ここ3回に渡って現在のバンクーバー市場についてと今後のトレンド予測について一般的なお話しをして来ましたが、この辺で枡田の個人的予測を弊社の物件サイズやサブ市場に合わせて、お話ししたいと思います。

1)弊社の物件タイプや主な市場

弊社の物件タイプや主な市場を再確認しますと、中小のインダストリアル物件をフレックスオフィスへの再開発が主な事業としています。物件サイズとしても、土地面積が約15,000sf(約1,500平米)を中心としています。これは、10,000sf以下では自走式の地下駐車場の設置が不可能な事、そしてこれ以上のサイズを求めると、機関投資家や財力が大きい投資家グループと土地取得争いを繰り広げる事になるからです。投資からのリターンを最大限キープしておく為にも、購入価格を最低限に抑えるのは必須です。ですから、必要のない競争は避けるべきと考えています。また、弊社としては、現在の区分所有需要を狙っている為、再開発した物件を売却する形を主にとっています。家賃の成長がない現状では、売却を出口とした開発に重点を置く方が、投資リターンとしても効率が良く、資産運用の効率も良いと考えています。

弊社のメインな活動市場ですが、現時点は東バンクーバーとなっています。東バンクーバーを選んだ理由については以前にもお話ししましたが、市場の先端を行く事でリスクも存在しますが、投資リターンの最大化を目的としたリポジショニングとバリューアド戦略を選択している弊社としては、東バンクーバーが適応している市場だと考えています。その上、インダストリアル物件からフレックス・オフィス(ロフト・タイプ・オフィス)へ作り変える以上、インダストリアルがメインの市場に参入することが必須であり、この東バンクーバーがダウンタウンから最も最寄りの市場になります。

2)2019年 市場の状況

さて、2019年を取り巻く弊社が関わる市場の状況ですが、結論的には、今後も価格は上昇傾向にあります。2019年の固定資産税用の物件査定価格も(同年2月発表)、2018年から25%上昇しており、地域ビジネス団体で雇った不動産固定資産税査定額公訴の専門家からは、「許容範囲内の上昇」という判断が下されました。同じく、2018年の査定では前年より、35%物件査定価格が上昇しており、2017年では43%2016年は35%上昇しました。ご覧になってお分かりの様に、この上昇は今年など単一年で起こっているものではなく、ここ数年間継続的に起こっています。よって、これら価格上昇から、再開発を試みた場合の投資リターンの圧縮に備える必要もあるかもしれませんが、売却価格においては、販売セグメントの需要と供給のアンバランスから、上昇傾向を辿っています。よって、現在の建築資材価格の高騰を考慮しても、デベロッパーには好条件が継続するものと見ており、今後もネット年率10%台後半が獲得可能であると予測しています。さらに、世界中でこれから経済の減速が懸念されている中、バンクーバーの経済は自給自足事業(住宅、商業不動産や医療研究を含めたハイテク業界)などが、今後の減速中も乗り越える原動力になると考えています。また、これら需要を促進する形で、世界中から安定を求める資産の流入は今後も継続する為、数年間の経済促進は可能だと思っています。そして、世界経済の復旧と共に、バンクーバーの貿易をメインとした製造業なども回復するだろうと見込んでいる為、地元経済にはさほど影響がないのではないかと予測しています。

3)物件購入について

同時に物件購入については、上記でお話した通り、引き続き、目まぐるしい状況になるのではないかと考えています。継続した価格上昇を念頭に置いた売主の期待と、購入者の需要からくる価格のギャップは今後も継続し、全体的な価格の上昇は免れないと思います。また、バンクーバー市行政は土地利用の効率化を図り、全体的な用途の見直しを行っている為、高層化と密度化を促進から、建築容量ベースの平方フィート単価はますます上昇するものと思われます。例えば、現在弊社で再開発準備中のFrances Street物件の道を挟んだエリアでは建蔽率の増率が行われ、今までは 300%の容積だった物件は500%まで上昇しました。これに伴って、売買価格も急激に上昇しており、価格面でもエントリーバリアーが発生し、個人投資家にとって、商業不動産投資は既に難しい業種になってきています。

また、購入の際に直面するのが、次の二種類のバイヤーとの価格競争だと考えています。1種類目は弊社と同じ様なデベロッパーやバンクーバーを拠点とし、不動産を理解している不動産投資家です。このグループは正直言ってそれほど問題にはならないと思っています。お互い地域的に市場を熟知しており、プロジェクト成功の為の価格帯を理解しているからです。問題は2種類目の不動産未経験者でスペック投資を行っているバイヤーたちです。特に、住宅業界で物件を投資目的として購入していた海外投資家で、短期転売を念頭に置いた投資家たちです。このグループは市場が理解できていない人たちが殆どで、価格上昇のみを購入判断条件としている場合が多く、不動産専門家では理解出来ない価格や条件でオファーする事もあり、この様な投資家グループに対しては勝つ素手がありません。また、私の読みでは、当分は金利の上昇も限られると思うので、住宅物件の購入が外国人には不利になった今では、価格高騰が継続すると判断されれば、商業物件に参入してくる外国人投資家も増えると予想します。

4)最後に

再開発の面においては、来年に竣工予定の物件は少なく、全体的に再開発物件の予約販売を待つ感じだと思います。デベロッパーの中では、経済縮小と金利上昇の警告を受け、すべての活動に対して「待った」状況に徹しているところもあります。私の私見としては、2018年第四四半期ニュースレポートでもお話ししましたが、今後の金利上昇は制限され、バンクーバーの経済事情は現状維持だと思っている為、今は再開発時期だと考えています。

世界的に不安定になっている時だからこそ、資料やトレンドを見極め把握する必要があると思います。私の読みでは、2019年は継続して賃貸的にも、売買的にも活発な一年になると思います。

皆さんにとっても意欲溢れる一年が予測できる一週間になります様に。