今週は工事元請役にあたるジェネラルコントラクター(ゼネコン)業について、弊社がお世話になっているBon Constructors社Lance Burger社長に建設業界や彼の仕事上の考えについて話を聞いてみました。

1)Lance Burger氏について

Burger氏は長年バンクーバーの建設業界に関わり、改築、修繕、開発やテナントスペース工事などを幅広く手がけています。今ではバンクーバーのハイテクのメッカであるRailtownやEast Vancouverでは、Burger氏の名前を知らない者はいないと言われるまでです。その大きな理由は、彼の仕事における専門性と技術はもちろんの事、質へのこだわりとクライアント視線で遂行してくれる仕事ぶりが、Burger氏の揺るぎない存在を作り出しました。現在Burger氏は自分が打ち込める依頼のみを受ける様にしているとの事です。

弊社の704 Alexander Street及び1270 Frances Streetに於いてもBurger氏の元でプロジェクトが行われ、プロジェクトが竣工されています。(なお1270 Francesについては他のブログでもお話しした様に、再開発は行われていませんが、この物件を無事売却させる為にも化粧直しや売却準備用の改築工事をBurger氏の会社によって施しています)

ではBurger氏が打ち込める仕事とは何か?それは彼のもの作りへのこだわりやプロセス面でのイノベーションを可能にする仕事だそうです。そして品質を強調したプロジェクトです。Burger氏に「ゼネコンとして最も重要視している点は何か?」と質問した際、彼の答えは「クライアント、チーム(自分の作業員達)、(仕事の)ディテール」だと答えてくれました。

2)枡田とBurger氏の出会い

枡田がBurger氏に最初に紹介されたのは、弊社が最初のプロジェクト用の建築家を探していた9年ほど前の事です。当初はゼネコンとのミーティングではないと思っていたので、この出会いは本当にありがたいものでした。そして、この初回のミーティングからBurger氏の飾らない、「本音トーク」はとても印象強いものでした。その中でも「自分は街中で一番安いゼネコンではない。だから価格重視なら他を探した方が良い」というコメントは彼の仕事への態度を見せてくれたと思いました。この説明は上のクライアントの利益を第一に考える姿勢に反映され、「安ければ良い」のではなく、「コスパが正しく現れているプロジェクト」を竣工する為には、必ずしも最低価格がベストではないという彼の考えを裏付けています。さらにディテールを追求すれば費用もかかります。しかし、その「もう一歩」の追求が手元にあるプロジェクトの差別化を可能にさせ、プロジェクト価値を上昇させるものになると、弊社が関わったプロジェクトで立証されたと思います。

実際の例を用いてお話しすると、704 Alexanderプロジェクト中に資材の選び方について質問をした時にも、配達されたばかりの木材を例にとって、何十本とある木材の選別を行い返品する基準などを教えてくれました。資材を購入する上でも、上品な資材ばかりを選ぶ訳ですから、最低価格で仕入れるのは難しくなります。卸元も返品を覚悟した上での価格提示になる訳です。しかしその様な中でも、Burger氏自身が過剰や不要支払いを好まない人間なので、最後まで交渉をしてくれます。それは彼の個人的エゴからくるものでなく、クライアントの事を考え、不必要なものは払うべきではないという考えがあるからです。

3)Burger氏の働き方

Burger氏はクライアントが求めているものは常に変わらず、「価格、品質、成果品、信頼と(人間)関係」だと説明してくれました。やはり「類は友を呼ぶ」とでも説明すれば良いのでしょうか、彼のクライアントには似た人達が集まってくると思います。価格、品質や成果品を業者に求めるのは、どのクライアントも同じだと思います。しかし、信頼や人間関係を求める場合、一回限りの仕事では目的が達成されないと思います。そして信頼や人間関係はそれぞれの価値観や生き様が似ていなければ、得られるものでないと思います。結果、彼の顧客はリピーターが多く、プロジェクトを選択出来ているのだと思います。

このコロナ禍の中でゼネコンとして変わったことはあるかとの質問に対してBurger氏は、「何も変わっていない」との事でした。今までと同じ、(現場スタッフの)健康管理と安全確保が焦点になっているとの事でした。スタッフの安全や健康管理に重点を置き、メンバーの欠員を防ぐことでタイムリーな竣工を可能にする。そして、スタッフからの忠誠心とお互いの信頼を作り上げる。会社運営においてこの考えはとても貴重だと思いました。

将来的建築業やゼネコンの業界については、「(変化を)受け入れるか、死を選ぶか(Adapt or Die)だ」と話しており、常に新しい建築工法や建築資材に順応し、最新工法を学び続け、早期適応する事が唯一の生き残るための策だと話してくれました。また、一時的な流行を機能的改善の流れから排除することも重要と話しています。余談になりますが、この流行と本質を見分ける必要性は建築家のReite氏の話でも出てきています。やはりプロは業界が違っても重要視する材料は同じなのだとリマインドさせられたポイントです。

4)ゼネコンとして懸念

話の中でも一番面白いと思った点は、ゼネコンとして懸念する事項についてです。Burger氏は「低価格への競争」と業界への懸念を表現しており、それは上でも触れた利益を重視するが為に「安ければ良い」という考えが先走り、持続可能な慣行や品質の追求が無視され、人間心理にある「タダ(無料)」を求め、「一番低価格」だけを追求する危険性だと話しています。Burger氏の経験上「低価格ほど高価格なものはない」、西洋の諺にもあるようにこれは単なる「費用と価格の取り違え」だと。

Burger氏は人間性豊かで正直な人間です。穏やかな仕草の裏には熱意を感じ、彼に任せておけば平気だという安心感があります。これからもBurger氏と彼のチームと共にオンリーワンの先の先を考え抜いた物件を竣工していくのがすごく楽しみです!

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