今回はサプライサイドに焦点を置き、現在の建築現場の状況と建築コストについて、ここ5年間ほどのトレンドをもとに、お話ししたいと思います。
・資材
経済の高成長と共に、全体的な建築資材価格の高騰が起きています。中でも目立つアイテムは、艶出し用のシリカ、コンクリート(砂)、木材、石材や外壁用パネル商品です。これらは殆どカナダ国内の生産品ですが、主な価格高騰の理由は、世界的需要と理解しています。現在は世界的な不動産開発時期といっても過言ではない程に、すべての地域で不動産開発が注目されていると思います。よって、国内需要に対しての供給も行っているものの、価格勝負に勝てる地域への供給は優先されるようになり、それがさらに価格の高騰に繋がっています。例えば、コンクリート用の砂ですが、現在世界では、砂がなくなるかもしれないと言われるほどに、需要が高くなっています。現在の世界的年間使用量は500億トンとも言われています。これがどの様な数字だかは桁外れで、理解不可能ですので、ネットで調べてみると、富士山の重さの半分だそうです。(富士山は1,000億トン。。。これでも桁外れで理解しずらいですが。。。) もうちょっと身近だと、東京のスカイツリーの重さの約125万倍だそうです。中国全般における高層マンション建築や、中近東や中国による人口島建設などはその一例です。もちろん東京のオリンピック用建設もこのうちの一つになります。
アメリカ産ではガラス、鉄鋼や複数の内装用製品が、現在カナダに輸入されています。北米自由貿易協定(NAFTA)で免税か低課税で輸入が可能ですが、需要面では上記カナダ産物品と同状況で、価格は上がる一方です。また、現在のNAFTA更新交渉と政治的要因を見据えての価格調整がすでに起きており、アメリカ産生産物購入価格は、NAFTA時代前に逆戻りし、経済的な自由貿易は実状失われました。
・雇用
もう一つの重要な項目は雇用です。現在バンクーバー地域では、著しい作業員の不足に悩まされています。これは、見習いレベルの作業員から、専門技術者まで全てのレベルで要員不足が著しく発生しています。よって、デベロッパーが建設許可を得ても、人員不足ですぐに着工できないのが現状です。同時に、人件費も著しく高騰しています。例えば、ここ数年間で、人件費は年12~18%ほど上昇し続けており、今後も継続して上昇傾向にあると思われます。では、なぜその様な状況にあるのかという事ですが、いくつかの理由が挙げられます。1)今まで人件費が固定だったのが、ここ数年で急激に上昇した、2)建設市場がフル稼働しており、人材が足りない、3)バンクーバー地区の生活費の高騰、4)基本的な人材不足。どれを見てもすぐに解消される案件は無く、3)などについては、政治的問題にもなっているほどです。
では、この様な状況の中で、弊社が引き続きデベロッパーとして、この市場で成功して活動して行くためにはどの様な物件を建設して行くべきか。。。下記でご説明したいと思います。
今後も質の高い、設備的にもユーザー・ニーズに応える物件を提供して行くのは必須と思っています。その上で、下記のポイントが重要になると考えています。
1) 購入者が見えるところにフォーカスを置く
不動産では、目で見えるもの、手に取れるものでないと、存在価値が把握出来ないジレンマが存在します。業界内の人間であれば、設備も話せば理解できますが、設備やサステイナビリティーについて説明しても、各購入者への見返りを把握して貰うのは、凄く難しい挑戦になってしまいます。逆に、色彩やデザイン、アメニティーは、理解が早いのは言うまでもありません。よって、シンプルでも斬新なデザインと付加価値のある設備を提供する事で(例えば、駐輪場、更衣室、共同テラスや屋上会議室)、建物としての価値が上昇します。そして、この目に見える価値が、販売価格に反映され、最終的には、投資リターンの向上に繋がると考えています。
2) 各階をオープン・スタイルで小さめに作り、面積を上階に持っていく
オープン・スペースでは、各購入候補者の想像を掻き立てるプロップを使い、自分のスペースを購入前に想像してもらう事が大事と考えています。また、階数を増やす事で、上階の販売可能価格が上昇し、プロジェクトとしての利益増額に繋がると考えています。もちろん、高さリミットや建築コストの増額なども考慮する必要があります。しかし、弊社のターゲット市場である東バンクーバーは、今後のダウンタウンの拡張路線上に位置している事は、市の建設部も理解している事なので、今後も建坪率の上昇が進むと思われます。
まとめ
上記の2)については、弊社としても今後市の行政と話し合いを持っていく事になるので、また別のブログで今後の発展についてお話ししたいと思います。
我々としては、条件が難しくなればなるほど、想像力豊かに差別化を計り続ける必要があると思っています。そして、ユーザー視点での設計と設備設置が常に成功のカギを握る事になると思っています。
皆さんの一週間も差別化を提供できる、クリエーティブな一週間になりますように。
KM Pacificグループ代表取締役社長
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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