今回はまた視野を変えて、バンクーバーの投資のみではなく、北米の高額富裕層(主に同族企業)はどの様な考えで、資産運用をし、不動産をどの様に取り込んでいるかについて、お話ししたいと思います。今回のブログは関係者から聞いた話になりますので、その辺をご了承頂きたいと思います。
現在NAIOP(National Association of Industrial and Office Properties)という不動産団体に参加していますが、その中でもFamily Owned Businessesというコミティーがあり、そこで同族会社として不動産を営んでいる経営者達と年2回の勉強会を行っています。8人のメンバーの内、3名がファミリーオフィス関係者で、他の5名(著者を含め)が、不動産所有者・投資家です。
1)ファミリー・オフィス
ファミリー・オフィスとは、富裕層が資産運用の為に設立した資産運用会社で、運用手段は株・債券などの典型的な投資商品がありますが、不動産のシェアも大きく、その家業の業種にもよりますが、少ないオフィスでは15%で、多い所だと40%ほどの資産シェアを不動産に入れているようです。彼らの基本的な考えは、長期的に安定した資産運用です。そして、その資産運用益からそれぞれのファミリー・オフィスの規律に則り、配当がされています。一人のメンバーが管理しているファンドでは、この配当のみで生活している家族メンバーも多く、今までに仕事をした事のない富豪も多いとの事です。この家族はアメリカ・ワシントンDC近郊の街を築いた家族で、現在は15代目が当主だそうです。このオフィスでは、結婚して家族に入った人間や、離婚して別れた妻や旦那も含まれており、配当受益者数も総勢で100人を超えるそうです。しかし、違うメンバーのファミリー・オフィスの規定では、家業に勤めていない家族からは受益権が没収され、自ら就職して生計を立てる規則になっているそうです。よって、配偶者や結婚により家族になったメンバーも除外されるとの事で、彼らの場合には、「(家業にて)働かざる者、食うべからず」という考えだそうです。結果、この家族においての、配当受益者数は、現在の経営軍の3名だけだそうです。
2)投資についての考え
これらファミリー・オフィスの投資についての考えや戦略も千差万別ですが、殆どの場合、プロのオフィス運営者がハンズオンで、購入や売却に携わり、物件を見て回っているそうです。そして、主な投資手法は長期ホールドによるインカム・プレーで、現在の市場では3~4%が妥当と考えている様です。それにレバレッジをかける事で、5~6%までリターンを持ち上げる構造になっています。違うファミリーの規定では、改築なども許容範囲として、賃料の上昇からくる利益増率を狙うオフィスも存在します。しかし、どのファミリーにおいても、長期保有投資戦略を用いて投資しており、幅広い物件タイプに投資をすると同時に、投資先地域も国内全体の市場を選ぶ事で、リスクの分散を図っています。
ファミリー・オフィスの経営は殆どの場合が、オフィスの社長に一任されており、家族へのレポートは定期ごとに行われる報告のみです。また、オフィス自身による、株式等の自己運用は基本的に行なっておらず、各株式運用会社の担当者によって金融商品の運用は行われているそうです。よって、オフィスの社員数は一般的に少人数で賄われています。
3)ファミリー・アドバイザリー
また、資産運営以外においての、次世代のリーダー教育を含めた世代交代や家族間の問題や管理などについては、常に専門のアドバイザーを用いており、金融面と精神面でファミリーを守る姿勢を取っています。特に、家族内での配当金額の差や兄弟間でのいざこざや世代間での価値観の違いからくる問題は、大小様々ですが、どこの家族においても存在します。そこで、家族の秩序を守る為にも、北米ではファミリー・アドバイザーが存在し、心の面や、家族が継続する為のアドバイスを行なっています。日本でも同じですが、北米でもお金が原因で、絶えて行くファミリーも多く存在します。よって、家系を継続させる為にも、西洋では金銭面と精神面の安定と繁栄を常に強調しており、家族の「運営」が生き残る素手だと考えています。この西洋的な、金銭以外においての家族の運営は、日本の富裕層家族においても、率先して取り入れていくべき点だと思います。弊社グループ企業が、ファミリー・アドバイザリーを手がけており、今後HPの立ち上げなどを通じて、このトピックについては活動の一環としてご紹介いたします。現時点でのご質問は、弊社までお問い合わせ下さい。
人生や世代を超えたプラニングもとても貴重ですが、まずは今週もみなさんにとって活力あり、感謝出来る一週間になりますように。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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