前回のお話では「目的」の重要性、物件の選択事項について簡単に書きました。では今回は、弊社の改築プロジェクト704 Alexander Streetを使って、前回のブログに当てはめてみる事にしましょう。

再度申し上げますが、弊社の投資プロジェクトの目的は「時間に打ち勝つ物件」の供給です。そして、当初の購入目的は運用の為の所有でした。そしてこの物件を担保に入れ、融資を得て次の物件を購入する事を考えていました。

1)704 Alexander Streetプロジェクト概要

704 Alexander Streetはバンクーバー市内でも東バンクーバー地区に位置する軽製造業用倉庫で、ダウンタウン中心から徒歩約25分の所にあります。バンクーバーのダウンタウンは20分あれば、ほとんどの場所に歩いて行ける距離です。よって、25分という距離がどれだけ離れているか、お分かりになると思います。この距離は車で約5分以内です。しかし、それまでに低所得者用住宅街を通る感じになりますので、ダウンタウンからの「流れ」が一回途切れる雰囲気があります。もう既にこの時点で、「ロケーション」という点では外れているかも知れません。しかし、我々は今後の価値上昇「経路」の延長上にこの物件が所在していると判断し、場所としての条件をクリアーしました。また、この物件からは、バンクーバー北部の山脈が一望出来た事もプラスでした。

2)704 Alexander Streetプロジェクト詳細

そして、将来の競合物件に打ち勝つためにも、現状市場に見合った資産投資ではなく、10年先を見据えた資産投資を注入しました。その為に、我々は躯体まで殆ど全てを削ぎ落とし、噂されていた50年に一度の大震災に打ち勝つような外壁を使った耐震性、今後のIT業界の需要も満たせる電力供給量非常安全設備、入居者増量にも耐えれる排水システム、安心して入居出来るセキュリティーシステム、ロフト的オフィス使用が出来る開かれたレイアウトと、シンプルでも斬新な外観(オレンジ色の夜行燈や側面外壁にデッサンされた大型物件住所)とインテリア設備(ロビーのシャンデリア)を導入しました。また低コスト運営の為にも空調設備の区画化自動温度設定設備を導入。窓も大型で開閉可能なものに取り替えて、自然光や自然を使った空気の入れ替えも可能にしました。コンセントなども延長コードの張り巡りや電力の偏りを防ぐために、穴数も増やしました。オフィスでの滞在時間が平日の自宅滞在時間にも増す状況でのストレスを解消するためにも、フルキッチンやシャワーの設置も行いました。

3)704 Alexander Streetのインパクト

これがバンクーバーでの第一プロジェクトであった為、予算は極力削りました。また、我々の改築は、今まで誰もが行った事がない程に再開発に近いものでした。

また、入居者も厳選し、長期的視野を見据えられる企業のみを候補に入れていました。結果、ラジオ局と業界リーダーのIT企業の入居が決まりました。もちろん時間も通常より数ヶ月多くかかりましたが、市場最高額の賃貸契約を締結する事が出来ました。その上、次の物件を視野に入れていたので、賃貸契約交渉では、大家のテナント工事費負担率を増し、更に賃料の増額を要求しました。これにより、物件の価値は更に上昇し、のちの銀行との融資交渉にも役立ちました。

このプロジェクトから学んだ事、今後のプロジェクトに対しての考えなどは、次回のブログで纏めを書く事にします。

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