今週は弊社のプロジェクトである1270 Frances Streetのマーケティング及び予約販売についてお話ししたいと思います。弊社としては現在投資組合の設立準備をしており、これから本格的なエクエティーの私募を行なっていく予定です。当初の考えでは、この様な活発な市場状況なので予約販売を早めて行う事で、組合員を募る頃には物件も心地よく予約販売が進んでいる状況に達成している事を考えていましたが、いくら好調な市場であっても、そこまでは都合が良くないと仲介の方から言われマーケティング時期をもう少し延期させる事にしました。(笑)延期の主な理由としては、今営業をかけ始めても、明確な竣工期日が伝えられない事(具体的な入居可能日を提示する必要があるので)や、今日仮契約しても竣工までに心変わりしないかなどがあります。勿論弊社としては予約金を受け取りますが、この先予約を撤回される方がリスクが高くなるので、結論としては、今年の第3~4四半期を目処に販売を開始します。
1)販売プロセス 1
実務上は、もう来月にも貰える予定の「Prior To」という事前許可書が発行された後には、販売が可能になります。販売準備は仲介業者が主導をとって動く事になりますが、彼らが用意するパンフレットには、建築家が作成する具体的なレイアウトやレンダリング(透視図、完成予想図)、竣工予定日と入居可能予定日、区分所有販売に関連する予約売買契約書や各ユニットの販売価格とレイアウト、そして予約に必要な前払金の額などが記載されたものが用意されます。そして、建築現場には仲介業者の名前が入った予約販売の看板が立てられます。この時点で実質的な予約販売が開始される事になります。賃貸などと同様に、仲介業者にはある程度の交渉幅が与えられ、予約販売交渉に入ってもらう事になります(もちろん事前の内部の話し合いを行い落とし所や交渉優先順位は明確にしておきます)。そして、大まかな条件が決まりかけるあたりで、仲介より最終的な締結許可の連絡が入ることになります。購入者の署名入り申込書を受け取った後で、弊社が最終的に売買予約契約書に署名をして、契約書が正式になります。その後、数日以内に予約金(通常は合計購入価格の10% )が手付金となり、払い込まれます。そしてその金額は、通常売主の弁護士や会計士の信託口座に振り込まれ、竣工時まで保管される事になります。融資のブログの中でもお話ししましたが、この手付金を組合の自己資産とみなす事を許す金融業者も多く、最終的にはレバレッジ率は80%を超える事になります。もちろん、金銭自体は信託口座に保管されたままですが、残高証明書を提出する事で、この金額が「使える」仕組みになっています。
よって、予約販売が進む事で信託金額が膨れ、レバレッジ率も上昇する事になりますが、このように予約販売が好調な市場では需要が右肩上がりの場合が多い為、早く売れ過ぎる事で、その後の価格上昇ののりしろを遮ってしまう事にもなる為、予約販売も計画的に進める必要があります。
2)販売プロセス 2
ちょっと脱線したので、話を戻す事にします。上記の「Prior To」は建築許可書が発行される前に出されるものになります。通常は「Prior To」が発行されてから約一ヶ月以内に第一段階目の建築許可書が発行されます。建築許可書の発行で、物件所在地に再開発予定告知看板が行政によって立てられ、近隣住民への告知とされます。そして、この1段目のDevelopment Permitが発行されてから、建築家の方で第2段階用(Building Permit)の申請書作りに入る事になります。この準備には通常3ヶ月ほどかかり、弊社のプロジェクトの場合、夏明け頃に行政へ申請書を提出する事になる予定です。そしてその後、行政の方とのやり取りなどを含め、9ヶ月後ぐらいにBuilding Permitが発行され、建築に入ることが可能になります。建築法内に収まっている建築申請ですと、何も問題は起こりませんが、用途や容積などの変更を申請している場合には、ここから1年から1年半かかって、パブリックヒアリングを含めた、建築プロジェクトに対しての申立受付期間になります。よって、マーケティング期間も延長する事になりますし、パブリックヒアリングの結果によっては、最終予想図が大幅に変更する(もしくはプロジェクト自体が没になる可能性もある)為、通常はこのヒアリング・プロセスが終了するまで、予約販売に踏み込むことは不可能になります。
3)まとめ
そして、最終的に竣工日がおおよそ確定出来る時期になると、再度仲介の方で、売買予約契約を売買契約で締結し直して、売上金の徴収になります。もちろん、この場合も、入居時まで払い込まれた金銭は信託口座で管理され、買主からの金銭リリース許可書への署名と共に、弊社の様なデベロッパーに金銭が支払われる事になります。ここから、全ての経費やフィーが支払われる事になり、最終的にはデベロッパーのスポンサー企業が解散(弊社の様な特定目的会社を用いている場合)し、プロジェクトが終了されます。
弊社のプロジェクトでは、現在仲介業者の方で最終的プロジェクトの予定や販売価格の確認を行い、マーケティング資料を作成し始めた所です。販売開始後にまた状況のアップデートをしたいと思います。
今週も皆さんにとって充実した一週間になります様に。
関連ブログ
第48話「第2プロジェクトのアップデート – 概要」
第49話「第2プロジェクトのアップデート – 投資リターン」
第60話「Frances Street プロジェクトのアップデート – 建築費」
第61話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 融資」
第62話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 投資家に対してのマーケティング」
第63話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – マーケティング」
第64話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 投資プロジェクトとしての中間報告」
第97話「Frances Street Projectの状況」
第115話「1270 Frances Street売却について」
第116話「1254・1258 Frances Streetの売却プランについて」
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
アマゾン: 「家業を継げなかった三代目、継がなかった三代目」枡田耕治
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