年末に弊社が日本でオフィスを持たない理由について述べましたが、今回からは、カナダについてお話ししたいと思います。具体的には、1)カナダでの教育事情、2)カナダ・バンクーバーの人柄、3)その人格の培い方について、カナダの現状と題してちょっとしたシリーズ物として書いていきたいと思います。これを書くことについて、カナダのファンダメンタルや社会の回り方など、もっとカナダについてご理解頂けるのではないかと考えています。そして、理解が深まれば、カナダにおいての不動産投資についてもご理解が深まるのではないかと考えています。では、このミニシリーズ初回のカナダの教育についてお話ししていきましょう。

1)カナダの教育システム

この頃は、多数の若人が海外に出て勉学しているので、皆さん色々な経験をされていると思います。私が当初日本を出て留学を試みた1983年には、海外で勉学を選択する日本人生徒は殆どいなかったのが現状です。そして、現地の人々も日本人と関わった事がないという理由から、偏見や差別に繋がる事も多々経験しました。でも、現在の2019年では、関わりも増え、お互いの理解も増し、日本人としても海外に出やすい状況になってきたと思います。

カナダの教育システムでは、9年生(中学3年生)までが義務教育になります。この頃は6年-6年システムが主流になり、小学校の初等教育と中学校・高校が一緒になっている高等教育制度になっています。場所によっては、中学と高校が分かれているところもまだ多くあり、東部の方では、13年制の教育システムを導入している所もあります。大学入試についても、BC州では、高校2年生で取る一律試験の結果、高校の成績表と、内申書が主な選考資料になります。(応募者の大学下見訪問時に受ける面接記録を参考資料として、取り入れる大学も多くあります) また、高校によっては、AP(Advance Placement)と言う優秀生徒用のプログラムを用いており、成績によっては、大学一年生の単位として考慮されます。

2)カナダの学校のルール一例

そして、カナダでは全学年がお弁当制度になっています。中学から、学食を取り入れている学校もありますが、小学校では基本お弁当になっており、給食制度はありません。お弁当も、幅広く家庭の文化や環境の違いが映し出されています。よって、我が家のお弁当は、クラスメートの殆どが、サンドウィッチ弁当である中、日本的なご飯とおかずを入れたものを持参させています。

私が留学で渡加した1980年代始めは、寄宿舎に入っていて、日本人は私と弟だけでした。なので、先生方の中でも日本人と関わった事がない人たちも多く、色々経験しました。その上、我々の学校はイギリスの伝統を重んじる学校だった為、ルールは厳しく、校則にはジーンズが校則違反だったり、年上が入室した際には、即立ち上がり、返事は「Sir」か「Ma’am(Madamの訳)」を文章の最後につけて、尊敬の意を表することを求められました。

3)カナダの学習方法

ちょっと脱線しました。。。現在の小学校の教室事情としては、公立では各クラス約30名ほどで、日本の様なデスクに座った勉強方法をとっています。しかし、柔軟性が効く学校では生徒が輪になってカーペットの上に座ったりして、話し合いの形をとるクラスもあります。娘の学校でも、各クラスは約17名で、学年34名です。生徒のバックグランドも、3~4割が非白人というバラエティーある環境ですが、娘を含め、全員カナダ生まれのカナダ人です。授業内容も教科書はなく、教師が準備する資料が主になっています。そして、算数などでは、答えは一つしかありませんが、他教科では自分の答えについて、考え方や答えの辿り着き方が重視され、その方法について説明する事が求められます。よって、日本である様な一般的答えは存在しないのが特徴です。これにより、成績表についても、クラス全体に対しての評価ではなく、個人の達成度や理解度を表した評価になっています。

もちろん進学するにつれ、机に向かった学習方法が主流になりますが、学習アプローチについては変わりません。よって、個々の答えについても、自分の説明が求められ、進学するにつれて、益々理論と証拠(他教科で学んだ事など)を取り入れた説明が求められる様になります。そして、歴史などの教科では、時空列を使った影響論・比較論とでも言う様な勉強方法が取り入れられています。例えば、イギリスの産業革命について、同時期にヨーロッパやアジアでは何が起こっていたか、産業革命がもたらした各地域へ影響など、各トピックの裾が幅広く取り上げられる様になっています。数学や国語に当たる英語では、成績によってクラスが再編成され、理解度に沿った学習方法を取り入れています。

大学に入れば、1~2年生時は一般教養が重要視され、専攻科目は3年生から始まるのが主流です。よって、日本の様に入学試験時に、理数系か文系かに分けられる事はありません。大学によって、卒業論文を書かせる所もありますが、卒業方法も多種多彩で、各大学の色が出ています。因みに、私の場合には、卒論はなく、卒業試験もありませんでした。

概論だけではありますが、カナダの教育事情が少しでもお分かり頂ければ、今回のブログの目的は達成されたと思います。

では、今週も皆さんにとって経験を増やせる有意義な週になります様に。