先週のブログにはもうすでにお話しした内容がだいぶ入っていた様に思いました。常に新しい情報を提供していきたいと思っているので、情報の新鮮さが欠けており失礼しました。では今週の新鮮なブログです。

現時点(2018年春)でのバンクーバー市場の魅力は大きくまとめて次の通りになります:1)拡大中の市場(起業や雇用総数の向上による需要)、2)需要と供給のアンバランス、3)産業の変化からなる需要(IT、知的産業へのシフトからくる物件の需要)。

1)拡大中の市場(起業や雇用総数の向上による需要)

バンクーバーは今まさにのりしろ部を前に出して、自分の存在と可能性をアピールし出しています。2020年までに世界で最も環境的に優しい街になることを始め(よって、新規環境関連産業の発足を視野に入れている)、アジアへの玄関口としての貿易取扱荷量の増加(及び設備の拡張)地域インフラ整備に力を注いでいます。港湾関係の拡張投資だけでも、6~7千億円相当に登り、それにバンクーバー地域の数千億円に登るインフラ設備投資も現在進んでいます。2017年時点での捌き荷量は1億4200万トン(横浜港で5800万トン)で、キャパシティーとしては300万TEU(TEU:20フィートコンテナ1台分;横浜港での取り扱いが144百万TEU)になっています。今後も新規施設拡張と地域のインフラ整備による交通網の効率向上により、キャパとハンドリング量は上昇傾向にあると思います。

またカナダの良心的な移民政策を取り入れた人材確保戦略も大々的に進んでいます。もう既に、IT業界などでは北米だけでは人材の確保が困難になっており、多くが世界的リクルーティングを行っています。そして特に米IT企業はカナダに新入社員用の施設を作ることで、アメリカの困難なビザ申請に対しても米国内雇用を増やすことを可能にしています。この米国の移民情勢は今後も継続すると見られる上、バンクーバーの立地条件(高教育レベルと人材の質の高さ、西海岸に所在しシアトルやサンフランシスコの生活環境と類似している)とIT産業の更なる発展で経済は今後も拡張していくと思われます。また、バンクーバーの生活環境に惹かれた、若年層のプロフェッショナルが世界中からバンクーバーへ移住してきており、この層からの雇用供給も増す見込みです。

2)需要と供給のアンバランス

以前にも書きましたが、80年と90年代の市場低迷で、ここ30年ほどは新規物件の供給が全くありませんでした。よって、ここ2〜3年間の200万平方フィート程の新規オフィス供給(ダウンタウン市場既存オフィス物件の約5%)は市場に新風を導入しましたが、殆どが竣工前に売却/賃貸されており、以前から存在する需要には全く見合っていません。その上、IT業界のうなぎ登りの成長はさらなる需要を起こし、供給量不足は一向に満たされる様子がありません。現在の需要総量の40%強はIT関連業界から来ており、総需要は約2.2百万平方フィート(約22万平米)程です。空室率ではオフィスでも5~6%程で、インダストリアルでは1~2%の状況にあり、賃貸としても選択の余地がない状態です。

特に弊社がフォーカスしているインダストリアル的フレックスオフィス物件では、ITのみならず、トレードと言われる建築下請け関連業からの需要も多く存在しています。しかし、利便性の良い高品質な物件は存在せず、竣工までの期間が長い(約2年)のがネックになっています。

その上、投資としてはバンクーバー市場の魅力を感じる投資家からの資産流入が著しく増えています。これら資産は、現地投資家のみならず、アメリカ、ヨーロッパ(東西)、アジア(中国が主)、中近東など、世界的に全ての地域から流れ込んでいます。これにより、キャップの圧縮は進み、物件運用のみからの収益では現在の購入価格は割り出せない状態になっています。しかし、投資家の意欲は下がることなく、将来的不動産市場の魅力とビジネスや生活環境上のメリットから、投資資産の流入は今後も増すと思います。

3)産業の変化からなる需要(IT、知的産業へのシフトからくる物件の需要)

一番の大きな変化は、10年前程までバンクーバーで活躍していた産業(製造販売業)からの離脱(まだ存在しますが、メイン路線ではありません)だと思います。現在は地価の上昇と共に、付加価値の高いIT(アプリやゲームを含む:平均年率成長率16%)、医療研究(8%)、アニメや映画のポストプロダクション等が目立っています。これら需要および、今後成長してくると思われる、金融や資産運用事業が今後の需要を占めると思います。また余談ですが、二大大学のブリティッシュコロンビア大学(UBC)およびサイモンフレーザー大学(SFU)やその他の専門学校等も、学部やプログラムを拡張しています。そして、海外からの母子留学や語学留学を含めた一般留学も安定した伸びを見せています。この教育関連業界は高額賃料を払うテナント層ではないですが、需要という意味では、貢献しており、バンクーバーのすでに低い空室率をさらに押し下げる結果になります。

また、余談になりますが、2020年以降竣工する建物の竣工検査の環境基準が厳しくなるため、今後さらなる排熱再利用や空調・エレベーターシステムの効率向上などを活かしたスマートビルの登場やオフィスビルの改築が進むと思われます。それにより、供給面からの賃貸設定も上昇し、今後更なる高付加価値を生む企業(成長企業)への営業が重要視されて行くと思います。

既に未知の領域に突入しているバンクーバーの不動産市場は、今後の成長に不安を抱くコメントも出ていますが、貿易のフォワーディングという流動重視の経済とネットや研究重視の産業発展、そして供給と需要がアンマッチしている市場状況は、今後も継続し、将来的不透明性が懸念される中、既存ののりしろ部の吸収により、リスクヘッジされた状況は継続されると思います。  今週も皆様にとって有意義な春日和の一週間になりますように。

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