前回の会社を視点としたリーダーシップの考え方から一変して、今回は「個」から見たリーダーについてお話ししたいと思います。具体的にいうと、リーダーという人間の1)生き方や考え方(価値観)、2)人生の目的や3)次世代へのバトン渡し(教育方針など)です。

0)リーダーの公私

皆さんは企業のリーダーの「公(社会)」の姿と個人の「私」はどの様に扱われるべきだと思いですか?公の立場では「XXのトップ」として経営能力や会社及びその社員を導く力が問われます。それは非公開企業においても、スケールはさておき、同じ事だと思います。「公」からみる判断が上場会社であれば、株価に反映するでしょうし、非公開会社でも融資取り付けや取引先などから査定をされ、融資額や条件、若しくは契約に反映してくると思います。

では、「私」のレベルではどう取り扱われるべきでしょうか?「個」であるから、企業とは切り離し個人のプライバシーを尊重し、私生活面での出来事は密閉されるべきなのでしょうか?それとも、「個」であっても「XXのトップ」であるからパブリックインフォメーションの一部として開示されるべきなのでしょうか?

これらは極端な例だとは分かっていますが、リーダー格と人間の関係については考える余地があるのではないでしょうか?私の中ではリーダーは個人であっても公寄りの人間であると思っています。しかし、このスタンスには補足が必要です。

企業のリーダーとしては、トップは会社や団体などの公の場において社会に影響をもたらす立場の人間です。家業などの非公開企業の場合は株主が社長若しくはその家族である為に、公な立場にはないとおっしゃる読者もいらっしゃるかもしれません。しかし、いかなる企業であっても、公に属する消費者を相手に(それがB2BやB2Cであっても)サービスや商品を提供する事で、ある程度社会への影響力を持つ事になり、公になると考えています。また、非公開企業で社内情報の開示が極端に少なくても、公というグループに属する人々(社員)を雇用する事で、公との接点を防ぐ事は不可能になると考えます。

同時に、リーダーの「私」の部分については、さらなる説明が必要で、私が上で申し上げたリーダーの「私」も「公」であるべきというのには制限と限度があります。私の中ではリーダー格の人間の考えや、生き方、他の人間や社会との接し方については「公」の質があると思いますが、個人レベル(例えば、バケーションの渡航先や食べ物の好き嫌いなど)については「私」のレベルで「公」にされるべきではないと思います。これは当たり前の考え方だと思われるかもしれませんが、パパラッチなどが多いこの世の中で全ての情報が公共情報と思われる傾向もあるので、あえて記載しておきます。

1)生き方や考え方(価値観)

では、前置きが長くなりましたが、「個」のリーダーシップについてお話ししたいと思います。

私の中ではリーダーの生き方や考えである価値観と言うのは、その人の人生に対する向き方だと思います。どの様な人生を生きたいか、大事なものは何かなどの自問自答は、その人の精神的キャパや行動力を示すものだと思います。そして、それはその人のリーダーとしての素質を表すものでもあると思うので、私は、「私」も「公」に近いと思っています。

また、リーダーは個人であっても、その考えや生き方が「公」である会社で遂行されれば社員やその家族の将来にも影響します。その上、「私」の個人的考えや生き方とは全く別な、まるで二重人格のような生き方や考え方を「公」で発信すると言うのは不可能だと思います。よって、個人レベルにおいても、「私」が「公」に近いだけでなく、社会への影響を考え、社会の為になる(ソーシャルグッド)を含めた価値観をもち、それらを追求する必要があるのではないでしょうか?

リーダーの素質と言うものも「金銭的利益を生む力」だけで図られるべきではないと私は思っています。金銭的利益は会社存続の為には必要不可欠なものですので、決して疎かにしてはいけない点だと思いますが、それが決して最優先順位でも無いと思っています。具体的な「利益」の着地地点は各経営者や各企業の社訓や文化によって異なると思いますが、私は循環的経済(各自の行いは回り回って社会向上につながる)やWin-Win(相互利益の追求)な仕組みが社会の向上を経て、個人の人生をさらに豊かなものにする事が可能なのではないかと思っています。よって、私の着眼点は「長期的社会の繁栄から来る自分たちの繁栄」で、この継続的な繁栄こそが弊社の利益だと考えています。

2)リーダーの目的

今までの「公」と「私」の視点からリーダーの素質を考えると、それはやはりリーダーの目的にかかって来るのではないでしょうか?ここでも「私」レベルの人間としての生き様が、企業のリーダーシップを発揮する「公」の場で表面化され、企業の行く末にも大きく影響されています。

例えば、枡田耕治としての「私」の目的は「末永い家族の健康と幸せ」です(そして「公」としては社員やその家族の幸せというもあります)。しかし、それを達成する為には地球レベルでの共存と平等な環境が必須だと思っています。これらが達成される事で、核、ウィルス、経済戦争がない世界で平和で安心する生活が可能になると考えるからです。

しかし、世界はまだ一つのグループになっていない為、各国がこの共存と平等な環境作りに励む必要があります。それは日本が世界の土俵で存在を明確にする事です。しかし、それが現時点ではできていない為に、枡田は「公」の立場で不動産投資組合などを通して日本人の金融リテラシーの向上と日本以外での投資から日本の存在感を世界にアピールするのが私の任務だと思っています。これら「私」と「公」の目的は一致していない様に見えますが、全ては繋がっており、循環的経済の一部だと思っています。

3)次世代教育

そして、もう一つ大事なのは、教育です。これは決して学校や塾での参考書を読んで得る知識ベースのものだけではありません。知識はいくらあっても知恵として使えるツールになっていなければ無駄です。ですから、本からの知識を実践して自分の経験にするだけでなく、自分の五感を使った体験から物事を理解したり、違う環境に遭遇する事が大切だと思っています。自分の住み慣れた環境以外の社会、文化や歴史などの経験で各社会への理解が増し、地球レベルでの共存や理解が可能になると私は信じています。もちろんこれは時間がかかり、私がしている事は雀の涙かもしれません。しかし、大河も最初は上流の一滴から始まっており、誰かがどこかで始めなくてはいけないと思います。

だからこそ、他文化を理解できる様な留学やバックパックを背負った一人旅は人生経験を豊富にさせ、個人の知恵を増やし、人間としても大きくしてくれます。私は未経験ですが、海外青年協力隊や同じ地域の中でのボランティア活動なども同じ様に自分の肥やしになります。

しかし、次世代の若人が活躍する際にもち備える「資源(知恵、経験、など)」をタイミングよく持たせるには、親(リーダー)の先見の目が必須です。

家業などの中で歴史や習慣を教えるのも一つですが、市場枠が国の単位を超えて世界枠に移り変わっている現在、リーダーとしての眼も世界に向けてあるべきではないでしょうか?それが本当の意味で、次世代リーダーを教育できるリーダーの質なのではないでしょうか?

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