今週は今回の物件購入に纏わる上で、ちょっとした失敗経験についてお話ししたいと思います。
1)問題とその背景について
弊社は再開発を重視した購入戦略を立案するので、正直申し上げると、既存の物件についてはそれほど重要視していない部分があります。(もちろん改築を戦略とした場合には別ですが)今回購入した物件も再開発を念頭に購入した為、デューデリは基本的なポイント(所有権利、法律側面、用途、環境汚染)を主にして購入に踏み切りました。通常であれば、市役所まで行って、既存物件の許可証などについても調べるのですが、今回は時間の都合もあり、端をおりました。既存の物件の許可証を調べる目的は、今後のテナント確保や改築を試みる上で、許可証が発行されていないと、余儀ない撤去や補強工事を強いられる可能性があるからです。そして、それら可能性がある場合には、購入価格も減価させるのが、一般的方法になります。
今回の様に、来年の再開発を念頭に入れた購入の場合には、長期より短期間の”as-is(現状のまま)”な賃貸契約を締結して、この時期を乗り越えるのが一般的な考えです。そして、テナントとしても、設備費はかけずに、最低限の費用で乗り越えるのが通常の考え方です。しかし、今回のテナントはビジネスライセンス(営業許可書)の申請をする前に、テナント工事の申請/質問を市役所に対して行った為に(弊社との賃貸契約書締結条件にも営業許可書を取得するのが、最終的契約書締結の条件なのですが)、行政からは未申請建築項目について意見が出され、現時点では営業許可書の申請も出来ない状況になっています。また、前々所有者(弊社購入時のテナント)が複数の無許可増築を行ってきた事が行政指摘後の調査で発覚し、更なる是正工事が必要になりました。違法建築を称賛する訳ではありませんが、順序を間違えて先走った方法を取り、建築家などを入れずに独自に行政対応を試みたテナントの行動には、その無謀さに少々頭を抱えています。。。通常、一年後の解約ともなれば、経費を掛けたテナント工事は元が取れませんが、嬉しい事にそれでも弊社物件に入りたかったんだと考えています。弊社としても、再開発用に全てを解体する必要があるので、今回かかるだろうと思われるコストも、今か一年後に支払うかという選択だけなので、殆ど痛手にはなりませんが、ただプロセスが数段階増え、家賃収入の始まりが若干遅れたという点では、悩みの種だと言っても過言ではないと思っています。
2)問題解消の為のプロセス
こちらでは、仲介業者がテナントの入居時までサポートし、入居を完了させるのが一般的です。今回の様な問題も仲介がしっかりサポートしていれば問題は起こらなかったと思います。ただ、今回の様に、期間が限定しており、仲介料も微々たるものになると、仲介業者としてもそれだけの意気込みがなくなるのも事実です。
今回の問題解消の為の今後の流れは、次の様になります:
1)未申請事項の是正の為に、解体工事許可を申請
2)行政による現地確認
3)是正工事
4)市役所の建築課から是正後のコンプライアンス証明書受理
5)テナントのビジネスライセンスの申請と受理(これが賃貸契約締結の条件になっています)
6)賃貸契約書の条件の取り外しと締結
7)賃貸期間の開始
上記をご覧になっても全て完了するまでに一ヶ月半ほどかかる予定です。今回の一連は、テナントの見切り発車だと考えていますが、契約書の締結の重要性を強調し、プロセスを踏む事をリマインド出来たかもしれません。また、テナントからのテナント工事等の事前申請(弊社に対して)の重要性も強調するべきだったのかもしれません。弊社としても、今後も引き続き再開発に重点を置いた投資戦略を繰り広げていく為、この様な短期間のテナント管理については、積極的に対応していく必要があると感じています。
3)今後の予定
私としても、プロジェクトごとに何か新しい事を毎回学んでいる感じがします。当たり前という事はなく、テナントの数だけ、異なった言動が起こり得るという事を今回身を以て経験しましたので、今後の活動に活かして行きたいと思っています。
書き足しとしての現状報告ですが、2月下旬で発覚した今回のインシデントは4月1日に行政の現地確認が予定され、その後に約一週間弱の是正工事に入ります。是正工事完了後に、テナントが営業許可書を取得する事で、契約書締結の条件を取り除く事が出来、賃貸契約を締結する予定です。
皆さんにとっても学び得ることが多い一週間になります様に。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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