今回は前回に引き続き、2021年内中に購入を考えている物件について引き続きお話ししたいと思います。前回のブログでは組合とその構造についてお話ししましたので、今回は考案中の物件タイプや戦略内容とターゲット市場についてお話ししようと思います。

1)カナダ・バンクーバー近郊内に於ける投資戦略

弊社はカナダ・バンクーバー近郊内に於ける投資戦略は常にバリューアップがベストだと考えています。それは今までにも申し上げてきた通り、バンクーバーの物件価格が高すぎる為、初期投資額と弊社の今後の姿を考えた投資戦略はバリューアップが妥当な戦略だと思っています。もちろん、バイアンドホールドによる運用投資も可能ですが、賃貸収入からくる投資リターンは現金で2〜3%が平均になっている為、レバレッジを掛けても6〜8%が上限になると見込んでいます。通常では5%+の年率リターンは魅力ある投資かもしれません。しかし、弊社としては日本の投資家の観点に立った場合、海外投資でインフレや為替変動を考慮した場合(弊社は為替ヘッジを行わない為)には、この様なリターンでは十分な投資の醍醐味を提供するのは難しいと思っています。もう20年ぐらい前になりますが、プライベートエクイティーの方に言われたのは、為替変動は5%見ておけば良い(見ておく必要がある)との事でした。それ以来ボラティリティの激しい時期もありましたが、今でも大体同じような考えで良いのではないかと考えると、6〜8%というのは為替変動とインフレを考慮し、その上での不動産リスクになるプライムからのスプレッド率を考えると、再度考えてしまう数値です。

カナダのバンクーバーの場合には現状地価上昇状況にある為、運用しても数年後には相当のキャピタルゲインが発生する事が考えられ、それ相応の投資リターンが得られるものと思います。しかし、この運用からくるキャピタルゲインには様々な要因が影響する為、運用からのキャピタルゲイン狙いは要注意だと私は個人的に考えています。リスクヘッジがあまりにも乏しいという事です。よって、運用であれば、元々初期購入価格がもっと経済的なアメリカ市場を狙った方が、運用戦略としては納得するシナリオが書けると思います。米市場参入は弊社でも真剣にタイミングを見計らっていますが、それはまた違うトピックでお話しましょう。

2)資産最大化の戦略

今までの話を総合的に説明すると、不動産とはいくら市場が右肩上がり傾向にあっても、市場内全ての物件がその恩恵を得られるとは限りません。よって、市場内の価格はあくまでも目安ですので、各物件における資産最大化の戦略を考える必要があるという事です。それを考えると、現状のバンクーバー市場ではやはりバリューアップ戦略が妥当だと考えています。

でもバリューアップというのは簡単ですが、それをどうやって実現するのか?それについてお話ししましょう。まずは売却先ターゲット(ユーザーか売却者グループ)を定める事です。理由はそれぞれの買主によって、購入物件に対しての焦点が変化する可能性があるからです。簡単にいうと設備重視か見た目重視かという事になります。

これは決して決定事項ではないですが、概ねオーナー・ユーザー(物件を自社ビルとして購入する)グループは物件購入を投資としては考えておらず、経費削減や利便性、事業の将来的展望をまず最初に考え、その上で条件に合った物件を見つけるのが一般的方法です。よって、よっぽど酷い外観の建物は別として、このグループの焦点は供給電力、タパ(天井の高さ)、レイアウトが重要なポイントになります。特にレイアウトではどれだけ繋がったオープンスペースが確保可能で、物資の出し入れが可能かがポイントになります。

このクラスに入るのが、典型的なインダストリアルユーザーである建築家、ゼネコンなど建設業界における士業(一般弁護士や会計士はインダストリアル物件には用途上入居できない為)、建築関連業者や軽製造業になります。しかし、この中でも支払い能力は色々なので、建築業界の「士業」に集中するのが物件の価値向上という面では、妥当な戦略になると思います。

3)投資家を売却相手として検討する場合

投資家を売却相手として検討する場合には、一般的な設備もアピール点として必要になりますが、一般的にはそれ以上に外観や内部のルックスも鍵になります。このグループにも大まかに分けて2種類のグループが存在し、1)現地の不動産運営者と2)収入だけを求めるハンズオフな投資家とが存在します。1)のグループに対しては、長期的資産価値の継続が理解できる設備投資や先10年間の資産保持管理計画が理解できる物件ほど、魅力ある新古物件としてアピールが可能になります。そしてこれら計画は販売価格に反映され、高額売却が可能になります。2)グループの場合には、1)グループのような詳細や長期計画は重宝されず、殆どが素人不動産投資家で物件の外観アピールが重要視されます。「所有」(=誇り)という点やテナントを斡旋しやすいという観点からのマーケティングが重要視されます。

ちょっと外れますが、もう一つ検討すべき戦略はテナントを誘致した上で投資家に売却するという手法です。テナントが既に入居している場合には、将来的収入の変化も殆どないので、投資家にはとても魅力ある物件になります。しかし、この場合にはテナント誘致費(仲介費)、テナント工事代なども発生する為、投資家期間は一般的に数ヶ月延長する可能性が高くなります。このグループで有望な候補は、ITや医療関係(研究)を含めたグループです。彼らの場合にも既に申し上げた様に、供給電力量、天井高、空調設備などが焦点になります。天井高はスペースを大きく見せるので、社員の心境としてリラックスした特別な環境を提供するという事で求められます。そしてタパは医療系では特に重要なポイントになります。やはり空調や排気管を設置する上で天井高がないと、作業スペースが小さくなり設備が置けなくなったり、作業工程に支障が出てきてしまいます。

しかし、ここで一つ問題が出てくるのは、一般的にベンチャーキャピタル(VC)から支援を受けている医療系ベンチャー企業はVCファンドを不動産などの施設や設備投資に使ってはいけない、もしくはその割合が限られている場合が多く、医療系研究企業がオーナーユーザーとして入ってくる事はほとんどないという事です。よって、この一番家賃を払う覚悟があるテナント層を取り込むのが不動産資産価値を一番大きく上げる事になるのですが、その場合にはテナント工事費なども発生する事になるので、事前精査が必要になり投資面での詳細を検討する必要があります。

ご理解頂ける様に各手法にかかる経費的も大幅な違いが出てきます。よって、どのセグメントの出口を選ぶかによってその手法は変わってきます。ですからそのターゲットグループによってバリューアップ戦略も変わってくるので、そのグループの需要に沿った改築工事が必要になってきます。

    ブログについてのご意見・ご感想(回答所要時間: 30秒)

    枡田耕治の週間ブログをご覧いただきありがとうございます。2018年1月からはじまったこのブログも、おかげさまで、200話を迎えることができました。そこで、読者の方にご意見・ご感想を伺いたいと思います。もっと読者の方について知ることで、皆様のニーズを把握し、より良い情報の提供、今後のブログテーマの参考にさせていただきます。ご協力いただければありがたいです。ぜひ、宜しくお願いします。

    *回答者の個人情報に配慮し、名前、電話番号やメールアドレス等は一切お伺いしていません。
    *ご返信をご希望の方は、コメント欄にメールアドレスをご記入ください。

    Q. 枡田耕治の週間ブログをどのようにして知りましたか。
    GoogleサーチFacebook紹介その他

    Q. ブログをお読みいただいている理由は何ですか。
    海外(カナダ)の不動産投資に興味がある不動産投資について勉強になる共感する点が多いその他

    Q. 今後どのようなテーマのブログを読みたいですか。
    引き続き、海外の不動産投資不動産投資プロジェクトの実例家業・事業継承海外での起業について海外での教育についてその他