今回から数回に分けて、6月末に購入した物件についてお話ししたいと思います。今回は基本的な概要と購入環境についてお話ししたいと思います。そして、来週は、投資戦略とストラクチャー、そして現時点で分かっているデザイン等について。再来週はプロジェクトの工程についてお話ししたいと思います。最後には、この投資リターンの概要についてお話ししておきたいと思います。
この29話では、まずは概要について、お話ししたいと思います。正直言って、今回の購入は久し振りに手こずりました。今回の物件は2つの売主グループから3物件を購入するスキームでした。その上、一物件では所有者が4人いた上に、仲介業者が売主をコントロール出来ず、勝手し放題でした。もう一つの物件では、40年程所有していた不動産には全く縁がないオーナーユーザーだった為、殆どの書類が保管されていなかったのと、この物件では不動産ではなく、物件を所有する会社を買う契約だった為、弊社のデューデリは長く複雑で費用も嵩むものでした。
話を戻しますと、今回も東バンクーバー地区の物件を購入しました。ダウンタウンから車で約10分ぐらいの位置に所在し、前回の物件からは徒歩圏内に位置しています。立地的には、Hastings Streetと言う東西の主要幹線道路とClark Driveという南北の主要幹線道路が交わる場所に所在します。よって、交通量は多く、交通の便も非常に良いところです。物件自体の面積は3棟合計で、約13,000平方フィート(1,300平米)あり、300%の容積率が与えられています。また、物件の裏は路地に面しており、将来的アクセスを考える上でも、利便性が効く長方形の物件です。
今回は隣接した物件が、市場に出た形で購入出来た事も、大きなメリットだと思っています。基本的には価格が決まっており、集中する項目は建物自体の安全性、土壌を含めた建造物資材からくる環境汚染が、物件を購入する上では、メインのポイントになりました。今回は両方の物件で土壌汚染が公表され売り出されていたので、これをどの様に定量化し、緩和費用を推定するかが大きなポイントでした。これらは、専門家を用いる事で、ある程度は推測可能ですが、もう一つの問題は、売主の過剰的物件の市場価値でした。その上、ネゴ開始時はメインの仲介人が休みをとっていた為、代わりの仲介は売主に振り回され、何度価格の上下に文句を言ったことか。。。一時期は売り出し価格より高い価格でカウンターを出してきた事もあり、その時は交渉を中止し、次の物件を見始めたぐらいでした。でも運良いことに、メインの仲介人も復帰し、なんとか首の皮一枚で繋がっていた交渉が続きました。この様な交渉のメリットは、無理を言い続ける売主の仲介は自分の顧客にも嫌気をさし、我々に同情してくれる事が多く、我々買主に有利な様に売主の説得に尽くしてくれます。今回も例外ではありませんでした。よって、価格面でもギリギリまで落とし、デューデリ期間も、もう一つの物件で手こずっていた為、延長したり、クロージングまでも同時に行える様計らってくれました。
オーナーユーザー物件の方では、長年の所有による、生涯投資税控除(長期間の投資物件の保有により与えられる、特別税控除(一人約2.25億円))適応の為、売主の持ち株会社を購入する契約になっていました。この場合、所有者が3人いた為、合計控除額は7.75百万ドル(約6.59億円)相当になりますので、今回の売却によるキャピタルゲイン税支払いは全くなくなる計算になります。しかし、40年ほど前から営んでいる事業では、書類の保管や弁護士などを使う習慣は定着しておらず、殆ど全ての書類は紛失、若くは未作成・未提出に終わっていました。この例でも明らかになるのが、弁護士の重要性です。契約を交わす際の事項として、買主側の免責を明確にすると同時に、売主側の責任を細かく契約書に盛り込み、売主側からの提出書類を明確にする事が重要になります。合意した書類の提出がない場合には、我々の面責事項と期間を明確にし、契約書の一部とします。これをやっても、第三者に訴えられた場合には、面責を証明する責務が発生しますので、この時点で物件購入交渉を継続するかの、慎重なビジネス判断をする必要があります。
既存の物件は3棟とも平屋で、室内移動クレーンを用いた製造業者が入居しています。今後数カ月から1年間の賃貸契約が全ての建物で締結されています。賃貸的には、市場価格を下回っており、弊社の購入融資の金利払い用のデット・カバーレッジも100%に満たしていません。よって、毎月の持ち出しがあります。しかし、今後建築許可が発行されるまでの期間、契約の終了により、賃料を現在の市場価格まで上げると共に、マンス・ツー・マンスの月々更新型賃貸契約にする事で、賃料にもプレミアムがつくと考えています。
価格面では、現在の市場推定価格の$175/平方フィートより多少高い、$180/平方フィートになりましたが、立地条件では申し分がない為、最終売却時にはこれ以上のプレミアムがつく想定のもと、数字面では良い買い物をしたと考えています。全体的投資のリターンなどについては、後日の投資リターンの中で詳しくお話ししたいと思います。
では、今週も生産性のある一週間をお過ごし下さい。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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