先週はプロジェクトの難点を纏めてお話ししました。しかし、ブログでは要約する必要があり、皆さんがどれだけプロジェクトを「実感」でき、「共感」出来たかが心配です。もっと聞きたいと仰る方は、ぜひご連絡下さい。喜んでお話しさせて頂きます。
今週は続きで、プロジェクトの難点を乗り越える為の方法です。私共が考えるには、1)長期で付き合える業者の選択、2)斬新でオンリーワンなデザイン、3)高品質なフィニッシュ、4)テナントの厳選、5)エキジット(次のステージ)を考えた戦略を立てる事でした。
1)長期で付き合える業者の選択
弊社の当初の予定では、この物件は運用物件として所有する予定でした。(事実2年半保有しましたが) よって、今後の管理に備えて長期付き合っていける業者が不可欠でした。また、業者の選択は工事の上でもとても重要です。「いい加減な業者」は万国共通で、カナダにも多く存在します。そして、我々のプロジェクトは予算と納期を厳しく設定していたので、時間厳守でプロ意識のある、技術的にも優れた業者の選定が重要でした。
では、この様な業者をどうやって見つけるか?それは業界内の人に紹介してもらう事、業者について照会する事、他のプロジェクトを自分の目で見る事だと思います。そして、その業者の理念、考え方、下請けの選定方法や管理手段について直接聞く事だと思います。こっちが真剣で正直だと、相手も案外正直に教えてくれるものです。
2)斬新でオンリーワンなデザイン
弊社の名前が売れていれば、ブランド価値も存在するかもしれませんが、我々の様な新参者には、その様な余裕はありませんでした。よって、我々はデザインレベルを10年以上先に設定し、「オンリーワン」を目指しました。例えば、軽工場地区内で真っ白な外壁塗装を施したり、夜間発行するオレンジ色のキャノピーを取り入れたり、床から天井までの大きな窓を取り入れて中身が見える様にしたり、ロビーには3階から吊るしたシャンデリアを設置しました。
また、木目を使い自然な環境を醸し出しました。よって、我々は「3つの驚き(Wow!!)」と言うものをテーマに入れました。1)こんな場所(地域)でのプロジェクトにワオ、2)物件の改築度を見てワオ、3)内装と室内のオープンさを見てワオ。これが今回の斬新なデザインの裏話です。
3)高品質なフィニッシュ
もちろん斬新なデザインであっても、杜撰な設備の取り付けはすぐに分かってしまいます。この点、弊社の業者はすごくよかったと思います。よく手袋をして掃除の程度を見ると言う話がありますが、この業者は使う木材の木目の流れや、平らさ、設置後の浮きや直角さなどを、随時棟梁自身の目で見て確認してくれていました。ドアのハンドルの位置や窓の鍵のスムーズさなども、私が驚くほどに確認してくれました。20数年間不動産業界にいますが、まだこんな人(特に外人で)が存在した事にはすごく驚きました。
そしてこの「フィニッシュの質」は工事だけには止まりません。我々管理側としても、問題や不安点があれば直ぐ駆けつける、なんでも話せる関係を作り上げる事は必須でした。売却後の今でも、元テナントさんから、「We miss you(来ないから、さみしいよ)」とお世辞ながらも言ってくれます。嬉しい限りです!
4)テナントの厳選
不動産運営の要はやはりテナントの家賃支払い能力です。いくら高い賃料設定が出来ても、継続的な支払いが不可能であれば、意味がありません。704 Alexander Streetには2社のテナントが入居してくれました。一社はIT関連社で数年の社歴がありましたが、まだ赤字で急成長中でした。よって、当初の賃料は低めに設定しましたが、2年目から急激な上昇を伴って、市場以上の家賃設定に成功し、10年間の契約を締結しました。
また、もう一社は新規設立されたラジオ局です。こちらは社歴がないものの、ラジオ局のライセンスの価値とラジオ局の投資家を担保に抱き合わせる事で、10年間市場レベル以上の賃料で設定した契約を締結しました。どちらも毎年インフレ率以上で家賃上昇するので、実質価値面でも収入は上昇する仕組みになっています。これで運用でも良い投資運用体制が出来上がりました。
5)エキジット(次のステージ)を考えた戦略
弊社の基本的考えは運用です。よって、この物件を担保に入れて、融資を受け、次の物件購入を行おうとしました。当初の経費は多少嵩んでも、基本賃料は高く設定してありました。我々はテナント工事負担率も高めで同意しています。そして、この当初の経費は、高賃料収入から追って回収するシステムを組み込んだのです。
これにより、物件の資産価格は更に高く映し出されるようになりました。同時に売却の可能性も考え、賃料は継続的に毎年上昇するように設定しました。そして、フリーレント等は、全て契約期間の始めに持ってくることで、将来価値が下がるような懸念を全て取り除いたのです。当初の多めに支払った経費は、資産価値の上昇により、売却後に回収できる仕組みにしました。
やはり今回は最初の物件であっても、今まで培ってきた戦略と投資手法が用いられ、結果成功を収める事が出来ました。704 Alexander Street物件は弊社にとっても。トロフィープロジェクトです。
ご意見、ご感想など、お気軽にお問い合わせください。今週も皆さんにとって、楽しく笑える一週間になりますように。
関連ブログ
第5話「704 Alexander Streetプロジェクトについて」
第6話「704 Alexander Streetプロジェクトからの教訓 1」
第7話「704 Alexander Streetプロジェクトからの教訓 2」
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
YouTube: KM Pacificオフィシャル
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