今週はバンクーバーの現状をお伝えする上でも影響ある資金の流入元である香港や中国について、バンクーバーの視点からお話ししたいと思います。特に資産の流れという面で最近こちらのメディアで出ていた記事をもとにお話ししたいと思います。

©CBC News: The National: Money laundering hurting Canadian homebuyers

©Global News: How Chinese gangs are laundering drug money through real estate around the world

香港や中国からの資金流れ

こちらの主流メディアの一つであるFinancial Postは3月末に香港から資産流出について報道し、現状を語っています。それによるとコロナ禍の真最中である2020年でも資産流出額は歴史的最高額に達し、CND43.6 Billion(約3兆490億円)の送金がカナダの金融当局に報告されたとのことです。金額的にも目を見張る金額ですが、これは$10,000以上の送金に対しての報告義務であり、これ以下の金額、個人の口座間の送金、もしくは仮想通貨での送金や非合法的手段での送金については理解不可能となってしまい、現状が分からないのが実態です。

事実、去年暮れには中国の金融機関から借りたお金で夜逃げした債務者が、バンクーバーにて豪華住宅を購入した際、中国の債権者(金融機関)がBC州の高等裁判所で告訴し、中国の金融業者が勝利を得たというニュースがありました。物件は即売却され、債務は返済されたそうです。関わったBC州の弁護士は、これは氷山の一角でしかなく、今後もこの様な事件は増えるだろうとコメントしていました。また、巷の噂ではこの債務者はこの裁判後に姿を消してしまったとの事です。中国当局に連行されたのではないかとの話も出ていたぐらいです。

このほかにも、BC州では継続して原住民が運営するカジノでの資金洗浄が問題になっており、BC州住民が香港や中国から現金を持ち帰ったり、闇ルートによる送金で、カジノを通して洗浄された金額が計り知れないほどの高額になっています。

現在もカナダの資金洗浄は大きな問題であり、節穴が多く存在していると報告されています。G7の一員でもあるカナダにおいてもこの様な問題が頻繁にある事は、カナダの国際社会内での位置付けにはまだ山積みの課題が残っている証拠かもしれません。

しかし、今回の一連の中国からの資金流れは2020年7月に中国が発令した香港機密法(Hong Kong’s security law)がもとになっており、その後からの動きが活発になっているとのことです。

2020年3月時での合計送金金額は2016年比で46パーセント、2019年比では10パーセント上昇しています。某移民コンサルタントは1年間で36家族の移民申請を行い、各家族は約CND1.5Million(約1億2,000万円)の資金を持参しているとの事です。また多くの申請者は香港の家を含む全ての資産を売却した片道切符での移住計画のもとに申請しているとの事です。別件で聞いた話では、香港の地価上昇は想像を絶する状況にあり、今では一般住民が競馬場などで5億円相当の投資商談を行なっているとの事です。それを考えると、1億以上の現金送金もあり得るのかもしれません。個人的にはここ一連の中国からの過剰的投資は、日本のバブル時代を思い出させます。違いは、中国(香港)の方が国内市場の大きさから、バブルが継続している事だと思います。

香港人がカナダ(バンクーバーやトロント)を移住先に考える理由

では、なぜ多くの香港人がカナダ(バンクーバーやトロント)を移住先に考えるかと言うと、香港もカナダ同様に元は英連邦王国だった為、イギリスのパスポートが取得可能でした。それにより、英連邦国間は自由な渡航が許されていました。よって、1997年の中国への香港領土返還までに多くの香港在住者がカナダを始めとする連邦王国(オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど)に移民を行い、各国の永住権を確保しました。カナダの場合には多くの香港人は永住権(市民権)取得後、香港に戻り、その後も香港在住を続けています。しかし、家族の一部がカナダに留まったことなどから、今回の移民先の一つとして検討されている様です。よって、バンクーバーでは現在リッチモンドなどに中国系住民が多く在住し、このエリアの英語が喋れない新移民者が圧倒的な住民比率を保持し、行政的な問題にもなった程です。

同時に2020年の中国の立案に対して、カナダ政府も香港に対した特別移民処置を発表しています。香港在住の若人がカナダに来る為の留学ビザや必要労働者へのビザ発行を簡素化すると同時に、カナダ滞在中の香港人に対して大学卒業後の就業ビザの発行や永住権の発行処置を取っています。この流れには人道的な要素と自国の将来を考えた上での政策が含まれていると思います。カナダも日本同様、人口の高齢化が著しく進んでおり、第1四半期の市場レポートでも説明しましたが、熟練技術者の定年が加速し、雇用プールに大きなギャップを生み出しています。そして、これら労働者の欠如から、住宅などで欠陥物件やサービスレベルの低下でカナダの経済レベルに大きな影響があるかもしれないとされています。

日本に住む日本人の将来について

今回のブログはカナダの視点で見た中国や香港についてですが、ここからも日本に住む日本人が自分たちの将来について考えるべき点が見えてくるのではないでしょうか?弊社のYouTubeでも取り上げましたが、今後の日本の更なる人口の高齢化と減少が齎す日本の将来は決して明るいものではありません。その上に、日本の島国という状況や資源の輸入に頼る、もしくは日本企業の多くが中国を始めとする海外諸国に経済的依存する事で、自らの将来をコントロールできていない状況に危機感を感じるべきだと思います。もちろん、これは昨日今日に始まった問題でもなく、今までも日本は対応し凌いできました。しかし現状のような中国に対しての日本とアメリカの姿勢は今まで以上に危機を迎えていると思います。

このまま日本がアメリカ側につき、中国に対して表面的にも対立する立場を取ることは、メンツを大事にする中国にしては決して心地良いものではありません。また、経済を優先させ、中国に穏やかな理解を見せる事で、Biden米政策に対抗する事となり、今後の国際社会において独自の政策がない日本にとっては、軍事、政治的にも危険に晒されるでしょう。事実、Bidenの政府戦略には、自国の防衛予算の肩代わり先として日本は重要ですが、国家予算と政界世論では「なぜまだ日本を」という流れがあるのも事実です。そして今回のオリンピックでも明白になった日本の腰の弱さと曖昧さは一独立国家としても疑ってしまいます。白黒つけずに全員の要望を取り入れる姿勢(もし今回のがそうなのであれば)は国際社会には理解されておらず、逆に(今まで以上に、もしくは日本の今までの「曖昧さ」を確信させる)日本の判断力の無さ、国際社会でのリーダーシップの無さが明らかに映し出されてしまっています。

この様に世界スケールで物事が動いている今日では、各国という括りではなく、地球が分母になっており、今まで以上に自分の立場を明確にして平等なスタンスで立ち振る舞いできない国の存在は将来的な地球社会の中で薄れてしまう危険が伴っています。

意図が少々ずれてしまいましたが、この様な状況下で継続した日本における生活では安全で幸せな人生が送れるのか各々の人生の目的や目標が達成出来るのか、今一度世界へ視野を広げる事で確かめてみても良いのではないでしょうか?

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