前回では、投資組合についてお話ししましたが、今回は信託を活用したカナダでの資産運用についてお話したいと思います。日本でも信託を組み合わす事で、国内在住でも資産の継承が可能になりますが、与益者が信託管理者(トラスティー)として国内から資産管理を継続する場合には、今後なんだかの行政処置が施されるのではないかと思っており、今後はトラスティーの居住地によっては、信託が信託の機能を失うとも考えています。

1)カナダの税金状況

では、カナダの税金現状をバックグランド情報として少しお話ししたいと思います。カナダは左寄りで、社会主義的な傾向にあります。個人収入に対しての源泉徴収などは最高で42%と高く、富裕層の負担を推進する傾向にあります。同時に、富裕層はそれなりの税対策を講じ、最低額の収入申告や配当という形を取った、申告をする人が多いです。配当に対しては15%課税で、カナダの場合には、アメリカと違い、キャピタルとインカムでゲインとロスの相殺が出来る様になっています。そして、キャピタルゲイン税率も最終的には13%で計算される様になっています。よって、サラリーなどの固定インフローに対しては、税率は高いものの、投資などの資産の動きを施す活動(よって、社会のお金の回りを向上する活動)に対しては、税金が低く設定してあります。

さらに、カナダには遺産相続税や贈与税は存在せず、個人資産の継承から資産の流れを促すことで、社会の成長と発展を促進させています。また、国外からの資産の流入を施すためにも、移民政策などと併合した取り組みをしています。よって、一方では左寄りの社会構造ですが、金融戦略としては、とても右寄りの資本主義社会です。

2)カナダにおいての信託状況

信託状況についても、カナダの政策は前向きだと思います。オフショア信託を相続前に与益者が設置する事で、信託の役割は始まります。また、受益者もカナダに在住する必要もありません。もちろん、カナダ在住の方がメリットは多いのは事実です。その反面、与益者はカナダに在住する事が出来ず、信託も第三者による管理が義務付けられています。日本人にとっては、これは逆に良いことで、ご年配の与益者が海外に住むのは困難であるという現状を救ってくれていると思います。

ただ、信託にも細かい決まりがあり、特に資産の引き出し方や使い始めるタイミングについては細かく定められています。Taxable Canadian Propertiesという項目品は課税対象になり、与益者に購入時をベースとした資産増額益に対して課税される仕組みになっています。よって、これに含まれるカナダ国内の不動産、木材資源、組合、リゾートなどは信託に取り込むメリットが失われてしまいます。しかし、海外(日本)の不動産を相続した場合には、売却時までは税金対象になりません。賃貸として貸し出した場合には、カナダにおいても世界収入で税金が計算される為、課税対象になります。信託を用いるブレーク・イーブン資産額はおよそ1億円と言われています。

3)カナダを使った資産継承

カナダからの視点で資産継承を検討した場合、信託を取り入れたシナリオは遺産相続税や贈与税の削減を含め、多くのオプションを提供してくれると思います。それが日本を含めた外国不動産資産であれば、そのメリットは更に広がります。また最悪の場合は、ベネフィットは減少しますが、カナダに在住する必要もないというメリットも存在します。もちろん、個人資産として高額な投資を行ったりするには、資金の移動制限が発生し、事前の準備が必須になります。しかし、信託本体の運用活動であれば、間接的に受益者の資産も向上する訳ですから、信託管理者との取り組みにより、継続した投資活動は可能になります。(この辺は各信託の定款や活動内容の定義により異なります)

その上、受益者の社会的立場や年齢にもよりますが、子孫の国際化と各ご家族の存続という観点からの海外進出は貴重な経験とツールを得る事になると思います。ましてや、日本に住む事で存在するリスクを考慮すれば、海外に拠点を持ち、政治的に安定していて、親日感情があり、いつでも日本に帰り易い範囲に定住する事には大きなメリットが存在すると思います。

今回のトピックは我々のメインの活動である不動産投資から少し離れましたが、資産運営とリスク分散をしたポートフォリオのバランス化では、カナダや弊社活動を営業材料として売り込むのではなく、読者各自の参考になればと思い書きました。どうか皆さんの今後の資産形成を行う上での参考資料になります様に。

では今週も皆さんが想像豊かな仕事が達成できます様に。

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