今回は先週のRailtownよりさらに東に向かった(それでも約1km以内ですが)、東バンクーバーの中心地とも言える、Clark Driveを軸にしたエリアの最新開発事情についてお話ししたいと思います。以前の四半期市場レポートにおいても、ダウンタウンから病院が東バンクーバーに移設するお話をしましたが、今や東バンクーバーが新規開発拠点になっています。

1)東バンクーバーについて

東バンクーバーの原点は、Railtownのブログでもお話しした様に、木材などの荷下ろし場で、雇われ者の為の飲み屋などが多く存在していた「ラフ」な場所でした。そして、現在の地理的中心となるClark Driveの辺りは、まだ海岸沿いの草原に埋もれていました。それから約1世紀が経ち、飲み場や宿は、現在のLive-Workエリアになり、他の東バンクーバー地区は軽製造業や配送業者がメインになりました。(注:Live-Workとは、不動産用途上の割り振りになりますが、事業所を登録できる住居です) しかし、この10年ほどの地価の高騰により、製造業や配送業はさらに東に移転し、東バンクーバーは倉庫跡地をオフィスに変え、IT、ファション関係、医療の研究所などの高賃料が負担可能な業種が主なユーザーへと変わってきました。

そして、現在は賃貸を探すにも、選択肢はなく、購入するにも、買える物件がないという状況です。しかし、低金利で好経済状況に後押しされ、企業の間では購入オプションに注目が集まっています。ただ、不動産開発は遅れており、未だに需要は満たされていない状況です。この遅れにはいくつかの理由がありますが、主なものは次の通りです。1)バンクーバー市の行政対応の遅れ、2)地下の高騰が一部のデベロッパーを排除している、3)地主が今後更なる地価の高騰を予測し、売らずにいる。特に、3)の理由は大きく、売主と買主の間での、価格ギャップが激しい状況です。(これについては、以前第2プロジェクトのブログでもお話ししました) 買主は市場に浮上していない物件を探し、水面下での売買契約を行うケースも少なくありません。これにより、「市場」価格がさらに釣り上げられ、地価の高騰を支援する形になっています。

2)東バンクーバーの現在の状況

5年ほど前から始まった、東バンクーバー全体における再開発/改築ですが、今までに大きな再開発物件が2件終了し、両方共に竣工前に完売しました。しかし、これら物件以前には、近年における区分所有物件の販売前歴が存在しなかった為、当初の$345/平方フィート(約29万円/平米)という1階部の販売価格は低すぎ、再設定を余儀なくされました。当初はデベロッパーも需要が読めず、価格設定に手こずったと話しています。

上記プロジェクトから1年経った現在、2年後に販売開始予定の弊社物件では、1階部分を$650/平方フィート(約55万円/平米)で販売する予定です。両物件は同じサブマーケットに所在しますが、弊社では、上記物件の様なインダストリアルではなく、レストラン等の飲食を入れたり、建物のデザインや機能性を飛躍的に向上させる為、このような値段が可能だと考えています。仲介の考えでは、2年後を考えた場合、我々の値段もコンサバすぎるかもしれないとの事でした。更に、弊社としては、ユーザー体験値を最大限引き出し、オフィス/インダストリアル物件においても、トランジェント(立ち寄る)物件ではなく、デスティネーション(目的地)としてのコンセプトを用いて、新しいビルの使い方を提案しようと考えています。その上で、空調や照明などのあたり方なども、利用者観点を追求したものにして行きたいと考えています。このプロジェクトについての詳細は、今後デザインが固まったところで、別のトピックとして、またお話ししたいと思います。

脱線してしまいましたが、もう一つ近々着工する新規再開発物件についてお話ししたいと思います。現時点では、まだ公になっていませんが、約30,000平方フィート(3,000平米)ある土地に、100,000平方フィート(10,000平米)のフレックス・オフィス/インダストリアル・ビルが建設されるとの事です。場所は弊社ビルの存在するサブマーケットと同じ東バンクーバーですが、1kmほど南に向かった、病院移転先近くになります。このエリアは、昔からバンクーバーの大型インダストリアル物件が多い地区(製造業中心)として知られており、場所はVernables とClarkのあたりです。そこでも、一階はすでに契約済みで、信用調査度の高い車両修理工場が入るそうです。価格としても、$650/平方フィートで売約されたそうです。信用度が高く、一階全てを購入予約したと言う事で、価格は割引されていると思いますので、実際のこのエリアの区分所有物件の価格は、$650/平方フィートを超えているのかもしれません。

3)東バンクーバーの今後について

更に、上記物件エリアにはDistribution Row(配送エリア)で知られている、平屋ですが大型ディストリビューションセンターが数件所在しています。病院の開発と共に、配送用途は変更するのではないかと考えており、今後は病院関連の医療研究所や専門クリニック、ドクターのオフィスビルなどの誘致も増える事でしょう。それに連れ、現在のトレンドでもある、住宅を含めた複合住宅・商業ビルが出てくるのではないかとも思っています。

よって、東バンクーバーの一昔前のインダストリアル地区から連想される、ラフな雰囲気はなくなり、住まいを重要視した新たな居住・ビジネス地区へと移り変わって行くと思います。弊社としても、この流れに先手を打つ形でこれからも、物件購入を進めていこうと思います。

バンクーバーには、まだまだエキサイティングで、魅力ある投資先がたくさんあります。皆さんの一週間もエキサイティングな週になります様に。