今週はJoint Venture(ジョイント・ベンチャー)という形の共同投資構造についてお話ししたいと思います。Joint Ventureと書くと格好良く聞こえますが、簡単には事業成功の為に、2社以上の企業が同じ目的を持ち、共同運営をして利益を得るというものです。しかし、これだとJopint Venture(JV)Partnership(PT)の違いがよく分からないと思うので、下記にもう少し詳しく区分けの説明をします。そして、カナダにおいてのJVについて、お話ししたいと思います。

1)Joint VentureとPartnershipの違い

Joint VentureとPartnershipの基本的違いは、JVは2社以上の会社が同じ目的の事業を協力し合って行う為に設立される事を言い、JVメンバーは契約に則り制約されます。よって、経営や運営も、規約にもよりますが、基本的には全JVメンバーにておこなわれます。そして、事業単位で関わり合いを持つ為、各メンバーの存在もPTの様に組合の「影」に隠れる事はありません。存続期間は事業が終了するまでの期間とされ、一般的には短いとされています。各自がJVの為に持ち出す資産は、各々の名義のまま持ち入られ、会計上の減価償却なども、各JVメンバーの判断により、用いられる度合いが変化します。また、JV期間中に掛かる費用は、共同で支払われますが、一旦JVが終了すると、費用の折半を含めた共同作業は終了する事になります。

PTと大きく違う面では、期間中にJVが得た資産は全メンバーの共同資産とみなされ、さらなるビジネス利益の為に、各JVメンバーがJV終了後も使う事が許される事です。良い例が、新薬の開発です。JVでは、期間中に開発された新薬は、JV終了後も各JVエンティティーによって、生産・販売が可能になります。そして、このJV後の販売から来る営業利益は、配分される事なく、生産・販売を行ったJVに属します。PTの場合には、PTが終了した後の事業継続はなく、全事業活動は組合期間内に行われ、終了時には、組合は解散され、全ての資産は分割される事になります。

事務面においても、JV契約書はPTなどよりも簡単に作成する事が出来る利点が存在します。国税局などへの報告においては、JVとしての確定申告が提出されると同時に、各JVメンバーも各自確定申告を提出する事になっています。上でも話した様に、減価償却の適用についても、JVでは各メンバーの自由な選択で適用度が変化しますが、PTの場合には組合自体が設定した率のみが適用されます。第三者に対しての法的責任についても、PTのリミテッド・パートナーの場合には、自己出資額を限度とした責務を追いますが、JVにおいては、対外的義務はこのJVプロジェクトのみに限定されるものの、プロジェクト関連責務は無限に共有する事になりますので、事業内容の詳細を始めとし、投資先地域のビジネスと律法の風習について熟知しておくことはとても大事だと思います。

2)カナダにおいて、Joint Ventureを使うメリット

では、具体的にカナダにおいて、共同投資を行う場合、JVを使うメリットについて、お話ししたいと思います。やはり利点は1)構造2)利益配分方式3)確定申告などがあげられます。1)構造面では、全共同投資家が、スポンサー企業(若しくはSPC)の株を購入し、その購入比率によって、プロジェクト終了時の配当割合が決まる仕組みになっており、構造的には至ってシンプルです。この場合、株式でも優先株や、普通株、更には複数の普通株の発行も可能になり、投資家権利の制限も可能になります。2)配当は持ち株率によっての配当になるため、極めてシンプルな配当方法になります。また、スポンサーの判断により、配当時期を定めることができるのもメリットだと思います。3)納税処理についても、各JVメンバーに対しての財務諸表が与えられ、各事業者の経済状況を加味した確定申告を行うことになります。

JVのメリットは上記でも説明したように、多く存在すると思います。しかし、弊社の場合、いくら我々が一任投資運営をする規約で投資リターンも市場平均を超過していたとしても、無限のリスクの可能性を投資家に追わせるのは、無謀と考えており、JVは考慮不可能なストラクチャーだと考えています。JVに限定せず、各投資ビークルは各投資家のリスクレベルに沿ったものであるべきであると同時に、共同投資参加するかの是非に、大いに影響する為、慎重に議論するべき項目だと思います。

皆さんにとっても、いろいろな投資チャンスが到来しますように。

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