今までは具体的に弊社のプロジェクトについて先にお話ししてしまいましたので、この辺で一歩下がり、バンクーバー市場について、そしてブリティッシュ・コロンビア州について、一般的な話をしたいと思います。ここに出てくる情報は、弊社で発信している四半期ニュースレターの中にも出てくる事ですが、ご了承ください。

1)カナダ・バンクーバー市の概要

バンクーバー市は115㎢に及び、カナダでも最も西の位置に所在する都市です。(厳密にはBC州の州都であるビクトリア市がありますが、ビクトリアは島ですので、本土の中ではバンクーバーが最西端です)2016年末時点での人口は約65万人(大阪府で約88万人)で、2017年時点では、国内で最も密度が高い市街地区(一㎢ 約5,500人)になっています。市内の人口伸び率は年約1.2%で成長を続けており、海外や近隣州からの流入がメインです。しかし、バンクーバー市の高生活コスト等の問題から、近隣市街への人口の流出が継続しています。(ここでの”近隣市街”とは東京都内から横浜や千葉、大阪では尼崎や堺へ動くと行った距離的感覚です)

また、バンクーバー市は23の行政地区から成り立つ広域バンクーバーの一地区になります。この広域バンクーバーの人口は約250万人おり、そのエリアは約2,900㎢に及びます。

2)カナダ・バンクーバー市の主な産業

バンクーバー市の主な産業は、不動産と建設業ですが、その他にもITや医療研究、教育、貿易が存在します。カナダといえば林業や水産業を考えられるかもしれませんが、州のGDPでは数パーセントにしか満たしません。それ以上に、アジアの玄関口として、バンクーバー港は北米経済でもその存在を極め、成長しています。もちろんアメリカのロングビーチ港やニュージャージー港もありますが、バンクーバーで荷降ろしする事で、数日の時間制限とコスト削減に繋がっていると言われています。また、現在はシリコンバレー、シアトル、ニューヨーク、トロントと並んで、ITと関連産業が著しい伸びを見せています。結果、現在の賃貸需要の約40%はIT関連企業からのものになっています。その上、Hollywood Northという別名が付くほどに、バンクーバーでは映画やテレビ制作産業も著しく成長しています。これは、補助金から税的優遇がメインですが、人員の確保や立地条件と環境面でもバンクーバーが選ばれている理由です。

3)カナダ・バンクーバー市での教育・留学

皆さんの周りでもカナダへ語学留学をされている方、またはそのご家族をご存知なのではないでしょうか?今でこそ多少生徒数は減りましたが、語学留学や短期就業訓練ビザ(ワーキング・ホリデー・ビザ)で来加する若人は依然として多いです。教育という面では、アジア地区からの母子留学も多いのが現状です。バンクーバーの安全性と公立校でも高い教育レベルが提供されている事から、中国、韓国からの母子留学は以前として人気です。学費では公立で年間約50万円ほどと聞いていますが、私学では永住権無しの場合には約600万円です。これに生活費は含まれていません。

4)カナダ・バンクーバー市のこれから

地理的にもバンクーバー市は、北に山脈、西に太平洋、南にアメリカと隣接しているため、東の方角への拡張しか出来ません。なので、現在はダウンタウンでの密度化や高層ビルの再開発も行われていますが、開発と生活基盤の拡張は東方面に進んでいます。

現在のバンクーバー市との経済的競争相手は、国内ではトロント、北米ではサンフランシスコ、シアトルだと思います。トロントでは映画・テレビ産業の誘致も盛んに行われており、IT産業も活発です。しかし、冬の気候は半端なく厳しく、生活環境としても、バンクーバーを求める人は多いのが現状です。シアトルやサンフランシスコも西海岸に所在する魅力的な都市です。両都市ともアメリカの街という以外では、シアトルは起業家の町としても有名です。サンフランシスコは生活費用があまりにも高くなりすぎていて、懸念されているようです。また、トランプ政権になってからは、アメリカからカナダへの人口流出も目立っています。

バンクーバーは知的産業に力を入れていて、これからも発達していくと思います。私の個人的考えとしては、上記にあげた産業の他にも、現在の世界的タックス・へーブンの締め出しにより、富裕層向けのプライベートバンクのフロントオフィスなどが流行っていくと思います。バンクーバーはまだまだ目が離せない都市だと思っています!!

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