今まで弊社のプロジェクトやバンクーバーについてのお話をさせて頂きましたが、今回は現在交渉中の物件を含め、弊社の物件購入判断項目についてお話ししたいと思います。
多数の基準項目があるのは、ご理解頂けると思います。例えば、所在地、ブロック内での建物の位置、土地の形、用途、幅、物件サイズ、地質、使用履歴、容積率、価格、法的必要駐車場数、公道へのアクセス方法、車線数、海や川からの距離(地盤汚染修復面から)、付近の既存建造物(高さや用途など)など、ざっとあげても色々あります。弊社の場合には、将来的展開の可能性がキーになるため:1)所在地(サブマーケットを含めた場所)、2)用地サイズ、3)価格の3点が最初の検討項目になります。
1)所在地(サブマーケットを含めた場所)
所在地が大事なのは、バリューアドやリポジショニングが投資的にペイする地区なのかということを判断する為です。ペイする地区という意味は、投資のリターンのみならず、出口上の販売タイミングや需要を含めたリスク、プロジェクトコストなどになります。総合的にダウンタウンの方が需要は高く、販売価格も高くなると思います。しかし、既存物件の取り壊し作業や、建築申請、建設上のロジスティック(交通整理や付随コスト)等でプロジェクト的には複雑な案件になります。また、需要と供給物件のマッチング(例えば現在の需要の過半数以上はIT等のセグメントから来ており、彼らは必ずしもダウンタウンの典型的オフィスビルは求めていないという現状)のズレからくる完売までの所要時間も問題点になります。そして、所在地による付随サービス要件の違いも出てきます。例えば、ダウンタウンのオフィスビルには、公共的サービス(駐輪場、更衣室、託児所、緑地)の設置要請度が高まります。その点弊社が活動拠点とする東バンクーバーでは、市との交渉余地がまだあると思います。
3)価格
やはり価格が最重要ポイントになります。建築費は標準的建造物であれば、類似サイズ物件ではそれ程の変化はないので、投資リターンが著しく変化する事はありません。もちろん、素材を鉄筋コンクリートにからレンガや木材に変更する事で、コストを若干抑える事は可能です。しかし、弊社の様に商業物件を建設する場合、買主の精神的安心度(木材であれば、寿命が短いと思われ、需要が下がる。よって、販売価格も下がる)を考慮した素材を選ぶ必要があります。また、最近噂のCLT(Cross Laminated Timber)などを取り入れる事で、着工期間自体は大幅に短縮できますが、それまでの準備期間や高コストを含めると、建築費の節約には繋がっていません。
購入価格は交渉で変化をつける事が可能で、それにより、竣工時の総価格も変化してきます。これにより、最終的投資リターンにも大きな影響が出てきます。しかし、バンクーバー市場の様に、プレミアムがついたり、売主市場の場合には、価格が高くなりがちで、説明するほど簡単にはいかないのが現状です。よって、その場合には、建築方法やデザインなどで収益源の視点を変化させる必要があります。例えば、インダストリアル用途物件であれば、2階の需要は一番低く、価格的にも一階より低くなりがちです。その場合は、如何に上層階部に収入源の比重をあげるかという事が、重要視されます。具体的には、弊社の次の物件では、ロビーエリアに吹き抜けを取り入れ、2階部分を最小限に抑えるデザインを考えています。また、この方法ですと、ロビー部分が大きく共用部になってしまい、収入が減ってしまいますので、吹き抜けを使った店舗の設置やレストランなどを取り入れて、用途的「欠陥」を防ぎ、テナント使用のみならず近隣からのデスティネーション物件にする事が可能になると思っています。
今後このプロジェクトが進行していく中で、また色々お話ししたいと思っています。
では今週はこの辺にしたいと思います。今週もみなさんのお仕事が捗る一週間になります様に。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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