日本の国内の組合同様、カナダの不動産組合も多種多様です。運営は一任勘定のものが殆どで、(改正前の日本の)特定機関投資家制度に似た50人以下の投資家組合も存在し、資金アクセスも手頃な環境になっています。50人以下の投資家募集スキームの場合には、自己募集活動が基本となり、投資目論見書がなくとも、資金を集める事が可能になります。また、個人からの募集も可能ですが、収入や資産レベル、投資経験などによる制限は存在します。(これらは殆ど日本の物と類似した条件です) 海外投資家を直接募る事も可能ですが、日本在住投資家に対しては、日本の金融庁への海外投資事業者の登録をする必要が出て来ます。現在は登録のみが必須との事ですが、我々は今後金融庁が国税局との連携で、投資家情報の提出や「登録費・税」が加算されるとみています。
よって、我々の場合には、日本在住の投資家にはカナダに現地会社を設立し、現地投資家として参加する事を必須としています。これにより、我々は、日本の金融庁への登録もなく、今後懸念される投資家についての書類提出や費用の出費の恐れもないと考えます。また、カナダ側(そして殆どの投資先市場)においても、毎年の必要書類の提出量も減り、組合(もしくは投資家)の事務経費が節約できます。その上、投資終了時の日本への還付上の源泉徴収の取り扱いで、払い戻しに一年ほどの時間を要するのと、最終的には25%ほどの税金が掛かるため(日本の税金と相殺可能)、弊社の場合では、「BC州の投資家(日本居住者も含む)」からのみ出資を募集しています。もちろん、会社設立は日本より簡単で、資本金条件はなく、年間の運営費も20~30万円ほど(弁護士・会計士費用含む;状況による)で運営出来る様になっています。
1)組合が設立されるタイミング
物件購入後の投資戦略が保持であれば、購入時から組合が存在する事もありますが、弊社の様に再開発やバリューアド戦略の場合は、デザイン、予算確定作業、建築や建設許可発行後に、組合が設立されるのが主流です。このプロセスの所要期間はバンクーバー市の場合、現在約1年半から2年間掛かっています。これは異常な程に長く、不動産業界からも常に問題視されていますが、行政の人材不足を理由に、未だ解消されていないのが現状です。そして、この承認期間までの費用はすべてゼネラル・パートナー負担になり、組合設立時には、これら費用が含まれた価格が組合参加価格になります。この際には、建築費用の詳細なども、第三者鑑定により明らかになるため、殆どの数字が明確になるプロセスになっています。この時点で不明なのは、販売価格と投資リターンです。
2)物件販売のタイミングと期間
現状のバンクーバーの市場状況では、供給物件が欠品している事から、許可受理時に販売を始めた物件は、竣工時には完売されているのが殆どです。よって、弊社でも、建築許可がおり次第、販売を開始し、プレセール件数が建設融資の条件に合い次第、建設を始める予定です。販売仲介会社によると、販売開始から3~4ヶ月以内にはプレセール・ハードルがクリアでき、竣工前には完売の予定です。
また、弊社の様に区分所有物件として売り出す場合には、内装は殆ど施されておらず、ラフ・フィニッシュ(天井丸見え、躯体状態)で引き渡す事になります。よって、デベロッパーの着工期間は18ヶ月前後になります。ですので、当初の物件購入時から申請期間を通り、再開発竣工までには、約3年半から余裕をもって4年の月日が必要になります。(投資家の投資期間は2年弱)
投資リターンとしては、15%から18%の年率キャッシュ・オン・キャッシュをターゲットに運用しています。
3)投資資産の還付について
資本の日本への還付には、源泉徴収がかかり、一度は35%の収益帰還率に等しい金額を納税する必要があります。その後、カナダ国税局へ申請し、日本とカナダ間の租税条約により、10%が返金される形になります。この間約1年です。よって、大概の投資家の場合、毎回資産の還付を行うのではなく、カナダ国内に留保する長期的投資戦略を立てる方が賢明になります。
もう日本は雨季に突入しているかもしれませんね。外の天気に負ける事なく、やりがいのある一週間をお過ごし下さい。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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