以前にもカナダとバンクーバーの現状をご説明するので、バンクーバーについては書きましたが、今回はもっと深くバンクーバーの不動産市場の魅力について掘り下げてお話ししたいと思います。
バンクーバーの不動産市場の概要
バンクーバーは立地的に、北は山脈、西は太平洋、南はアメリカとの国境に張り巡らされた、成長が極めて難しい状況にあります。しかし、アメリカとの国境までは車で1時間、シアトルまでは3時間程の距離に所在しており、北米西海岸コリドア(通路)の最北ポイントになっています。その為、アメリカ西海岸との経済的密着性は強く、IT業界などでは以前のブログでもお話しした様に、バンクーバーをカナダ支社拠点、もしくは外国人新入社員用の訓練センターとして使い、その後北米自由貿易協定(NAFTA)を使って、アメリカ本社へ移動させています。医療でも、低研究費環境を使って、薬の認可申請をするまでの初期研究はバンクーバーで行う企業も多いそうです。
また昨夜のニュースでは、バンクーバー/シアトル/ポートランドを結ぶ新幹線の建設についてBC州とワシントン州政府が実施調査を始めると報告しました。
参考:CascadiaRail.org
公共移動手段の利便性
バンクーバー市内でも、ダウンタウンから空港(ダウンタウンから南)とバーナビー市(東バンクーバーの先)を結ぶ幹線鉄道網に続き、ブリティッシュコロンビア州立大学から第二のIT及び医療研究メッカとして発展してきているBroadway沿線にも地下鉄の導入工事が着工する事になりました。よって、バンクーバーとしては、公共交通網を重要視した最も環境的に優しい街と歩行者優先の街を作り上げようとしています。優れた公共移動手段の発展で、町としての魅力は向上し、さらに住みやすい街、働きやすい街を目指しています。これにより、不動産の需要はさらに上昇するものと思われます。
今後のバンクーバー市の発展
その一方で、最初に述べた立地上の制限から、今後のバンクーバー市の発展は東部拡張か、既存の物件を再開発する高層密度化しか選択肢がありません。その上、バンクーバーではHeritage Building(歴史的建造物)の保存に力を入れており、ダウンタウンで歴史的物件の再開発を行う場合には、外壁を保持した状態での再開発が必要になります。最近の高層再開発物件では11階建ての元バンクーバー証券取引所がThe Exchange Towerとして31階建てのオフィスとホテルのミックス・ユーズ・ビルに姿を変えます。コーナー物件である為に、南と東側の外壁保存が必須となり、二面の外壁を保持した建築方法は、困難極まり膨大な準備期間を要したそうです。
この他にも、鉛筆ビルの様に細く狭い敷地に高層ビルを竣工させたり、低層歴史的建造物を含めた高層再開発など、最近はデベロッパーと建設会社の創造性と匠的技術力を求められる物件も多く竣工しています。この他にも複筆の土地を同時買収する高層再開発やガソリンスタンドから高層オフィスやマンションへの用途変更を含めた再開発なども目立っています。また、既存物件では、27年ぶりの新規竣工物件ラッシュに対抗する為の改築プロジェクトも多く、現在のダウンタウン・オフィスビルは改築工事ラッシュです。2016年に27年ぶりに供給された新規竣工A・AAA物件は200万 sfになり、全既存物件の5%に値します。この長期期間の竣工物件のギャップには、80年代後半から90年代初期のハイパー金利と過剰供給で痛手を負った地元デベロッパーが再開発に対して消極的だった事や、家賃面の上昇が再開発を可能にしなかったことなどがあります。
次回は具体的に今後の不動産市場として見たバンクーバーの魅力をお話ししたいと思います。
バンクーバーも梅や桜が咲き始めています。皆さんにとっても心地よい一週間になりますように。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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