前回のブログでも融資については軽く触れましたが、今回は融資の種類、融資金額の計算方法、支払いプロセスなどについて、お話ししたいと思います。この融資については、当初の予定には入っていませんでしたが、カナダにおいての不動産投資を理解する上でも必要な項目だと思うので、付け足す形でお話ししておきたいと思います。
カナダの融資には、1)購入ローン、2)建築ローン、3)そして建築を目的に入れた購入ローンの三種類が存在します。この3)は現在バンクーバーでは殆ど使えなくなりました。購入と建築を合併させた融資はまだ存在しますが、この場合、ローン申請時に、既に開発と建築許可を受けている事が融資の条件になります。もしくは保持していなくても、今後一年以内に着工可能なプロジェクトの場合に適応されます。よって、現在の申請で2年ほどかかる状況では、購入と建設を一本にした融資は得られないのが現状です。弊社でも今回は、購入融資を取り付け、今後組合が設された時点で、建設融資を取り付ける予定です。
今回のプロジェクトにおいての購入には、LTV60%の金利支払いのみの不動産購入融資を取り付けています。期間は組合設立までの2年間です。よって、この期間は金利分の支払いのみで、満了時に最終金利と元本の支払いが行われます。この夏にも金利が若干上昇しましたが、現在の金利のみの融資の金利は、5%前後が市場になっています。弊社の金利は4.95%でした。よって、以前のブログでも書きましたが、通常のバイ・アンド・ホールドでは、マイナスレバレッジになる為、融資を使うメリットが存在しません。建設許可受理後、組合を設立した際には、組合が融資を申請し、土地と建設分価格に対して最大80%の融資が受けられます。これについては、下記で更に説明します。
建築融資率計算
建築融資は通常最大コストの80%まで借り入れる事が出来ます。また、この80%は当初の土地(物件購入の土地部分で、通常は購入額の80%程まで)と建築費の合計金額になります。その上、この率に相当する金額が、建築コストの60%以下である事が通常の建設融資条件になります。60%以上になる場合には、金利の上昇やさらなる融資条件が加算される事になります。また、融資を保証する同額の担保がない場合は(動産、不動産関わらず)、第三者の保証人を立てる必要があります。そして、その保証人への手数料は融資額の2%が平均です。バンクーバーでは巨額を保持する富裕層が存在する為、その人達から保証を取り付ける事も頻繁に行われています。しかし、注意点は、保証者のどの資産を担保物件として導入するかという点です。多くの保証は実際には執行されない為、実際問題としてはさほどないかもしれませんが、同じ担保が複数のプロジェクトに使われていたり、担保として機能しないプロジェクトで承諾する保証者もいるのが事実です。よって、気をつける事は、保証者のホールディングに対して保証をして貰う事で、各プロジェクトを使って保証をして貰う事を避ける必要があります。
そして、その上に金融機関のフィーが掛かってきます。通常は融資額に対して、1%以下の約0.75%程度です。そして融資額支払いについてもプロセスは細かく、デベロッパーに直接現金が支払われる事はありません。
融資支払い過程
融資が決定した後の支払い遂行の為には、1)建築士もしくはコンサルタントに建設過程報告書を作成してもらう必要があります、2)その報告書を金融機関に提出し、3)金融機関の方より、直接ゼネコンに支払われるのが、一般的プロセスです。そして場合にはよっては、ゼネコンの方より、ホールドバック(下請けに対して未払いがない状況)がない確認書を金融会社の方へ提出することが義務ずけられます。これはプロジェクト完成時は必ず提出される書類ですが、プロジェクト中にも求められる事もあります。この書類の狙いは、プロジェクトの遂行を安定し順序よく進めて行くためです。支払い滞りによるプロジェクトの遅延や失敗を防ぐ為です。
最終的元本支払いのタイミングは、各々の契約書によっても異なり、部分的払い戻しを認めるものもあれば、元本全額纏めての払い戻しが条件になる場合などがあります。
上記からも理解出来る様に、デベロッパーの資産的出費はシステム的に管理する事が出来ると思っています。予算のうわ回しを含めた建設工事に対してのリスクは常に存在しますが、ゼネコンの協力を得る事で、そしてデベロッパーとして中途変更を最低限に止める事で、リスクの低減も可能になると我々は考えます。
よって、これらの動く部分の範囲と影響を把握し、都度確認し管理する事で、プロジェクトは成功すると思っています。デベロッパーはオーケストラの指揮者であり、各演奏者の健康状態やスキルマッチを考え風通しの良い、演奏しやすい環境を提案する事が、任務であり、演奏会の成功に繋がると思っています。
残暑で健康管理も大変かと思います。みなさんもどうかご自愛下さい。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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