ここ最近のブログでは色々なコストや販売戦略や価格のお話をさせていただいたので、今週は本プロジェクトを投資観点から精査し、お話ししていきたいと思っています。第33話のブログにおいても、弊社の投資ファンドの場合における経費(フィー)や配当優先順位などにもお話ししましたが、今週は具体的な投資率や利回りを含めてお話ししていきます。
1)プロジェクト概要
まず今回の1254, 58, 70 Frances Streetの概要ですが、3筆のインダストリアル不動産を再開発目的で、2018年6月に$7.3MM(約6.2億円相当)で購入しています。約20ヶ月間の建築申請を経て、2020年5月頃着工予定です。今回のプロジェクトでは、Bare Trust(一種の信託)形態を持ち込んだ組合になりますが、組合開始は全ての建築申請が終了したのちの、着工開始時点からになります。よって、開発準備にかかるリスクは既に取り除かれており、残るリスクは建築と販売リスクのみになると考えています。しかし、これまでにも複数のブログでお話ししてきた様に、物件の需要と供給が現在のバンクーバー市場では合っていない為、販売についても着工前までの時点で大半のユニットが予約販売済みになる可能性も高いと見ています。もちろん全ユニットが完売する事はないと思いますが、組合のリスクは殆ど建築に限られるのではないかと思っています。また、建築面でも、予算の確定は出来ており、建築プロセスにおいても、当地域を熟知した、行政にも強い、中小型物件専門のゼネコンを雇っている為、大きな問題は想定していません。またこのゼネコンは弊社の前プロジェクトを行った業者でもある為、その点についての安心感は既に存在していると思っています。
2)コスト&投資私募
このプロジェクトの総コストは約$24,400,000(約20億7千万円)となっています。この金額には、建築費、申請代等のソフトコストや融資の金利になる財務関連コストが含まれ、そのうちの75%を建築融資で賄います。また、融資額には土地代も全額含まれるので、スポンサー(組合設立・管理者)である弊社が出した土地購入代は全額返却される計算になります。最大融資可能額は通常総コストの80%ほどと言われていますが、現在の市場状況では、最優秀企業で約75~85%ほどの建築融資が得られているので、弊社の場合にはそこから若干割引された70~80%で(平均的に考えた75%ほど)になると考えています。その上、組合設立準備までにかかった費用についても、建築融資にて賄われ、基本的に全額融資初期に返却されます。しかし、この「全額」には条件がついていますので、下記のコスト・アロケーションの中で詳しくご説明します。組合準備経費については、スポンサーの経験が左右され、経費返金のタイミングについては若干のズレがあります。例えば、バンクーバーの市場が未経験であれば、建築当初の3ヶ月間は試験期間として経費の半分を「預かり」、その後滞りなくプロジェクトが進む事で、全額リリースされるという事もあります。
具体的なコスト・アロケーションをお話しすると、土地を含めた総コストは今お話した通りの$24,400,000。これを75%の融資で賄うと、必要資金は$6,100,000になります。ギリギリだと、万が一の出費に対して心細いので、今回の必要資金は$6,500,000と定めました。この中の$3,000,000を、弊社がリミテッド・パートナーとしての投資参加費として投入します。また、この様なスポンサーからの資本参加は、上記の建築融資を受ける際の土地購入代金の返済条件になります。結果、第三者からの私募金額は$3,500,000になり、現在弊社では書類準備の大詰めにかかっています。
私募する$6,500,000については、来年の春ごろまでに集金する形になり、2020年5月ごろからの建築工事着工時までに、融資金融会社指定の口座で管理されることになります。また、建設が始まっても、融資金を使う前に、有限組合員の$6,500,000から当初の経費を支払っていく形になります。全額を使い切ったところで、その後はゼネコンからの請求書が融資元銀行に直接送付され、銀行が建築家の提出する工事進行状況確認書を元に、支払いが行われる様になっています。
工事着工後から約20ヶ月程で、今回の建築が竣工する予定です。竣工検査を受け、証明書を行政より受け取ると、購入者への引渡しとなりますので、引き渡し前に、購入金額の残高が振り込まれます。また、売上金より全ての経費を支払う必要がありますので、建築ローンの返済は通常竣工予定時より2〜3ヶ月先の計算になります。
3)投資リターン
以前のブログでもお話しした様に、弊社では現市場を精査したところ、需要が供給を著しく上回っている事や、高質の区分所有物件が不欠していることから、各階の販売単価を高額に設定してあります。仲介業者とも協議したところ、弊社の販売価格は獲得可能価格であろうとの事でした。よって、弊社が設定した各階の価格で計算した総販売額は$31,800,000(約27億円)に達し、そこから3%の販売経費を差し引いた合計売上額は$30,800,000になります。そこから建築融資を始めとする経費を差し引くと、分配前組合利益は$9,300,000になります。
ここから有線配当分の年率7%を引き、Waterfallと通称言われている方法で配当額を計算していきます。Waterfallと言うのは、一般的にはIRR(内部収益率)を各段階のハードルに定め、決められた金額が支払われます。また各ハードルに於いても、支払い配分率が組合合意書で記載されており、今回のプロジェクトでは、優先配当の7%に付け足し、WaterfallハードルをIRR=15%とIRR=18%で設定する予定です。(割合を決定する必要あり)これにより、現時点で計算される投資家へのリターンは42.84%となり、年率21.42%と言う高リターン投資プロジェクトになる予定です。
弊社はこの様なハイリスクを伴いますが、ハイリターンを狙う、バリュークリエーション(価値向上)や物件のリポジショニング(物件の戦略的位置の向上)を戦略として用いた物件投資を今後も行なっていく予定です。投資リターンなどについては、今後プロジェクト完成後にホームページにてアップデートしていく予定ですので、そちらでも結果を確認する事が可能になります。
では、今週も皆さんにとって新しい投資チャンスが到来する週になります様に。
関連ブログ
第48話「第2プロジェクトのアップデート – 概要」
第49話「第2プロジェクトのアップデート – 投資リターン」
第60話「Frances Street プロジェクトのアップデート – 建築費」
第61話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 融資」
第62話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 投資家に対してのマーケティング」
第63話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – マーケティング」
第64話「Frances Streetプロジェクトのアップデート – 投資プロジェクトとしての中間報告」
第97話「Frances Street Projectの状況」
第115話「1270 Frances Street売却について」
第116話「1254・1258 Frances Streetの売却プランについて」
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
アマゾン: 「家業を継げなかった三代目、継がなかった三代目」枡田耕治
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