前回のブログでは留学の目的やお子さんの支援策の必要性についてお話ししましたが、今回は私や娘たちの経験をベースにした現地校のお話をしたいと思います。具体的な学校のシステムや習慣や規則は各学校や地域の教育委員会によって異なりますが、このブログではBC州のビクトリアにあるSt. Michaels University School(SMUS)での経験(関わり)やアメリカの大学を基にお話しします。

1)学校の教育面・生活面

公立の編入する際の最低年齢条件は把握していませんが、現在のSMUSでは子供が一人で留学出来のは8年生(中学2年)からになっています。私の時代では小学一年生から寄宿生がいましたが、英語が話せる子供でも精神的打撃が想像以上であった事は申し上げる必要もありません。そして、現在の公立学校のシステムでも留学生の受け入れはされており、生活支援面でも現地ホームステイ先(業者含む)などと連携して留学が可能になっています。中学生レベルでの留学については、各区域によって異なるかも知れません。

日本人留学生にとって語学の壁は高く、SMUSでもESL(English As a Second Language)の語学サポートシステムを取り入れており、普通科に参加出来る様になるまでは、語学習得に密着するシステムになっています。今では語学留学だけというプログラムも取り入れている様です。私の場合には中学3年生から留学しましたが、「Hello」を学ぶところから始まりました。語学を率先して学ぶ気はなく、結局9年生(中学3年)と10年(高校1年)時は完全なプライベートセッションで、同学級生と日中関わりを持つ事は殆どありませんでした。結果、中3、高1時の学習知識は全く残っておらず、のちに相当苦労したことを覚えています。

また、生活面では一部屋2〜3人部屋に配置され、部屋の中で勉強もする様になっています。私が在籍していた1980年代からは寄宿環境も改善し、現在はとてもアトホームな環境になっている様です。寄宿長のタイトルも「Boarding Master」から「House Parent」と改名され、第二の親として生徒たちと関わっています。食事は3食食堂においてビュフェスタイルで好きな物を食べる様になっています。この頃の食事内容も大分改善され、主食も複数の中から選択し、サラダバーなども施されています。大学ではバフェスタイルにスープやサラダバーがありましたが、やはり炭水化物をメインとした献立が多かったです(パスタバー、ピザバー、ポテトやハンバーガーなど)。我々の頃は「First Month, 15 Pounds」という言葉が流行り、学年始まりの9月1ヶ月で15パウンド(約7.5キロ)太ると言われていました。しかし、食べ放題でも育ち盛りなのは、どのレベルでも同じ事で、よく夕食後に近くのコンビニやドーナツ屋さんに買い出しに出ていました。

ご学力がままならない日々でしたが、今でも良く覚えているのが各教科の関連性についてです。これは以前のブログでも軽く触れましたが(第51話第52話など)、例えば、歴史では各隣国を比較した社会情勢や科学の発展(戦争や医学の発展)などについても質問され全体的な関連性が強調されていたのを覚えています。英語のクラスでは1年間に小説を4〜5冊読み、話し合い、数回の作文(レポート)の提出が求められました。イギリス系という事もあり、毎年シェークスピアを一作取り上げて勉強します。ディベート(討論会)の時には、クラスを分けお互いの論点について話し合います。ここでは自分たちの意見だけに集中するのではなく、相手の発言を想定し、それに対しての反論を考える事が求められます。結果、自分の主張だけでなく、観察力と討論力、そして自分の考えを育む力が要求されています。よって、自己見解ではありますが、勉学上の「成功」とは「ずば抜けた一教科」の成績ではなく、平均的でも各教科の関連性を習得している勉強だと思います。

同時に人間としての道徳や大きな社会の中での役割という事も大きな学習項目だったと思います。毎週の朝礼では、プロテスタント教としての教えだけでなく、生徒の日々に関連した教えを行なっています。小学校では、学校の基本的価値について生徒からのインプットを交えながら考え合い、スライドや音楽を用いた実践教育を行なっています。中高でも同じような指導が継続していると聞いています。

