704 Alexander Streetプロジェクトは弊社にとっても、初めてのプロジェクトでしたが、同時にこの東バンクーバー地区市場においても、この様な大掛かりな改築プロジェクトは今まで存在しませんでした。弊社のプロジェクト竣工から3年が経った現在では、数件の再開発プロジェクトが予定されており、弊社としても現在次の物件購入の交渉中です。
704 Alexander Streetプロジェクトの難点は、1)まだ市場が追いついていない投資環境、2)殆ど再開発と同じレベルでの改築、3)予算でした。それを乗り越えるためにも、1)長期に付き合える下請けの選択、2)斬新でオンリーワンなデザイン、3)高品質な改築、4)テナントの厳選、5)エキジット(次のステージ)を考えた戦略を立てることが必須でした。結果、今回のプロジェクトは、予測以上の結果が出せました。
1)市場が追いついていない投資状況
弊社はリポジショニングや価値構築を専門にしているので、それらの最大リターンを狙う場合には、やはり市場のトレンドを読む必要があります。そして現状の市場枠の先でタイミングを見計らいながら、先行投資を行なう必要があります。弊社の場合にも、704 Alexander Streetプロジェクトは、市場の流れの先を行ったプロジェクトでした。当初は10年程早すぎると言われていましたし、我々も5〜7年ぐらい先を行ってしまっていると思いました。
しかし、竣工後の市場からのリアクションは予想を超えたものとなり、仲介用のオープンハウスでは、40人程のブローカーが朝食会に来てくれました。また、弊社の仲介から聞いた所によると、50件以上の売却についての問い合わせが殺到したそうです。今回は時間的にはラッキーでしたが、数年先を読み、じっくり市場のトレンド読む込み、耐える覚悟を持つということはすごく大切だと実感しました。
2)殆ど再開発と同じレベルでの改築
初回のプロジェクトという事もあり、無理はしたくなかったというのが改築を選んだ最も大きな理由です。ご存知の通り不動産というのは、お金が掛かり、場合によっては一物件で全資金を失う事もあります。そのような状況の中、バンクーバー市場も熟知出来ていなかった為、既存物件の範囲で投資を行いました。よって、容積を最大限活用できませんでした。その上、改築申請期間も新規開発と似ていた為、プラニングで相当の時間を要しました。
しかし、この様なプロジェクトで最大価値を生み出すためには、高品質物件である事が前提でした。その為、建築家やゼネコンとの着工前ミーティングにも相当の時間を確保しました。結果、高品質にする事で、賃料も高く設定でき、将来的使用の変化にも対応出来るようになりました。また、これは安定した将来性のあるテナントを選択可能にする事にも繋がりました。やはり「今」だけでなく、10年先を見据えた入居者観点で設備設定を行う重要性に再度気づきました。
3)予算
やはり何と言っても一番のネックは資金でした。今回は「やりながら学ぶ」でしたので、市場の需要が確実に分かっていませんでした。その上、第一プロジェクトであった為、予算は極力抑えて挑みました。よって、問題箇所が出てくる度に予算との睨み合いでした。。。(笑)なので、出来なかった箇所もあり、常に優先順位の厳選がキーでした。
具体的に話すと、我々の予算は$90/sfでした。(平米約8万円弱) 新築での建築予算が$260/sf程で、外壁を含む躯体は約$100前後ですので、我々の出来は凄く良かったと思います。もちろん建築家や業者には頭を十分捻ってもらいましたが。。。(笑)資金繰りおいても、着工前に具体的な部分まで話を詰める事がキーでした。
ちょっと長くなり過ぎているので、この先は次回に持ち越して話を続けたいと思います。
ご意見、ご感想など、お気軽にお問い合わせください。今週も皆さんにとってパワーが漲る一週間になります様に。
関連ブログ
第5話「704 Alexander Streetプロジェクトについて」
第6話「704 Alexander Streetプロジェクトからの教訓 1」
第7話「704 Alexander Streetプロジェクトからの教訓 2」
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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