現在所有している1254と1258 Frances Street物件は8月5日に売買契約が締結され、引渡しになります。これで3年にわたるFrances Streetプロジェクトも完結します。その後は2021年内に次の物件を購入し、新たな改築プロジェクトを遂行していく予定です。次回のプロジェクトでは投資組合を構成し、社外からの投資参加を募り、今後取り組んでいくプロジェクト数を増やしていく予定です。Frances物件の売却と引き渡しについては8月5日以降に掲載するブログで詳細についてお話しする事にします。
その上で今回は次回プロジェクトの構想についてお話ししたいと思います。今回は特に1)所有構造、2)市場と物件、3)期間とサイズについてお話ししていきます。
1)所有構造
所有構造は冒頭でも触れたような有限責任組合(投資組合)を組成し、弊社の人材が新設するこの投資組合の事業者となり運営する予定です。その際にも投資家リスクを軽減する為に、弊社の方で物件を探し、購入に対しての事前調査を行い、売買契約が締結可能になった時点で投資家からの投資金払い込みの呼びかけを行います。よって、当初の仮契約は弊社(KM Pacific Investments Inc.)で行いますが、契約書に譲渡同意条項を盛り込み、引渡し時にはこれから組成される投資組合が物件所有者になります。ですから、弊社の方で全て必要なデューデリジェンスを行い、業者との連携作業や今後の改築工事の範囲や可能性についてもデューデリ期間中に精査していきます。よって、投資組合組成と投資現金を呼びかける時までにはプロジェクトの方向性も決まっており、時間のロスを最小限にする様にしています。
また弊社の人材(代表の枡田を始めとするチーム)が購入交渉及び購入に対しての事前調査を行い、投資組合の事業者(無限投資組合員=ジェネラルパートナー)に継続して就くため、プロジェクトの考えや方向性は一貫して継続される様になります。しかし、弊社(KM Pacific Investments Inc.)と投資組合やその事業者は別会社になります。一般的知識として理解すべき点は、弊社の様に組合組成までに物件を探すなどして組合立ち上げに関わり、組成後にゼネラルパートナーとして事業運営を継続する企業と投資組合組成後に有限投資組合員(リミテッドパートナー)として参加する企業は、人材面では同一人物になるかもしれませんが、ジェネラルパートナーとリミテッドパートナーでは考え方や責任が異なると言うことです。
2)リミテッドパートナーとジェネラルパートナー、及び特別目的会社構造
リミテッドパートナーとしては、組合の投資方針に一任し、投資出資額に対して最大の投資リターンを求めますが、ジェネラルパートナーは投資に対して現金を含む資本出資はせず(たまには当初の土地建物を提供している場合もあり)、逆に投資組合から複数のフィーを請求し事業の運営に徹します。よって、とてもドライに説明すると投資組合の成功と事業者の収益は必ずしも同じでないかもしれません。例えば、投資組合の利益額に対して一定の利率を求める事業者も日本には多く、事業者は投資組合の業績が悪くても支払われる仕組みになっています。特にこの様な問題を防ぎ、事業者の趣旨も投資家と並行している事を強調する為にも、事業者の収入も投資組合の業績によって変化する仕組みになっているのが北米の一般的計算方法です。例えば、年間の管理費は定率であっても、パフォーマンスフィーに対してはプロジェクトの利益率に対して変化し、利益率が高くなれば事業者への利益も増えるのが一般的です。具体的な数字は投資組合の構成と戦略によって異なりますが、一例として内部還元率(IRR)15%で40:60;18%で50:50;それ以上は60:40と事業者への支払いが多くなったりします。ただ、以前のブログでもお話ししたように、IRRは不動産にはとても不利なので、ROI(投資利益率)を使う場合も良くあります。
構造上のお話をもう一つすると、特別目的会社構造を用いた場合には、北米では一般的にベアトラスト構造と言われます。ベアトラストでは物件を所有する企業と受益権を保持する企業の二段構想になっており、組成される投資組合の有限責任投資家は受益権を持つ企業の所有権をユニットとして保持する事になります。そして、この受益権を保持する企業が事実上物件を所有する企業を所有する仕組みになっている為、有限投資家の物件所有権は守られています。
また、弊社が組成する投資組合では現地カナダの税優遇制度を取り入れる為に、現地企業を通じた投資家のみが対象となっています。よって、日本からの投資家の場合には、BC州において現地企業を設立して頂く事になり、そこからの投資出資していただく事になります。BC州では会社設立は同日中に設立が可能で、登録上の出資金も1カナダドル(約80円)から可能になるのがメリットです。
3)物件の売却時の清算・配当・申告について
改築工事を終え、物件の売却時には上記の物件を所有する企業を売買する事になります。所有企業の売却により、この企業の株を保持している受益権を持つ企業も自動精算されることになり、売却からの利益が経費や負債処分後に有限責任投資家へ配当される事になります。これら経費や負債の精算は通常クロージング(物件引き渡し)で行われる為、有限責任投資家への配当は各投資家への配当割合が定まり次第、実行される事になります。
この投資組合からの配当はBC州登録の出資企業に配当が行われる事から、投資組合で発生した税的処置は全て組合員に移行され、各自の確定申告で対応する事になります。投資家が日本へ還金する場合には、カナダの税務局への納税申告を行う必要があり、一定の期間は利益の25%を一時納税する必要があります。カナダ国税局の審査後この納付金も日本との租税条約に基づいた金額を納付した残金が払い戻されます。(2021年6月現在では5%)カナダに収めた税金額は日本の国税局への確定申告で申請することで日本の税金と相殺する事が可能になります。
カナダにおける投資自体には十分な金銭的メリットは存在しますが、カナダのシステム上の考えとして現地経済を潤す仕組みになっている為、海外からの投資では税的に複雑な手順が発生してしまいます。よって、弊社としても一定期間海外にリスクヘッジ投資資金としてプール出来る方からの参加を推奨しています。
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KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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