今回はプロフェッショナルシリーズの締め括りとして、弊社が入っているサービスオフィスの仲介担当者に話を聞いてみました。以前にも他のブログでお話しした様に、弊社ではコアな業務以外は全て外注している為、最小限の人数で会社の経営と運営が可能になっています。よって、大きな自社スペースを維持する必要もなく、この様なサービスオフィスで十分間に合っている訳です。
今回のインタビュー相手のSterling Bell氏は弊社の不動産投資でも頼りにしているColliers International社のバンクーバーや上海でのオフィス仲介を経歴にもち、本人はアメリカ南西部出身と海外色豊かな経験保持者です。
そんなBell氏に今までの職務経験と今後のサービスオフィス業界の傾向について語ってもらいました。コロナ禍は今後も継続して仕事環境に大きな影響を及ぼすと私共は考えており、その上でもシェアオフィス(サービスオフィス)の役割は今後更に注目され需要が増えると予測しています。よって、この時点で業界インサイダーから話を聞いておくことは今後のオフィス業界の行き末を知る上でも重要なことだと考えました。では、Bell氏との対談です。
KMPI: なぜ不動産業界の仲介やColliersに入社することを考えたのですか?
Bell氏: 私は大学では物流や運営管理を専攻していました。しかし、自分の不動産への興味を無視し続ける事は出来ず、UBCで不動産金融学を学びました。しかし、交換留学生として上海の大学へ行くまでは不動産と直面する事はありませんでした。
上海で当時業界トップの仲介業者であったWilliam Franklin氏を紹介して貰った際に、卒業後の上海でのジョブオファーを受けたんです。これはもう断れない機会でした。実務はクライアント企業の不動産戦略の構築と売買に特化したMBAプログラムに匹敵するものでした。
我々はナイキ社の上海キャンパス設立や、マッケンジーアンドカンパニー社の不動産ポートフォリオの見直し、ローレックス社の新社屋への移動と旧社屋のサブリースなどに携わりました。これら当初得たスキルは変え難いものとなり、現在も価値ある経験となっています。
KMPI: 何故現在のIWG(International Workplace Group)社に転職したのですか?また振り返ってみてこの移動をどう思いますか?
Bell氏: この転職には二つの動機が関わっています。まず一つに、ワークライフバランスと、もう一つは特にバンクーバーに於けるフレックスオフィス(サービスオフィス)の需要上昇です。
個人的にはColliersでのキャリアはとても充実していました。しかし頻繁に仕事に没頭し、バンクーバーへ移った理由である自然を楽しむ事も出来ない程でした。IWG社はこの目的を可能にしてくれました。
ビジネス面ではバンクーバーの将来を上海を通して見た気がしていました。上海のビジネス環境の変化は凄まじく、よって企業も柔軟なオフィス環境を好んでいました。結果、フレックスオフィスの存在が企業の市場対応を敏速化し、ビジネスニーズに比例した不動産ニーズが確保できたのです。
WeWorkやIWGを代表とするフレックスオフィス提供業界は凄まじく成長していました。現在の上海オフィス中心街(CBD)のオフィス供給率を見ると9%強がフレックスオフィスから成り立っています。ニューヨークやロンドンなどの他成熟した市場を見ても同じぐらいの率でフレックスオフィスが提供されています。個人的に調べた所でも、ロンドンCBDでは11%がフレックスオフィス業界によって占められており、この数値は市場内からのフレックスオフィスの必要性を物語っています。
これをバンクーバーに当てはめて見るとショッキングな状況です。バンクーバーCBDは小さいものの、フレックスオフィスは全体スペースのたった2〜3%しかありません。以前はColliers社にてIWG社のフレックスオフィス用スペースを探していましたが、大きな需要が存在すると思いました。
振り返ってみて、この移動は正しかったと思います。コロナ禍における新規職務環境は今までのフレックスオフィスの需要度を急速化させました。フレックスオフィス環境は今まで以上に必須アイテムになりました。IWG社も激多忙時期が続いており、企業のRTO(リターンツーオフィス)に合う環境提供に追われています。
ビジネス環境は急激に変化しており、以前の様な5年や10年の賃貸借契約は需要に見合っていません。IWG社では過去数四半期間企業からの柔軟なオフィススペース要望を目の当たりにして来ました。従来的なオフィスとは違い、我々の事業ではメインオフィスの他にも、同時に海外におけるリモートワーク環境を支援できるのです。
対談後半は次回のブログに掲載させていただきます。
それでは今日も皆様にとって気持ちの良い1日となりますように。
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KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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