今週は弊社物件の賃貸についてお話ししたいと思います。ただ、弊社の話ばかりしてもしょうがないので、今週のブログでは弊社の物件における賃貸活動を例として、一般的な賃貸活動や状況を話を含め、皆さんが不動産所有された時のお役に立てる様なものにしたいと思う為、次の点についてお話ししたいと思います。1)空室率による賃貸の考え方、2)賃貸目的別に考える賃貸活動、3)物件別における賃貸の取り組み(ロフトタイプ物件)
1)空室率による賃貸の考え方
以前にも弊社の賃貸やバンクーバーの賃貸状況についてはお話ししてきたと思います。2018年第4四半期も空室率は2%台で終了するという、前代未聞の状況です。そして、この状況は今年に入っても継続しています。よって、現状では、新規物件探しをしているテナントさんにとっては、とても難しい状況で、必要サイズや物件の質などを細かく追求していると、サーチは一段と至難の技になってしまいます。通常95%以上の入居率は満床とみなされる為、85~90%以上の入居率のある市場では、所有者有利の市場とみなされ、賃貸活動も半年ほどで締結されるのが普通です。(特別な作りやレイアウト物件は別ですが)しかし、これ以下の場合には、所有者も賃貸活動に力を入れる為、CBD(ダウンタウン)物件から埋まって行くのが一般的な流れです。この場合にも、賃料は変更しない場合が多く、入居誘引(フリーレント、テナント工事費、契約更新条件)などに変化をつけた入居条件を提示する所有者が増えます。もちろん賃料を変更する所有者もいますが、考え方として、賃料を変えてしまうと、将来的収入が影響され、物件評価額が落ち、融資取り付けに影響する為に、避ける所有者が殆どです。こちらでの融資計算はほとんどの場合が、賃貸契約書に基づいた将来収入を現在価値評価したものになります(NPV計算です)。よって、上記の入居誘引の中でも、テナント工事費をオーナー負担で出す事で、テナント誘致は可能になり、銀行融資にも影響しない為(現金で経費として払う為、資産評価されず、銀行の書類には含む必要がなくなる為)、一番簡易的な方法だと思います。
ただ、バンクーバーの様に、CBDとハイテク企業(市場リーディング業界)が求めている物件クラスが異なる場合(例えば、サンフランシスコのCBDとSoMa地区)では、CBDが常に先に埋まっていくという事でもありません。その時の需要が選考される為、各サブ市場を見る必要があります。
2)賃貸目的別に考える賃貸活動
弊社の今回の誘致活動もそうですが、検討している賃貸活動の目的を明白にすると、それぞれの手法も変わってきます。例えば、現在の弊社の場合には、来年に再開発を控えた賃貸誘致なので、資産評価は関係なく、賃料も融資の金利を支払える分だけ入ってくれば良いと言うのが、正直な考え方です。もちろん、収入は多い方が良いに決まってますが、期間が短い事とオーナーとしてもテナント工事費を負担したくないことを考えれば、とにかく空室を埋めることに専念する事になります。我々としても今回の重要点は、来年の再開発許可証が発行された時にテナントの即立ち退きを執行出来る事が、最大のポイントでした。また、購入したばかりのオーナーユーザー物件だったので、賃貸物件としての情報が一年しかなく、今回はグロスリース(Gross Lease)で光熱費のみテナント負担にしてもらうようにしました。光熱費を負担してもらう事で、業種ごとに変化する光熱費経費を抑える事ができ、テナントの電気消し忘れなどからくるオペレーション上の無駄も防ぐ様にしました。
その他にも、各賃貸契約が担う物件全体の役目や物件の投資戦略によっても、賃料の設定や、入居誘引事項の取り入れ時期も変わってきます。各状況についての詳細は、また別途ご連絡を頂ければ、その際にご説明したいと思います。
3)物件別における賃貸の取り組み(ロフトタイプ物件)
各物件によっても、賃貸可能な業種も異なってきます。よって、改築を含めた物件の場合には、ターゲット・業種を当初から念頭に入れて、改築プランを立てる必要があります。弊社では、プロジェクト遂行前から、仲介なども含めた賃貸戦略を考慮した改築・再開発プロジェクトを遂行しています。その上で、ターゲット賃料を含めた最終的戦略を打ち出して、具体的なタイミングや賃貸条件などを提示して、仲介業者の可能・不可能範囲を当初から定めています。こうする事で、プラニングにも現実性が増し、仲介の権限範囲も確定され、彼らにとっても効率良い仕事と、「任された」感を与える事が出来ます。しかし、建築上賃貸不可能な業種に対しては、募集行為を試みるのは不可能な事は言うまでも有りません。例えば、ハイテク業界の誘致を試みても、タパ(天井高)が2メートルであったり、柱間が狭ければ、彼らのストライクゾーンから外れてしまいます。
よって、複数の項目が市場のタイミングによって左右されるのも事実です。弊社の場合、我々が市場参入を試みた2010年は、スモールベイ・インダストリアル物件によるコンバージョンが人気で、特にハイテク企業からの要望が多かった為、弊社の投資戦略もその需要に適ったものになりました。この先もバンクーバーでは、ハイテク企業からのインダストリアル・コンバージョン物件は継続して需要が高いと思われるので、弊社としては継続して、この戦略を繰り広げていく予定です。
また、付け足しにはなりますが、不動産所有者としての長期戦略(特に出口)については、明確なプランを物件購入前に持っておくのは大変重要な事です。出口戦略や時期の変化によっても、賃貸戦略や活動は変化してきます。そしてその策によって、一番重要な財務面も影響してくるので、ストーリー性を持った案の構築は重要だと我々は考えています。
今回は、一般的な賃貸活動の考え方について、お話ししました。日本では、市場サイクルが異なる為、上記の活動内容とは若干異なりますが、考え方はいつもどの市場でも同じだと私は思っています。
今週も皆さんにとって、良い不動産投資戦略が考えられる週になります様に。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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