BC州の企業税金には大きく別けて2通りあります。営業収入からくる、インカム・タックス(Income Tax: 所得税)と、売却などからくるキャピタル・ゲイン・タックス(Capital Gains Tax: 譲渡所得税)です。またこれらの税率は、BC州現地企業かどうかによっても変化します。今回は特に現地企業と民間企業(Private Corporation。注:この場合の民間企業というのは、カナダの現地企業以外という括りになります。)かの違いなどについて、お話ししたいと思います。しかし今週のブログは税金についてですので、私共の専門以外であるという事をご理解の上、上から見た基本的な考えについてお話ししたいと思います。それ以上の詳細はカナダの会計士をご紹介しますので、そちらにお問い合わせ下さい。(笑)

カナダの現地企業の場合

BC州企業の条件については先週もお話ししましたが、再度ここに記載しますと、1)BC州で登録されている事、2)執行役員がBC州在住である事、3)資本はBC州会社で賄われている事の3条件です。その上で、どれかが欠けていると、民間企業(Private Corporation)とみなされ、外国企業と同じ税率になります。

CCPC(Canadian Controlled Private Corporation)は、カナダの現地会社という事になり、上記の3原則に則って設立された会社になります。この場合の所得税には、Small Business Deduction(小企業控除)が当てられ、基本税金率は12%になります。これは、連邦税(10%)州税(BC州では2%)の両方の税金合計になります。これら所得はカナダ国内で発生した収入のみに活用され、国外での収入については、Non-CCPC(上記民間企業)率が導入される事になり、上記12%より高いものになります。

余談になりますが、企業所有者が、会社からサラリーを貰う代わりに、自己所有企業へ有償サービスを提供した場合、上記連邦優遇税の10%は却下され、更に5%の税金が足される事になります。結果、連邦政府税率は33%まで上昇してしまいます。その上に、州税も掛かってきます。カナダではこの様な行為を脱税とみなしており、ある一種のペナルティーとして加算されています。ですので、企業所有者はこの点を十分気をつけるべきです。

話を戻しますが、上記2%の州税率は当初の$500,000(4,250万円相当)までの収入に対してが上限となります。$500,000以上の収入に対しては12%の州税の対象になりますが、多数の控除やそれまでの節税項目を用いる事で、この部分の対象額も減額出来る可能性も存在します。カナダ連邦政府は、カナダ国内においての収入に対しては、更に小企業控除率を上げる事を検討しており、2018年は10%、2019年の実質的税率は9%まで減税すると発表しています。これら活発的な税率の導入は、内需活性化を目的としていますが、同時にアメリカの税法などと比較をした競争上の優位性を得る目的も多く含まれています。更に、以前別のブログでもお話ししたように、バンクーバーの多くの企業サイズは社員5人以下となっており、通常$500,000以上の収入がない企業も多くあります。その様な小規模企業への配慮と起業しやすい環境を整える意味でも、税金率は意図的に下げられています。

米国の国税率の21%と比較した場合、場所によっては、州税との合計では、27%を超える州も出てくる為、競争率の保持につながっていると思います。(CA: 29.84%、NY: 27.5%、WA: 21%) もちろん、両国の場合においてもこれら率は、控除適用前になりますので、各企業の状況によっては、最終的率も異なる事になると思います。

民間企業の場合

では、Non-CCPCの民間企業の場合にはどうなるのか、比べてみましょう。これが特に外国企業の場合には、基本率の38%にカナダ国内での収入に対しての控除として10%が引かれ、税率は28%になります。その上、13%のその他控除を差し引くと、結果、15%になります。そして、州税では控除が適応されない為、州税率の中でも高額の12%が適応になります。よって、合計税額は27%になります。前回もお話しした様に、組合などのストラクチャーにおいても、民間企業が一社でも参加している場合には、そのファンド全体の税率は、27%まで上がってしまします。

譲渡所得税については、カナダでは利益額の50%が税対象額になります。よって、25%の税率でも結局は12.5%が譲渡所得税になります。また余談になりますが、米国の場合には譲渡所得と一般所得のオフセットは不可能ですが、カナダの場合には譲渡所得と一般所得を合併して計算が出来る為、起業初期の経営損出は期間内の譲渡所得に対してオフセットが出来る事になり、結果的な節税に繋がります。

カナダとBC州における税法の仕組みは、それなりの競争力を維持しており、魅力的なものだと思います。カナダという国が全体的に左寄りな為、以前は税金なども高いと個人的にも思っていましたが、税的には優遇性が効き、良心的だと思います。

今回はとてもハイレベルでの基本的な話になりましたが、これ以外にも日加租税条約などによる投資資本の送還などについても、少々時間はかかりますが、低源泉徴収率で送還可能です。また、カナダには遺産相続税や贈与税がない事も、大きな魅力です。この点は弊社内でも注目しており、ファミリー・アドバイザリー事業でにおいても、カナダのメリットの一つとしてお話しさせて頂いております。

では今週も皆さんにとって、世界的視野で物事が見られる一週間であります様に。

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