今週はクロージングについてお話ししたいと思います。クロージング自体は住宅も商業の場合も似ています。大まかにいうと弁護士事務所に行って、書類に署名をしてお金を払って、売買の完了というのが流れです。商業の場合に大きく異なるのが、書類の量です。全ての書類を綴じると、高層ビル物件などでは5cmほどの本が数冊出来てしまう事もあります。弊社の物件でも、2〜3cmほどの本になってしまいます。よって、商業の場合には、事前に書類が用意され、それに購入者として、目を通し、内容について間違っていないかを確認する様になっています。そして、タイムリーなクロージングを可能にする為にも、事前に全ての書類に署名をして、弁護士事務所の方に渡しておくのが習慣です。もちろん、クロージングの当日に弁護士事務所に行って全ての書類にサインをする事も可能ですが、書類の膨大さから、紛失や署名忘れなどを防ぐ為にも、弁護士も事前に署名をしておく事を勧めてきます。
1)クロージングの重要なポイント
私が思うクロージングでの1番の重要なポイントは、Representation & Warrantyと言う表明保証(偶発的債務が発生しない事を証明する、もしくはその際の費用をクロージング後でも負担することに同意する事)と言う保証条項だと思います。既に、売買契約書の中で、Reps & Warrantyについての保証内容は記載されていますが、クロージングではその内容が確実に反映されている事を確認するのは重要な事項です。特に日付や期間などに間違いがないかなどは自分の弁護士が作成した書類であっても確認するべきです。また、支払い費用の調整表も提出されますが、これはドラフトの時点で内容を確実に抑えておくべきです。通常は売主の弁護士の方が用意しますので、誤算や購入者のデューデリ時の情報と相違ないかを確認するべきです。特にお互いに特別負担金が発生する場合(未完了修繕項目に対しての引当金など)は特に注意して確認するべきです。弁護士も悪気があって間違える人はいませんが、情報の伝達が不完全な場合があり、そこから費用調整が正しく反映されていない場合があります。クロージングは一般的に、すごく時間に押された作業になりますので、ミスも起きやすくなります。決して、だからミスがあっても良いと言うわけではないですが、購入者責任としても自らが確認しておくべきです。
2)クロージング終了後
一度クロージングが終了すると、買主側の弁護士が不動産の登記申請を行います。その際にも、BC州では即時の登記簿入力が出来ない為、弁護士事務所からは登記事務所のスタンプが押された申請レシートが送られてきます。これが登記変更申請がなされた証明になります。そして、それは唯一の証明書になりますので、確実な保管が必要になります。登記自体は数週間要します。通常は弁護士の方から登記終了の連絡があり、その時に登記簿謄本が弁護士の方から送られてきます。
物件購入の為に、新たにエンティティーを立ち上げてシェルカンパニーに物件を所有させる場合には、エンティティーが登録されても、市行政に於いて会社の登録およびその費用(ライセンス代)が払われていない場合があります。これは連邦政府制だから起こる事なのかも知れませんが、不動産登録はBC州マターでありますが、運営上の会社登録は市行政の管轄案件になります。よって、クロージングが終了しても、会社の運営上の登録が完了していない場合があり、その場合には会社運営法上違反になります。そうなると、罰金処分になるだけでなく、固定資産税の請求書や査定価格通知書なども来なくなりますので、クロージング後には市行政での登録も必要になります。
ここまで行うと物件購入の一連のプロセスが終了します。今後は投資戦略によって、業務が変化しますが、BC州では所有者変更による既存の賃貸契約書を放棄することは禁止されている為、最低期間は物件の運営が必要になって来ます。この辺についてはまた次週のブログでお話ししたいと思います。
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治
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