今まではバンクーバーについて書いてきましたが、ここで私がみる日本市場について、ちょっと書いてみようと思います。北米では日本には「ジャパン・プレミアム」が存在し、日本は好投資先市場と位置付けられているようです。海外ベースの機関投資家からは、日本の不動産で5~6%のリターンが得られていると話を聞きます。(不動産からのリターンだけではないかもしれませんが)
実は先週も日本に出張で行っており(著書時)、数人の元同僚などの不動産やアセットマネージメント関係者に話を聞くことが出来ました。実際のところ、日本国内都心部では複数の再開発事業が行われていて、海外からの資産の流入もあるようですが、キャップレートは以前として低く、厳しい状態だとの事でした。都心部の機関投資家レベルの既存物件でのキャップレートは2~3%との事でした。もちろん、購入によるリポジショニングでは、もう少し高い数字が可能になるのかもしれません。また、中小の物件になれば、それだけ賃借者に対してプレミアムを請求することが出来、1~2%の上昇は見込めているのかもしれません。もちろん、テナントリスクは上がりますが。
この状況で大切な事は、外資が国内市場に参入して来ているので、日本市場はこれからまたあがる(もしくは今が買い時)という考えには、無理があると思います。機関投資家(特に外資)は世界的なパフォーマンスを判断した上で、各市場への参入と、市場からの撤退を判断します。(「ジャパンファンド」などの様に投資先地域が限定されている場合は別ですが) よって、日本以外で得た利益が多ければ、日本市場に参入し、多少のリスクを背負った投資も可能になります。よって、ファンドとしての総合リスクレベルはヘッジされ、リターンも確保され続けるわけです。そして、日本でのポジションもプラスに出ればそれだけファンド利益はあがるわけです。ただ、なぜこの考え方が一般投資家には値しないか、同じと考えない方が良いのか。。。それは、彼らが1)複数の市場に参入していて、2)情報のスピードが早い、3)リスクヘッジが取れているという事です。読者の中でも複数の市場に資産を分散されて、投資されていらっしゃる投資家さんもいらっしゃると思います。そしてそれなりのリスク分散も出来ているのかもしれません。ただ、残念な事に国民的に独自でポジションを張る様な日本の投資家さんは少ない様です。(一般的話としてですので、決して個々の投資家さんに対してクレームする目的ではありません) 数年前も東南アジア(マレーシア)などで年率15%などという謳い文句で大型マンション投資に参加された方も多くいらっしゃった様ですが、ほとんど元本が戻って来ればいいという感じで終わった方も多かった様です。結局は、大型マンションで、全員一緒の時に一室のみを購入し、同時に全室が竣工し、みなさんご自分の部屋を同時にお売りになる事で、需要と供給のバランスが崩れ、買主の市場になってしまった。。。残念ながらこれでは、ちゃんとしたリスクヘッジの導入がなされていなかったと思います。
本題に戻りますと、じゃあ、日本の不動産市場の魅力とリスクってなに?について、書きたいと思います。私が考える所の日本の魅力とリスクは次の通りです:
魅力:1)経済(対アジアでまだ注目されている)、2)社会構造(礼儀正しく、平等で安定している)、3)政治(一応安定している)
リスク:マクロ&マイクロ 1)地理(島国(逃げところの制限)、北朝鮮、中国)、2)人口の減少・移民政策(子供)、3)税法の困難化(金融的フローの制限)
1)経済
現在弊社子会社では北米の物産を日本へ持っていくお手伝いしていますが、日本という市場を見た場合、日本のアジア圏への「メイド・イン・ジャパン」、「フロム・ジャパン」効果はやはり凄く大きいと思います。実際には、日本で生産されていなくても、この効果をいろいろな形で日本のアセットとして活用することはできているし、この先も出来ると思います。また、日本には成熟した高レベルな消費者が存在するというのも大きなことだと思います。よって、日本では物資の価格競争ではなく、質やサービスの良さ(プラス価格)になっているので、世界的に人口の減少と成熟化してくる西洋諸国に対しての付加価値の提供はまだまだ可能だと思います。
また、デフレ状況であっても、日本は世界的に影響ある経済大国です。よって、ランキングの下降は別として、日本の世界における経済影響は決して忘れられない状況です。
2)社会構造
まず何よりも大事なことは、暴動が起きておらず、秩序が守られている事は凄く大きな事です。日本においては市民を巻き込む発砲事件などは考えられませんが、このカナダでさえ、一昨年前に首都オタワで大惨事銃撃発砲事件が起きています。また古い話になりますが、震災後も乱れる事なく、秩序良く整列して物資を待つ姿は、西洋諸国には絶対に真似できない事です。この秩序は国を統治し、日常生活の上での安定を提供します。よって、経済的にも決済と支払いは事なく行われるという安心感、そして市場参入へのバリアーは低くなります。よって、現在のように既に多くの外資産業が日本市場に参入し、サービスと物資の提供をしています。
3)政治
先進国にとっては当たり前の事ですが、日本の政治は安定しています。読者の中にも政策や各政権に対しての意見や思いは、色々あると思います。しかし、近年アジア諸国で起きているクーデターや暴動は日本では起きていません。もちろん、先進国であるからこそ起きていないのかもしれませんが、それを当たり前の前提として考えるのはどうでしょうか?一地域を見る時には、やはり「当たり前」という考えは捨てないと本当の魅力やリスクというものは見えないように思えます。この安定があるからこそ、一定の社会保障や日々の生活安定と安全が提供され、国民が武力的プレッシャーや政治的威圧に怯える事がない生活が提供されています。そして、日本の世界での位置付けが確立されている為に、外交も整い、私のような人間も含め、海外での生活や行き来が可能になっていると思います。そして、海外居住や租税条約が成り立っており、資産のフローも自由になっていると思います。
よって、マクロレベルで見た日本という国には、まだ多大な魅力が存在すると思います。ただそれをミクロレベルで検証した場合、必ずしも此処の安心やリスクは安定しているとは思いません。その辺のリスクについて、次週お話しさせて頂きたいと思います。
皆さんにとって、今週も生産性の高い、意欲的な一週間になりますように。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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