今回のブログでは2021年9月20日に行われた、カナダの国民総選挙についてお話ししたいと思います。このテーマについては2週に分けてお話しするとして、今週はカナダの選挙制度と政党について簡単にご説明します。
1)カナダの選挙制度
カナダの選挙は日本のシステムと似ており、一番多く議席を獲得した政党から党首が首相になる様になっています。ただ、日本と違うのは、総選挙の結果が決まってから首相が党内政治家によって選ばれるのではなく、党首選任選挙がまず党内で行われ、そこで当選した党首が首相に選任される事になります。
また、党首選択方法は各党の登録者により選挙が行われます。これら登録者は政治家ばかりでなく、一般市民も各党が決めている条件を満たせば登録すればメンバーになれます。
その条件とは、各政党によって多少異なる様ですが、
1)カナダ人である事
2)政党の考え方を重んじている事
などです。
よって、首相選出は、間接的にですが、各党に所属する一般市民によって選出される民主主義制度に則った方法で行われるという事です。
これはアメリカの選挙人投票に似ていますが、違いは
1)アメリカのように大統領選人を目的とした選挙でない事
2)登録党メンバーに与えられる投票枠が限られていない
という事です。
カナダの国民選挙もアメリカと同じで永住権保持者でも国民選挙には投票が出来ません。よって、カナダで投票権を獲得する為には、カナダ国民になるしかありません。日本人の場合、日本が重複国民制度を認めていないので、カナダ人になるという事は、日本の市民権を放棄する事になります。ただ、実際にはカナダに在住する日本人の中にも、カナダと日本の市民権を保持している人たちは存在します。
2)カナダの政党
またカナダには複数の政党が存在し、下記が主な政党になります(なお、各党の定義はjp.wikipedia.orgより抜粋しました):
• Conservative Party of Canada(保守党): カナダの政党の中でも一番「右寄り」の政党で経済成長と財政健全化を柱とした政府より市場を重視した政党です。移民受け入れには消極的ですが、経済成長に見合った移民の受け入れを選択。地球温暖化にも懐疑的で銃規制の緩和を重視。外交的にはアメリカとの同盟関係を重視。
• Liberal Party of Canada(自由党): 中道左派の自由主義党。国民皆保険制度の確立や所得の再分配機能強化などの社会的構成、二か国語国家、有色人種の移民受け入れなどの多文化主義政策を主導。外交面についても米追従型ではない独自の外交政策を貫く。
• Bloc Quebecois(ブロック・ケベコワ): 左翼・社会民主主義政党。地域フランス語圏のケベック地域の権益を代表するとともにケベック独立運動を背景としてケベック州の主権獲得を掲げる。労働組合と地域住民が支持基盤。元はカナダ自由党内のケベック民族主義議員による院内会派として成立、のちに政党化。
• New Democratic Party(新民主党): 中道左派の社会民主主義政党。レイバー(労働)党とも呼ばれている。保守党と自由党の二大政党の中の野党第二党として存在してきており、総選挙ごとに閣外協力などを行い、一定の影響力を保持してきた。
• Green Party of Canada(緑の党): 1983年に設立された環境問題を中心とした社会主義、草の根民主主義、非暴力活動が基盤。当初は各州で立ち上がった「党」が連携して始まり、反中央集権主義思想を重視してきた為、国家レベルでの確保議席数は一桁。
さて、次回は選挙の結果と、それを踏まえての感想をお話しさせていただきたいと思います。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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