今週も引き続き不動産売買に関わる業者についてお話ししていきたいと思います。今週は弁護士についてです。弁護士の法律的理解や彼(女)らの本当のスキルレベルについては、判断し難いのが正直なところです。司法は複雑で専門職の中でも専門性を用いる専門職ですので、弁護士の法律知識や司法内の多分野における関連性や影響に対する知識を我々素人が評価する試み自体が、無謀だと思います。

ただ、昔枡田の顧問弁護士で某有名邦人企業の顧問を行っていた先生曰く、弁護士への依頼(よって彼らを厳選する際も)は丸投げしてはいけない依頼者も法律を学び、一定の理解を持つ必要があると言われたのを覚えています。よって、私も大学では法律を多少勉強し、不動産契約については随時学習するようにしています。これらを用いることで、一定の会話レベルを保つ事が可能になり、各弁護士候補が自分のニーズに合っているかを判断することが可能になると思います。

また、各弁護士の良し悪しについては、巷の噂、経歴、専門分野や考え方や照会状を得るなどして第三者からの評判を得て判断することも可能だと思います。こちらの弁護士も日本同様に司法の中でも専門性は分かれており、企業関係弁護士は裁判所に出廷する事がない弁護士がほとんどですので、判定の配分を聞いて判断することは不可能です。

ですから、私は次の点に注意して弁護士を選び、仕事を依頼するようにしています:1)人間性(性格、考え方)、2)仕事へのアプローチ(対処方法、取り組み方)、3)現在と将来ニーズ。ここは当初の「良い弁護士」の選考基準をクリアした後、数名の中からどうやって一人を選び、付き合っていくかを判断する段階とお考えください。

1)人間性を見る

どのような関係にも値しますが、人間性が全てだと思います。そして、それを厳正に判断することほど大切なことはないと思います。私が思うところ、各分野での専門性とスキルレベルは大事です。しかし、ウマが合わないとそれらクォリティーも無駄になってしまい、それ以外の面での心配が増えストレスが増してしまうと思います。例えば、弁護士への業務依頼数が増えれば、各賃貸契約書も弊社用の雛形が出来てきます。よって、毎案件60ページほどある賃貸借契約書を細かく見直して、表現や言葉の使い方などを見直す作業も省ける様になります。しかし、ウマが合わない、若しくは自分の考えを深く理解してもらえていなければ、弁護士への信頼性も低くなり、変更がある度に細かく確認する羽目になってしまいます。

ですから、弁護士に限らず、自分が心から信頼できると思える人を自分のチームに呼び入れるべきだと思います。同時に弁護士の場合には、多条件下で仕事(分野、クライアントサイズ、内容[売買、賃貸、改築]、地域など)を経験している弁護士が必須だと思います。案件によって法務的必要性は変化しますし、各クライアント企業のサイズやニーズも異なる訳ですから、それらを理解してくれている弁護士の方が、弊社のニーズを一層理解してくれると思っています。

時々出会いますが、人間が冷たく、仕事をこなすだけの敏腕弁護士もいます。ここは各読者の好みだと思いますが、私が必要としている弁護士は、私と言う人間を理解して貰えていることです。そして、私のこの先の必要性や方向性を理解してもらえる事で、各案件をまとめるだけの弁護士ではなく、弊社の10年後の全体像を司法という観点から見た助言や企業成長に大いに貢献してくれます。

2)仕事へのアプローチ(対処方法、取り組み方)

弁護士は時間で仕事をしてくれると同時に、緊急性を要するのが通常です。よって、弁護士のクライアント数や仕事量にも注意を払う必要があると思います。昔敏腕弁護士にお願いしていた時期がありましたが、あまりにも多忙すぎて、返事が遅いという事が頻繁にあり、他の弁護士を新たに探した経験があります。

また、仕事の取り組み方法として、全て自分で行う弁護士と助手などに任せる弁護士という面でも正しい見分けが必要だと思います。例えば、時間給が$700や国内で70,000円する弁護士の場合、全てをその価格で行われると、請求額は途轍もないものになってしまいます。また、クライアント数から言っても、その価格で対応すれば返答が遅れるのは確かです。まあ、今まで会った弁護士の殆どは自分の仕事量から見ても、効率よく部下に任せる人が多かったのはいうまでもありません。しかし、部下の有無を確認する以上に、部下の経験年数や内容と仕事を振る割合についても各弁護士にインタビュー時に確認しておくべきポイントだと思います。

もう一つ大事な点は、仕事の範囲・特技ともいえる長所です。事務所の大きさにかかわらず、各弁護士の専門性を知る事で、依頼者としてどこまで案件を依頼できるのか・してよいのか、把握しておくことは適材適任の観点から考えても大事です。大きな弁護士事務所であれば、必要専門性が欠けていても、同弁護士事務所内で補うことは可能です。しかし、冒頭にも申し上げた様に、弁護士も人間関係が最重要点だと思っており、いくら一流弁護士事務所の同僚弁護士であっても、スキル加減には波があると同時に、自分の事業を理解してもらうためのダウンタイムも発生します。この辺は弁護士を検討する上ではとても貴重な点だと私は考えます。

3)現在と将来ニーズ

上でも触れましたが、弁護士に限らず、弊社のチームには我々が目指している所や方向を当初から理解してもらう必要があります。よって、弁護士と関わる場合には、特に構造を作り上げていく上でも、将来のニーズを加味した選択基準が必須です。もちろんその必要性が来た時に弁護士事務所を変えることも可能です。しかし、それには時間と業務のダウンタイムが発生し、チーム内の信頼という点からも望ましい判断ではないと考えます。

私の性格かもしれませんが、私はコスパを常に100以上にしておきたいと思っています。よって、各チームメートからは現在の関わり(業務)だけでなく、現在の関わりを通じてプラスアルファな切磋琢磨を常に求めています。

例えば、新しい法律が出る場合には、今後それらがどの様に弊社の活動に影響してくるのかなどの「予告」知識をもらえる様促しています。予告されることで、法律的対応を丸投げ依頼するのではなく、自分の行き先を自分たちで決め、それで足りないところを弁護士の力を拝借する。それにより、常に数歩先を行く準備と対応策を講じておくことが可能になります。よって、新法律が発足された時には、ダウンタイムなく準じた姿で業務を進めていくことが可能になります。

弁護士はご存知の様に企業の業務の全ての面に影響してくる重要な役割です。よって、弁護士をうまく使うことは会社経営を左右する事になると思います。だからこそ、自分たちの必要性を確認し、現在の必要性だけでなく将来の成長を手助けしてくれる経験と理解力豊かな弁護士は貴重な存在です。

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