今回は企業の視点から見たリーダーシップについてお話ししたいと思います。既に創業者世代を過ぎた企業では、歴史があり、創業者の考えが大きく影響している社訓や文化が存在していると思いますので、今回はこの様な複世代の誇れる歴史がある企業に焦点を置くのではなく、創業者として今経営に関わっている企業に焦点を置いて私の考えをシェアしたいと思います。

1)創業者の状況

既に何度もご説明しているので、ご存知だと思いますが、私は枡田の家業では3代目の後継者でした。しかし、独立した事で、私が率いるKM Pacific Investmentsグループでは創業者になります。私としても枡田の家業の創設者である祖父の考えを汲み、そして信じておりますので、枡田の家訓である「感謝」と「共存」を弊社のコア部分の社訓に用いています。しかし、歴史や文化は今後の事業継続により構築されて行き、自分達の一部になると思いっています。

しかし、多くの創業者レベルの経営者はとにかく事業を立ち上げる事が先決で、長期における企業の考えや方向性が明確になっていない企業が多い様に思います。もちろん現在の社会情勢を考えると先が暗闇に包まれ、明日の事より今日をこなす事に迫られている経営者も多いと思います。弊社も例外ではありません。個人レベルでは裕福な資金を与えられたものの、起業を考えれば(特に不動産事業を始めるには)、小さな雑居ビルを買うのも困難なほどのスタートでした。事業で利益を収めてきた事も、存続の大きな要因だと思っていますが、私の思には日々の業務をこなすと同時に「目的」、「想い」と「価値観」を常に見失う事なくやって来た事だと思っています。そして、これらと同等に大切なのが、「長期ビジョン」です。

「目的」、「想い(情熱)」、「価値観」は事業の基盤になる部分だと思っており、必須だと思っています。我々の10年間も浮き沈みが激しく、財務的に将来の展望的にも厳しい時はありました。このコロナ禍の中、そして去年プロジェクトを取りやめた事で、楽園状態でないのは現場です。しかし、常にこの3点を重んじ、ブレる事なく、信じ続けてきたからこそ、今日の我々がいるのだと確信しています。

2)企業の目的

読者の皆さんの「目的」、「情熱」と「価値観」はなんでしょうか?それは表面的なものではなく、10年後や30年後でも継続できるものでしょうか?(注:弊社では30年を一世代と考えています)

昨日も偶々更新中のホームページの原稿について、社内のチームメンバーと話していたのですが、経営者にとっては「企業理念」と「経営理念」というものがあると思います。我々の考えでは、「企業理念」というのは世代を超えて企業が存続する限り継続される考えだと理解しています(目的や価値観)。そして「経営理念」というのは、各経営者の世代の考えだと我々の中では話していました(想いや事業手法など)。

弊社の「目的」は社訓である「感謝」と「共存」をベースにWin-Winな関係から全関係者(投資家のいる日本社会や投資先社会を含め)が利益を得た上に存在する社会向上に貢献する事です。この「目的」は私の起業世代のみならず、企業が存続している間の基本的考えと思い、遂行して行く考えです。また、私個人的には、この考えは企業レベルのみに帰属ものではなく、個々の枡田の家族メンバーの考え方とした人生上の道標でもあるべきだと思っています。

同時に私の代での「経営理念」は不動産投資家としてフラットで透明性の高いチームワークを元に、「有言実行」、「差別化」と「挑戦」を根底とした投資手法で事業の拡張を進めていく事です。よって、私達は再三申し上げて来ている様に、チームがチームとして動けるように、小回りの効く、小規模企業として、各社員の専門性を最大限引き出せる事業体制を継続していこうと思っています。

私どもは各投資を行う際には、子会社を作り事業に取り組んでいる為、事務的作業や法務、会計面はますます仕事が増していく事になります。そして、カナダ(本社で投資先)、アメリカ(投資先)と日本(資金調達)で事業展開を行なっていくことで、カナダの本社規模より、各子会社や事業部の方が人数的にも大きくなり、全ての経営判断の優先順位も子会社や各事業部主体に移り変わって行きます。そうなると各事業所や各人材のスキルが強調される事になり、サラリーマンメンタリティーでは弊社に在籍することは不可能になります。よって、各社員にとっても自分の会社同様な考え方を持ってもらう必要が増し、それを可能にする為にも待遇も相応なものに向上させる必要があります。しかし、これこそが私が先にお話ししたWin-Winな関係というものです。そしてこの様に社員が自分の会社として考えてくれる事で、リスクヘッジにもなり、会社の将来や各プロジェクトの成功にも関心が増し、安定をもたらすと考えています。

そして、これら各ポイントと同等に重要な「長期ビジョン」ですが、これは大き過ぎるぐらい、今では全く達成不可能でありながらも辿り着きたいと思うゴールであるべきだと思います。過大なビジョンであるからこそ、挑戦のしがいがあり、常に前を向いて進めるのだと思います。ビジョンであるからには、自分の中で本気に信じられるもの、強い意志で成し遂げたい事である必要があります。そして、これだけ強く思うものであるからこそ、途中で多少の右往左往や後退があったとしても、常にゴール目掛けて突き進む事が出来るのだと思います。

3)人材=人財

この様なマルチレベル(とプロセス)で考える事で、現在の経営上の問題や業績のみならず、将来的展望が提示され、今後の努力や成し遂げていかなくてはならない課題が浮き彫りになってくるのではないでしょうか?私も我々の長期的ビジョンを達成するためには、現在の人材や私の経営知識だけでは既に限界を感じています。よって、事業拡大を可能にする為にも、長期ビジョンを遂行する為の助人が必要だと気がつきました。しかし、良い人材に巡り合うというのは、経営者にとって日々の業務遂行より困難で時間を要する仕事かもしれません。でもこの様に小さい会社だからこそ、やることが尽きず、常に先を考え、自分にそして環境に挑戦して行かなくてはいけません。

挑戦というと大それた様に聞こえますが、明確な達成地点があるからこそ、そこへ突き進むことさえ考えていれば良い訳で、至ってシンプルな作業に思えてしまいます。弊社には素晴らしいチームメートがおり、各自の限界へ挑戦してくれています。なので、私は自分に与えられた仕事である、「アイディア屋」に集中する事が出来ています。今こうやってこのブログを書きながらも、以前のブログでお話しした、社員が企業にとって最も高価で重大な資産である事を実感しています。

私どもも多くの読者の皆様と同じ様に、今後の30年、100年を考えながら、10年後の仕事に日々没頭しています。

今回のブログでは私の経験や現在の状況を取り込むことで、ケーススタディーとして読者の皆さんの状況に当て嵌められればと思い、色々書きました。家業に限らず、皆さんの事業の長期安泰と成功をお祈りしております。

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