今週は弊社のFrances Streetプロジェクトを使って、エクエティーの私募についてお話ししたいと思います。まず、基本的な事ですが、「私募」とは株式市場などを使わずに、企業レベルで投資家を集める事です。では、そのプロセスや必要書類などについてはどの様なものがあるのか?そして弊社の今後の流れについてはどの様になるのかを、ここではお話ししたいと思います。

1)マーケティング書類について

マーケティング書類については色々な方式があると思いますが、弊社では一般的なTeaserと呼ばれる簡単な広告にプロジェクトの概要や地図、投資戦略、投資利点などを書き込んだ物を作成し、それをすでに開拓したネットワークに送り出します。もちろん不特定多数に送付する方法もありますが、弊社では長期間の投資家関係の構築、投資家の社会的信頼性(他の投資家に迷惑をかけないと言う意味で)、少数投資家組合設立という面から、送付先を限定しています。日本人相手になりますと、一人で億単位を出せる個人投資家は極端に減少するので、小口投資家集団を纏めて組成して頂いた方々にも、Fund of Fundsの一環としてお送りさせて頂いています。この上で、興味があるとご返答頂いた方々には、機密合意書(Confidential Agreement)に署名して頂いた上で、更なる細かい情報が出ている投資目論見書を送付します。目論見書の中には、投資要旨になるエクゼキュティブサマリー、概要、図面、スケジュール、損益計算書(プロフォーマ)、費用査定書、市場説明、比較販売物件などをまとめた物になります。もちろん、私募する金額や私募期間についてもエクゼキュティブサマリー内で説明されています。

2)Memorandum of Understanding(MOU)とは

ファンディングのタイミングや投資組合の状況にもよりますが、Memorandum of Understanding(MOU)という覚書書を組合参加の一歩目として交わす事があります。MOUの基本的目的は、投資意思がある事を確認し合う書類で、本契約を追って交わすという紳士的協定に則った書類になります。この書類は紳士協定と表現する様に、本契約ではない為、執行効力がありません。あくまでも意思の確認で、「同意書(契約書)を締結する同意をする書類」になりますので、MOUを飛ばして組合参加契約を組む方が組合としては執行効力が増す事になります。

また、MOUは長くても数ページからくる書類ですが、投資組合契約書(Limited Partnership Agreement)は通常50ページ以上にも及ぶ書類になります。弊社の場合には80ページほどになります。その中には、組合の目的、運営やその方法や条件及び、無限責任組合員(ゼネラルパートナー)の権限や無限責任組合員の変更についてなどが記載されています。もちろん、組合設立の目的である、投資運営についても細かく記載されています。そして、それに足して、ほとんどの組合契約書には、投資家としての参加条件の記載(金融商品についての理解、リスクの理解、元本保証のない事への理解、組合参加者の条件)や投資家の表明事項に偽りがない事を同意する同意書が含まれています。組合によっては、条件や表明内容に偽りがない事を証明する付属書類提出を求める組合契約書もあります。

日本では、元本割れなどが起きた場合の投資家保護が過度に行われ、自らの理解で契約をした(また、それについて同意した)にも関わらず、スポンサーが元本の返済責務を負う事がありますが、こちらではその様な事は一切ありません。北米の投資業界では、個人責任と契約書によって責務の所在が確定されます。よって、日本の投資「習慣」が基本とお考えになる方々には要注意点です。また、カナダでは投資家の記載事項やその同意内容の正確さについては(特に証券取引法などに関わる点や個々の収入や金融投資への理解など)、ゼネラルパートナーが各同意書の内容の正確さを確認する義務はないとされています。

よって、もし万が一、投資家が記載事項の誤りをベースに契約書の無効を訴えた場合でも、組合運営者の非は問われず、契約は有効なものと判断されます。そして、同書類には払込期限や方法についても記載されており、期限内払込がない場合、もしくは遅れる場合には、違約金の請求があったり、参加そのものが拒否される事があります。また、払込にかかる費用などについては、通常は投資家負担となる上、海外投資ともなれば金額も大きくなる事が想定されるので(小口ファンドは別)、事前の会計士や弁護士等の専門家との相談が必要になると思われます。

3)まとめ

今週のブログは私募のマーケティング資料と題して、大まかな流れについて書きましたが、契約書の内容や執行能力については、専門家の意見を優先することはお伝えするまでにもないと思います。また、バンクーバーにおいての私募投資は、一般的に市場がとても小さく、新規投資家の参入は情報へのアクセスという観点から制限される事が多いです。結局はプレーヤーが決まっていて、多くのデベロッパーおよび投資家は長年の関係をベースにした、リピートプロジェクトを行う習慣がついています。

私見(とともに、このブログを書いている目的の一つでもありますが)ですが、日本の皆様にも世界における投資チャンスを知る事はとても大事な事だと思います。そこに参加するしないは別問題で、情報として保持するという事はとても貴重な武器で資産だと思います。もう日本を学生時代に出てから39年になりますが、やはり本当の情報は外には出しません(もちろんこれは日本でも同じです)。ただ、資源的独立が出来ない日本(人材も含め)としては、常に外に目を向ける必要があると思います。そしてその中で、ご自分の目で各市場を確認し、投資案件を精査する事が、真のグローバル投資家としての成功のカギだと思います。よって、日本でよく言われる「xxが人気だから投資しよう」という他力本願ではなく(また、一般的情報として公開されるほどになった時には、投資的魅力はすでに希薄してしまいます)、各投資家の経験と目で判断する事が出来る様になる事を祈っています。その目的の為にも、我々は今後もカナダのバンクーバーという市場で現地に根を下ろして活動している人間たちとして、現地市場情報を提供していきたいと考えています。

今週も皆さんにとって将来的展望が見える一週間である事を祈っています。

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