今週のお話は建築家の仕事を形にしてくれるゼネコンです。ゼネコンというと数百人単位の社員がいる大企業を考えるかもしれませんが、ゼネコンにも色々あり、我々が絶大な信頼を置くBon Constructorsは弊社の様に小規模のゼネコンです。各プロジェクトを遂行する為にも、Bonでは複数の独立業者と契約して人員を確保しています。弊社としても大きな企業では相手の顔も見えなくなり、プロジェクトの予算の使われ方が明確でない事に大きな疑問と不安を抱いています。全てのゼネコンにおいて予算の使い方が乱暴だとは思いません。しかし、企業が大きくなれば、それだけの人件費・労務費もかさみ、結果我々のプロジェクトコストが高騰してしまうのが現状です。また、弊社のプロジェクトサイズが小さめである事も、この現状をさらに明確にしているのかもしれません。私は我々同様の小規模企業と仕事をする一番のメリットは、トップ同士での仕事が可能になり、絶大な信頼を築く機会を与えてくれる事だと思っています。

余談になってしまいますが、このブログを読んで下さる方々の中には、企業の社長様も複数いらっしゃる様にお見受けします。その様な方々が各プロジェクトに一々顔を出していたら、会社が回らないと仰るかもしれません。私も同感で全てのプロジェクトの全工程に参加していたら、逆に非効率になりクライアントの為にならないと思います。しかし、そこで考えるべき事は、クライアントは「一番何を求めているのか?」だと思います。各クライアントが求めているレベル以上の仕事をする事はもちろんの事、各サービス提供者を選んで心から良かったと思い、信頼感、充実感、達成感や安心感などを提供する事ではないかと私は思います。その上でもゼネコンに対しての満足度は1)仕事の細かさ、2)下請け管理、3)予定・予算管理にかかってくると思います。

1)仕事の細かさ

ゼネコンの選び方は全ての業者を選ぶプロセスと同じです。弊社もこのバンクーバーという新規市場へ参入した時には、関係業者の選択に相当時間を費やしました。特に強調した点は、トップの顔が見え、「人間性や考え方が共感出来るか?」や、仕事ぶりの細かさです。北米のプロジェクトではよく見えない箇所はコスト削減の為、工程を省く事が頻繁にあります。例えば窓の額縁などの下面は屈まない限り見えない為に塗装を施さない業者が多くいます。これら直接見えない部分もしゃがみ確認する姿勢は安心をもたらし、我々の最終建築検査手順においても時間の節約に繋がります。または、ボイラー室や用具保管庫などの施し方でも、業者の姿勢がわかります。もちろん、これら箇所を省く事で、予算の削減が可能になりますが、結局はその匙加減だと思います。見えないから全く何も施す必要がないというのは、私は違うと思います。過去のブログの第31話「弊社第2プロジェクト:工程」でも工程については既にお話ししているので、そちらもご参照ください。

仕事の細かさでもう一点お話しすると、資材の検品も大きな要因だと思います。納品される資材を全てそのまま受け入れるのか、それとも木材も一枚一枚検品し、木目がひどい場合には資材の交換を求めるか?この様な手間が増えても物件の最終的な美的と見た目を大事にしてくれるゼネコンの姿勢は弊社のプロジェクトを大事にしてくれている証だと思い、大事にしたいと思います。

2)下請け管理

ゼネコンは各下請け業者の選択を行い、遂行に必要な人材を準備してくれます。人選、コスト管理やスケジュール管理から品質管理や引渡し資料の確認までが含まれ、中でも最も重要なのが、下請け業者の選定と管理です。通常、業者は与えられた作業をいち早く丁寧に終了することを求められますが、これだけではのちの工程への配慮がされていないことが多々あり、結果全体の作業工程が遅れてしまう事もあります。例えば、配管用のコンクリート穴あけ作業は「のちの塗装や配管設置作業まで配慮しているのか?」などです。この様な全体を考えた各業者(及び作業員)の考え方や仕事へのアプローチは各工程としては小さいかもしれませんが、全体的な流れや仕上げを考えると決して小さな手順ではありません。ですから、各業者の選定では作業へのアプローチだけでなく、社内教育などのソフト面についても考慮する事は大事だと思います。

そしてこれを徹底するのが、ゼネコンの責務であり、ゼネコンが開催する当初の業者とのミーティングだと思います。私どもも発注者としてこれらミーティングには参加し、我々からのスタンスを理解してもらう為の説明は行います。しかし、現場監督はゼネコンですので、そこのバウンダリー(領域)を超えない事は発注者としてとても重要なことだと考えています。

3)予定・予算管理

私見でのゼネコンの最も重要な仕事は予定と予算の管理です。彼らの段取りや作業工程のプラニングと各工程の理解はプロジェクトの成功に直接影響します。その面でもゼネコンの長所短所を理解する事は、発注者の責務を全うする上でも重要な役割です。再度申し上げますが、弊社はチーム体制を組んでおり、関係業者とは透明性(隔たりのない)関係の構築を重要項目として掲げています。そうすると弊社が付き合う企業は全て小さめのオーナー企業になってきます。ですから、各業者もオールマイティーではなく、専門性を追求している場合が多くなります。よって、発注者として彼らの強みをさらに把握して付き合う必要性が求められます。

予定と予算の管理を成功する為にも、ゼネコンとの頻繁で定期的な現場でのミーティングは重要な要素です。私共としては現場で各工程を歩いて見回る事で作業の質、プロジェクトの進行状況が理解できると考えています。さらに、発注者が現場入りする事で、現場での即答が可能になり、作業の一時的な停止状態を防ぐことが可能になると考えています。ゼネコンとしては、発注者が頻繁に現場入りする事を気持ちよく思わない場合も過去にはありました。しかし、目的を明確にする事で発注サイズに関係なく現場との意思の疎通が可能になると私共は考えています。

また、現場入りする事で、図面状では見えなかった問題点や要改善ポイントも出てきます。それらを現場監督の判断に一任するのでは無く、発注者としてその場で即対応する事は、ゼネコンからの信頼を得る上でも大きな役割を果たすと思います。また、予算については現地の即断で工程を多少変更できる場合も出てくるので、多少の予算修正(増額を修正する意味でも)が可能になります。

ゼネコン業者は建築家に次いで弊社プロジェクトでは重要なチームメートだと我々は考えています。建築家同様、弊社の考えや想いを汲み取ってもらう事はとても大事だと考えており、彼らの力量でプロジェクトの成功が左右されてしまうのも事実です。ですから、ゼネコンの考え方や素質は技能にも勝る要素だと思っています。

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