2)日本とカナダの違い

しかし、これなら日本の学校でも行われているように思います。では何処が違うのか?きっとそれは根本的な社会的考え方ではないでしょうか?北米では、子供に対しても日本以上の独立性を与え、人としての尊重度が高いと思います。よって、学校では生徒は学ぶ立場にありますが、基本的な意見や本人の尊重は小学生や幼稚園児の時から行われています。そして学年が上る度に人間としての立場の平等性は重視され日々の学校生活などでも表されています。それはコミュニケーションが全ての基本であり、お互いの立場は暴力や権力で脅かされる物ではないという考え方に帰属しているからです。これは大きな社会の仕組みの基本でもありますが、家庭内でも同じ理論で育まれています。ですから、親だからと言って決して手をあげる事は許されず、大人と子供のコミュニケーションでも威圧的な「会話」は子供の権利を害すると判断されます。カナダでは特に子供に手をあげた事を学校が知ると(若しくは学校内で起こると)、学校は社会福祉相談所に連絡する義務があり、後者は警察への報告義務があります(あった筈です)。また、学校側としても生徒の問題は親を巻き込んだ案件に発展し、非協力的な父兄に対しては社会福祉相談所が関わる事もあります。

じゃあなぜ社会福祉相談所が関わる事を拒むかというと、それは親としての責任が問われ、親へ罰則が下され、最悪の場合には子供の親権問題(施設や州へ親権の移動)になるからです。例えば、「問題」親はカウンセリング等の参加を裁判所の判決で義務付けられたりします。

極端な状況を除き、バンクーバー(カナダ)の未成年は日本的な「非行」に走る(警察ごとになる)生徒が非常に少ないと思います。上記でも説明したように個人の尊重があり、日本に比べおおらかな社会環境は大きなプラス要因だと思います。その上、私立以外では制服がないというのも大きな要因だと思います。この様に社会的にも個人に焦点が置かれ個人の表現が自由な環境では、法的な問題を犯してまでも自分の存在をアピールする必要がないのではないでしょうか?もちろん、生徒の中には喫煙をしたり、飲酒をしたりする生徒はいます。(隠れ飲酒も含めれば多くいます)またこの頃はBC州の医療目的マリワナなどの消費も問題になっていますが、全て破壊的行為ではない所が大きなポイントではないかと思います。(もちろん、違法行為は全て警察マターになり退学対象になります。)社会的な環境が基本的にリベラル系で、左寄りである事が、もう一つのポイントでもあると思います。

だいぶ脱線してしまいましたが、学校環境に話を戻すと、カナダの学校では部活の朝練というものは殆どありません。また、放課後の部活も一年を通して同じ活動をする事は殆どありません。よって、各季節で提供される活動が異なります。

3)留学のメリットと費用

そして留学の一番の醍醐味は新しい友人関係だと思います。新たな日本人の友人を作る事もあるかもしれませんが、世界的に友人を作れる事は素晴らしい事だと思います。今まで日本がメインであった考え方や生き方から異文化の視野や考え方が理解(習得)できる様になります。これは将来的な人間構成にも大きく影響し、異なる視野や考え方などに対しても「理解するが、同意はしない」見解を持つ事に繋がります。同一文化内でも異なる見解は存在しますが、ここでのポイントは異なる歴史やバックグランドを持った人との会話における理解です。地球ベースで考えられるべき現世の中では、このスキルは貴重な個人資産だと思います。

大学への受験というものも、日本で知られているようなセンター試験はありません。BC州では今まで行われていた州均一試験(Provincial Examinations)も排除され、大学への入試は書類審査が主になっています。アメリカの大学入試には未だ一律試験であるSATPSAT(予備SAT)が求められ、英語が母国語でない生徒にはTOEFLTOEICのテスト結果が求められます。

父兄として最も興味があるのが、金銭面だと思います。Vancouver School Board(バンクーバー教育委員会)の数字を参照すると、年間(10ヶ月)の授業料は$15,500(約124万円)になります。(私立だと若干高く、$16,500〜19,500です)公立の場合にはこれにホームステイ費用が加算される事になります。現時点では月々$1,000(約85,000円)プラス数万円の申請費用だそうです。

これが私立の場合ですと、高校生にもなれば、寄宿生の1年間の合計授業料は約$65,000(約550万円)プラス保険や申請費用になっています。これには生活費も含まれていますが、日本からの旅費や各月にあるロングウィークエンドにかかる費用などは含まれていません。(ロングウィークエンド中は基本学校が閉鎖するので、寄宿生は友人のところなどに居候する事になります)

長くなってしまいましたので、大学については次回のブログに持ち越したいと思います。

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