が募っている様です。

現時点では4段階中3段階目の回復まで戻り、店舗も持ち帰り専門や食材の又売り段階を超え、営業再開になっています。バーやレストランでは制限も緩やかになり、パティオなどでの営業も可能になっています。しかし、テーブル数は距離を保つ為に半減しており、未だフル回復には至っていない模様です。

一般企業においても、強制隔離は解除され、仕事場に戻る流れも出ていますが、7月中旬の現時点でも過半数以上の企業はリモートを推奨(もしくは承認)している様に思います。当面の完全リモート体制に踏み切った企業も少なくありません。弊社においても、規模は小さいものの、リモート勤務をする事で感染から身を守るだけでなく、オフィスの必要性も疑問視しています。この面では、次週にお話しする不動産への影響も多く、今後の不動産の必要性やテナント誘致上のクライテリアも変化していくと思われます。

現在も日々新たなコロナ関連ニュースが日々発表され、今後もさらなる展開があると思います。しかし、カナダや各州(特にバンクーバー)の対応は敏速で危機管理をもった全員の参加型の協力をベースに行われており、通常の生活を過ごす上では殆ど影響が出ていません。現在も継続して影響を受けているのは、老人ホームなどの密集する要介護施設です。7月初旬ではバーやナイトクラブで感染の可能性が報告されましたが、その後は大事に至っていない様です。

この様な現状は一致団結し易く社会全体の利益を強調する国民性を表した、カナダ特有の性質を表していると思います。ある意味、昔の日本を思い出させる様なところもあると思います。また、危機管理への姿勢と居住環境としての魅力も全面的に出ていると思います。

まだ完全な回復へは遠いと思いますが、まずは国境の再開と心配なく外出できる環境の確保だと思います。

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