今回のブログは私のことながら、この度7月15日に文芸社という出版社より、本を出版させていただきました。本のタイトルは「家業を継げなかった三代目、継がなかった三代目」と言う私の経験を本にしました。内容が内容ですので、私の育った家庭環境や家族関係がお恥ずかしい程に赤裸々に書いてあります。家業コンサルタントが書いた家業についての本は今までにも複数出版されていますが、家業出身者が自らの経験を元に、家業の素晴らしい所と外部にはお話出来ない家業の痛々しい面を同時に映し出したものは、私もこれまで見つける事は出来ませんでした。私は自分が家族との問題で日々葛藤していた頃、この様な本を求めていました。そして、きっと同じ様な問題で苦しんでいる家業メンバーはいらっしゃると思い、今回の著書を試みました。

自分の家族や家業の事を赤裸々に書く事で自分の家族を恥さらす不届き者と思われる方々もいらっしゃると思います。しかし、私は決して自分の家族を世間に晒す様な事をして、復讐や身知らずな暴露本を出版したつもりはありません。家業とは複雑でデリケートな生き物です。家族の中では考えや求めるものは同じであっても、プライド、優先順位や手法は同じ家族の中でも様々です。そして、その様な違いに気がつかない、もしくは存在自体を認めないことで、家族内の亀裂は大きく深くなります。ですから、私はこの様な環境で日々葛藤をしているのは「自分だけではなかった」と思える安心と将来に向けた原動力を提供したいと思いました。その為にも、オブラートに包まれた美しい物語だけではなんの処方箋にもなりません。具体的で実在する問題を表面化するからこそ、共感出来、信憑性が生まれてくると思っています。

1)家業について

家業も家族や人間関係が基本です。ですから、この本は決して家業関係者のみに当てて書かれた著書ではありません。事業を動かすのも家族と同じ人間です。そして人間は「心」と「情(こころ)」が源になっています。お互いに共通する想いと考えがあるからこそ、お互いを信じ、安らぐことが出来る。そしてその想いへの深さが「情」として生き方に反映する。だから二つがセットなのです。そしてお互いが大事だからこそ、「尊敬」と「愛」が生まれ、家族・家業として一致団結し、もっと大きなゴールが達成できる様になるのだと確信しています。

私はこの地球単位で物事を考える時代に、日本からの貢献がGDPだけに偏りすぎていると思っています。そして、この日本経済も大きく傾いて、世界経済の中での存在も薄れている中、日本社会と経済の根底を担うのは中小企業です。そしてそのほとんどが家業であり、日本経済と世界プレーヤーとしての日本の役割をさらに押し上げる為にも、家業の存続と繁栄は必須と考えます。

2)「家業を継げなかった三代目、継がなかった三代目」について

「家業を継げなかった三代目、継がなかった三代目」は冒頭でも申し上げた通り、家業の継承と繁栄をする為には家族の内の人間関係に注目する必要があると思って書いた本です。でも、それは家業に限らず、どのご家族にも当てはまるトピックだと思い書かせて頂きました。例えば、

第一章では私の生い立ちや、枡田という家族や私の母方である長谷川についてお話ししました。私の過去を書く事で、私がどれだけ柳の様に青少年時代を過ごしたかがよく分かり、いかにロストチャイルドであったかがご理解頂けると思います。そして、幼少期の複雑な家族関係と留学後の葛藤などをオブラートに包む事なく、その時の気持ちなどを出来るだけ素直に表し、読者にも私の立場で私の人生をご理解頂ける様に書きました。

第二章の海外経験については、カナダという街がどんなところかという話から、私の留学経験についてお話しする事で、この先お子さんの留学を検討する場合の要点などを取り上げました。留学とは結果的にはカッコイイ人生上、人間を大きくさせるものだと思います。しかし、その過程ではホームシックや語学習得における苦労、自分のアイデンティティーさえも疑問視してしまう精神的苦痛が存在します。そして、海外移住を検討した場合の家業や次世代の教育やアイデンティティーの差についてもお話ししています。

第三章の家業についてでは、一般的な家業の現状や私が自らの家業を出た理由についてお話しする事で、一般的には未知の世界である家業の姿をお見せしています。家業の中で育つとはどんな事なのか、家業の複雑さや継承の難しさもお話ししました。そして経験から得た家族や先代との向き合い方や家業継承について触れました。ここでは私の経験を被せる形で継承者の視点から書いています。

第四章では、少々学識的な要素を持ち入り、家業の複雑さや紐解き方法などについてお話ししました。ここでは「Buy In」というコンセプトをメインテーマにして家業(そして家族)の存続と継承についてお話ししています。「家業の継承の本当の意味は何か?」をテーマに本来の家業の継承の意味についても問うてみました。そして、この本のメインテーマでもある「心」と「情(こころ)」についてもお話ししています。

第五章では次世代リーダーを含めた子育てについて書きました。その上でも「家族愛」に集中して子供たちとの向き合い方や親としてのあり方などについて述べています。特に私と娘たちの関係や私の教育方針を具体的にお話しする事で、この先100代続く家業構築のファシリテーターとしての役割についてお話ししています。

3)最後に

この本は出版し販売しているので、利益や会社の営業目的がないと言ったら全くの嘘になります。しかし、それ以上に枡田の家業が今まで活動させて頂いてきた感謝の現れと、一足先に海外へ出て経験(成功も失敗も)した事を共有する社会への責任だと私は考えています。そして何より、一人でも多くの方の心を軽くし役に立ち、一社でも多くの日本の家業が、この先100世代まで継承され繁栄が継続される事を心から願い執筆させて頂きました。

今回のブログは個人的なことばかり書いてしまいましたが、もしご興味を持って頂き、読んで頂ければ嬉しく思います。そして感じたことや感想を弊社のホームページ内に掲載したコメント欄にご記入頂くことで、一人でも多くの方の思いや考えが同じ状況で葛藤している人たちへの励ましや原動力になってもらえたらと切実に思っていますので、ご協力宜しくお願い致します。

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