1月に市役所に第一部の建築申請を提出しましたが、それ以降も建築家の方では設計図書き入れ作業が続いています。現在はこの秋口ごろに提出する第二部の建築申請(Building Permit)の準備に入っています。今後は、モーゲージ・ブローカー(融資仲介業者)と予算やエクイティー・レベル等の数値を決めて、融資可能金融業者を選び出してもらいます。同時に、販売仲介業者ともマーケティング方法や売り出し価格を決めて販売準備に入って行く予定です。これらについては、追って書いていく事にします。
今回は1月に提出した申請書をベースにQuantity Surveyor(QS;見積もり調査)というコンサルタントによる、建築費の概算の確認をしてもらいましたので、それについてお話ししたいと思います。
1)Quantity Surveyor(QS;見積もり調査)とは?
QSとは、色々な予算やコストの検証や算定を行う職務ですが、よく使われるのが、DP/BPレベルにおいての全体建築費用の算出です。この場合には、現時点での設計図から、全行程と材料費の算出を行い、プロジェクトのトータルコストを算出してくれます。また、着工時期を考慮した部材の値上がりやインフレなども考慮した数値が出てくるので、弊社の様なデベロッパーとしてもプロジェクトに対しての安心度が高まります。QSにも色々な業者が存在するのは事実で、エラーマージンや正確性も業者によっては、達成不可能な数値を出してくる業者もあります。よって、弊社としては、我々が信頼する建築家が推薦するQSを雇い、算出してもらいました。この概算では、最終価格の+-5%まで正確に査定するもので、厳密にいうと概算というよりも最終建築費確定作業といった方が適切かもしれません。もちろん、弊社としても出たらそれで終わりではなく、来週には全業者とのミーティングを開き、この価格の達成可能の是非について話し合います。
2)算出された建築費用
今回の概算では、弊社内での予算が$16,975,000(約14億4300万円)だったのに対し、$16,036,000(約13億6300万円)という数値が算出されました。この上に、調査には含まれないコストが約$500,000程弊社の見積もりでは含まれている為、それを取り除くと、差は約$500,000程になります。そして、この見積もりのエラーマージンが5%という事ですので、弊社の算出した数字範囲以内に収まるだろうと見込んでいます。また、この数字で進んだ場合には、年率ROE(Return On Equity 自己資本利益率)は32%を想定しているので、モーゲージ・ブローカーも融資取り付けには問題はないだろうとのコメントしており、コスト・サイドはまずまずのスタートだろうと考えています。
3)行政からの意見書
ただ、先週行政からのBPに対してのコメントが届き、その中では今回のプロジェクトが東バンクーバー地域の今後の模範開発物件となって行く為、インダストリアル的要素をもう少し出して欲しいとの事でした。具体的には、2~4階の高さを2ft(約60cm)高くして欲しいとの事でした。これにより、建造物の高さが変わるのはもとより、階段の長さが伸びたり、構造柱の膨張による、ユーザブル・エリアが減少する可能性があります。さいわい、60cmの上昇では、各階段幅の若干な縮小や構造柱も最小限の変化で対応可能だろうとの事でした。そしてあとは、外壁と窓面積の比率など、美的感覚上の調整を行う事になると思います。ゼネコンと上記QS に確認したところでも、変化に伴うコストは$250,000以内に収まるだろうとの事でした。よって、各階の高さを伸ばしたとしても、予算以内に収まる予定です。ただ、セーフティー・マージンが少なくなるので、この点については今後の作業工程の効率のアップや部材取得方法などを工夫する事で、コストオーバーランを防いでいく予定です。
また、今回の行政からの意見書も、弊社が申請した図面は建築基準を満たしている為、強制的なものにはなりませんが、今後更に図案を最終化して行く上で、行政からの協力も必要になってくる事や行政とのやりとりに掛かる時間を考慮すると、コストを見比べながら出来るだけ協力的な姿勢を取って行き、着工に入るのがベストと考えています。
販売価格面からも弊社物件は冷凍冷蔵物件ではないので、容量で販売する事は不可能ですが、60cm天井が高くなる事で、広さや開放感が増し、外の景観も更に良くなる事で、スペースのアピールが向上する事も可能だと思っています。よって、微々たる影響かもしれませんが、販売価格の上昇も可能なのではないかと考えています。この点については、仲介とのマーケティング戦略が確定した後で、再度お話ししていきたいと思います。
4)まとめ
今後もBP準備に取り掛かっていく上で、具体的部材の選出やデザインの最終化に伴い、コスト面も更に最終的になって行きます。よって、この先夏終わり頃には、コスト算出も最終段階に達し、ほぼフィックスされたコスト提示が可能になると思います。この辺の最終的数字は、また着工前にお話ししたいと思います。
バンクーバーでも当初日本から来た桜が、七部咲きほどで綺麗な淡いピンク色で街を飾っています。春のスキーシーズンも終盤に達しており、これからはどんどん暖かくなり、観光シーズン突入です。バンクーバーは春から夏がベストシーズンですので、チャンスがあれば是非一度は渡航先選択都市に加えてみて下さい。
皆様にとっても、春の到来とともに、新規案件が始まる前向きな一週間になります様に。
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KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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